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《多国籍な教育現場》子供たちの体温は伝わるか?= 静岡県清水町の教育の取組み (3)「取り出し」と「入り込み」

3/16(木) 6:03配信

ニッケイ新聞

 めぐみ教室の予定黒板は1時間目から5時間目まで全部「こくご」。内容にその時間にやってくる子どもたちの名前が書かれている。

 全校へ向けて出されるめぐみ教室の時間割には、同教室に通う子どもたちの笑顔の写真が載っている。「みんなと一緒に勉強したり話したりできるように日本語の勉強を頑張っています。めぐみに行く時間を教えてあげたり、代わりに担任の先生に伝えたりしてくれると助かります」と、全校児童へ向けて、大上先生からのメッセージも添えられている。

 ある時間の「めぐみ」では、フィリピンとペルー出身の児童数人が、数え方の勉強をしていた。

「さつ」は何を数えるときに使うか、などイラストを黒板に貼りながらゲームのように進めていく。間違えながらも相談しながら楽しそうに活動している。

 「カエルは動物、『animal』だから、『まい』でいいの?」

 日本語で説明してもわからない場合は英語も使う。だが、南米出身の子には英語もあまり通じないこともある。

 使う教材のほとんどは手作り。その時間の指導内容は進度と一緒に勉強する子同士の組み合わせなどを考えて直前に変えることもあるという。

 いつも子どもたちを見ていなくてはできない対応だ。

 同教室の時間割は週5日1時間目から5時間までほぼ埋まっているが、大上先生は「取り出してはいないけれど、支援が必要な子はまだいるんです」と頭を抱える。

 「取り出し」のほかには、通常の授業中に、教室への「入(はい)り込み」という支援もある。

 低学年の教室で支援員が児童の様子を見ながら補助する学校が増えているが、同小学校では、県から1人が「学び方サポーター」として派遣され、週8時間、低学年に限らず様々な教室に支援に入っている。

 支援は日本語だけではないが、現在の支援員は英語が堪能なため、必要に応じて英語での説明が可能だ。

 ボランティアでは、不定期でフィリピン人の女性が来ており、そのときにはフィリピン出身の子どもたちが嬉しそうに話しているという。

 また、一般的には英語の授業だけを受け持つALT(外国語指導助手)の外国人が、同校では英語以外の授業にも、英語はもちろん、話せるスペイン語を生かして参加することも。

 めぐみ教室にもたいてい地域や父兄のボランティアが補助に入っており、学校全体に開けた雰囲気がある。

 「足りない部分はあると思いますが、見放したりしません。日本の子も外国の子もこの学校の子ですから」と鈴木校長は力を込める。(つづく、秋山郁美通信員)

最終更新:3/16(木) 6:03
ニッケイ新聞