ここから本文です

社説[朴大統領罷免]対立と混乱に終止符を

3/15(水) 8:20配信

沖縄タイムス

 憲法裁判所の決定によって罷免され、即時失職した朴槿恵(パククネ)前大統領は12日、青瓦台(大統領府)を去り、ソウルの自宅に移った。

 韓国が憲法を改正し、大統領の直接選挙制を導入したのは1987年。全斗煥政権の強権政治に対する民主化運動の大きな成果だった。あれからちょうど30年。大統領が罷免されるのは韓国の憲政史上、初めてである。このことは何を意味するのだろうか。

 世論調査によると、国民の8割近くが弾劾に賛成し、憲法裁の8人の裁判官(定員9人、1人欠員)全員が一致して罷免に賛成した。

 不正を糾弾する国民の声が圧倒的な権力を持つ大統領を追い詰めたという意味では、民主主義の成熟を示すものだといえる。

 その一方、韓国政治が今もなお、根深い「負の側面」を引きずったままであることを示す結果にもなった。

 韓国の歴代大統領は、在職中に暗殺されたり、退任後に逮捕され死刑判決を受けたり(後に恩赦)、任期終了後、不正資金疑惑が発覚し投身自殺を図るなど、ほとんどの大統領が悲惨な結末をたどっている。

 大統領退任後に、利権がらみの事件などで大統領の親族が逮捕されるというケースも目立つ。背景にあるのは、「政経癒着」「縁故人事」「コネ政治」の横行である。

 公平公正な政治の実現を妨げる「負の側面」を克服するため、法制度の見直しや特権層の意識改革をどのように進めるか。罷免から60日以内に実施される大統領選が大きな試金石となる。

■ ■

 国政が停滞している韓国の内憂外患は深刻だ。北朝鮮は核開発を進めるかたわら、国連決議に反する弾道ミサイル発射を繰り返し、安全保障の重大な脅威になっている。

 北朝鮮の核・ミサイル開発に対抗するため米韓両国は、米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の韓国配備を始めた。

 中国はサード配備が自国の防衛態勢を弱体化させるとして強く反発、経済的な報復措置を打ち出した。

 日韓関係も慰安婦問題を象徴する少女像の設置をめぐって、日韓合意後もぎくしゃくした関係が続いている。

 トランプ大統領は現在、包括的な対北朝鮮政策を検討中といわれるが、韓国の大統領選の行方ともからんで、先行きは不透明だ。

 北朝鮮の暴走を食い止めるためには、韓・日・米・中の連携が欠かせないが、各国の安全保障や経済上の問題が複雑にからみ、効果的な対策を打ち出せないでいる。

■ ■

 罷免された朴氏は12日、「時間がかかるだろうが、真実は必ず明らかになると信じている」とのコメントを側近を通して明らかにした。韓国では、憲法裁の決定に不満を述べたものだと受け止められ、反発が強まっているという。

 懸念されるのは、大統領選を通して国内の分断が深まることである。今、韓国に求められるのは政治の安定であり、正常化である。混乱が長引くのは関係国にとってもマイナスだ。

最終更新:3/15(水) 8:20
沖縄タイムス