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【最高裁判決】GPS捜査「違法」が突きつけた課題 後始末は? 新ルールは?

3/15(水) 22:14配信

BuzzFeed Japan

これまで警察が令状なしで秘密裏に行っていた「GPS捜査」について、最高裁大法廷は3月15日、「令状なしのGPS捜査は違法」としたうえで、今後GPS捜査をするなら、新たなルールを作る必要がある、とまで踏み込んだ。警察はGPS捜査を控えるよう通知を出したが、今回の判決はそこにとどまらない大きな課題を社会に突きつけている。【BuzzFeed Japan / 渡辺一樹】

GPS捜査の違法性を訴え続けてきた亀石倫子弁護士は「私たちとしては最も望んでいた判決でした」と語った。

「今後の技術の発達で、新しい捜査手法がどんどん出てきます。その捜査手法と人権とのバランスが問題になるケースで、必ず参照されることになるリーディングケースになると思います。新しい時代に相応しい判断。憲法・刑訴法の理念、原理原則にのっとった、適性な判断がなされたと評価しています」

そもそも、どんな判断だったのか。最高裁判決の中身を見ていく。

最大のポイントは、令状のないGPS捜査を「違法」とした点だ。

たとえば、警察官が容疑者を尾行するのに、令状を取る必要はない。そうした捜査とGPS捜査はどこが違うのか?

今回の最高裁判決は、GPS捜査を次のように評価した。

「個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって、合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法である」。

そして、GPS捜査は、「個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するものとして、刑訴法上、特別の根拠規定がなければ許容されない強制の処分に当たる」と判断した。

つまり、プライバシー侵害のおそれがあるもので、法律に沿って行われなければいけない捜査だという判断だ。

新しいルールが必要

最高裁判決が新しいルールが必要とした理由は、次のようなものだ。

・GPS捜査は、必然的に「GPS端末を取り付けた対象車両の所在の検索を通じて、対象車両の使用者の行動を継続的、網羅的に把握する」ことになる。
・(裁判所の令状で)車両と罪名を特定しただけでは、被疑事実と関係のない、過剰な行動把握を抑制できない。
・GPS捜査は、密かに行わなければ意味がないので、事前に令状を示す想定はできない。
・刑訴法では、令状を呈示することが原則。呈示に代わる手段が仕組みとして確保されていないと、適正手続の観点から問題が残る。
・「仕組み」としては、捜査期間の限定や、第三者立ち会い、事後通知などのルールが考えられるが、それは立法に委ねられている。
・仮に令状でOKとするなら、裁判官が令状を出すときにいろいろな条件を付けなければならないが、それでは刑訴法の趣旨に沿わない。

だから、「(GPS捜査の)特質に着目して憲法、刑訴法の諸原則に適合する立法的な措置が講じられることが望ましい」。

なお、成城大の指宿信教授(刑事訴訟法)によると、海外の先進国では、GPS捜査についてのルール作りが進んでいる。日本弁護士連合会も今年1月、GPS捜査の基準について提案している。今後はこうしたルールをふまえて、国会などで議論が進みそうだ。

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最終更新:3/16(木) 0:59
BuzzFeed Japan