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稲垣啓太、復帰初日までの道のり。サンウルブズ&日本代表への思いは。

3/16(木) 19:07配信

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)

 稲垣啓太は自分から「無理です」と申し出た。苦渋の決断だったろう。いつもは「コンディションを整えるのが仕事」と、骨に違和感があるなかでもゲームに出るのだから。

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 1月29日、東京・秩父宮ラグビー場。パナソニックの一員として、国内シーズンを締めくくる日本選手権決勝に出場した。相手の突発的な攻撃に対応する際、左腕上腕二頭筋などを故障した。

 この時はいつもと違って、手のひらを相手と逆の方向にひねったままタックルに行った。そのためぶつかった後に筋を不規則にねじり、プレーが続けられなくなったのだ。

 日本代表として13キャップを誇る身長186ンチ、体重116キロの26歳は、後半21分に退いた。

 チームが10-15で敗れるなか、正直に明かす。

「…めっちゃ痛いです。無理だと判断しました」

 あれから約1か月半が経った、3月13日。東京・辰巳の森ラグビー練習場に稲垣がいた。トレーニングが始まる前は、タッチラインの脇で入念にストレッチ、軽いジャンプの運動などをおこなう。パナソニック入り後に作ったルーティーンだ。

 この日は、日本代表のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチがナショナル・デベロップメント・スコッドの第2回キャンプを開催。全体練習の一部に参加した稲垣は、久しぶりにボールを触った。

 練習の序盤と終盤に組まれた持久力テストでは、概ね上位グループに入った。スクラムを第1列で組むPRにしては珍しいことだが、稲垣は「PRだから〇〇ができない、というのは嫌」。故障前から、スタミナのあるFW第3列勢と運動量を競い合ってきた。

 この日はこう語って、グラウンドを引き上げた。

「全治2か月と言われ、いま1か月半。4月の頭には間に合わせたいという思いはありますが、これから上がっていくかわからないけど、初日にしてはいい感じだったです」

 怪我の直後は、日本代表への入閣経験のある佐藤義人氏のもとでトレーニングを積んでいた。怪我の一因を「これまでなかなか身体をうまく使えていない部分もあった」とし、機能的かつリスクの少ない身体動作を磨いた。ただ復帰するのではなく、自らのレベルを上げての復帰を期す。

 前年度に続いて日本のサンウルブズへ加わっているが、リハビリなどのため一時離脱中。3季連続での参戦となる国際リーグのスーパーラグビーへは、4月からの合流を目指す。同月8日に秩父宮でおこなわれるブルズとの第7節で、その才を発揮したい。

 もっとも真に考えるは、自身の状態だ。プロアスリートとして、慎重な足取りを崩さない。

「そこ(4月)まで自分(の状態)が上がっていくか、によります。きょうはボールに触るのが1か月半ぶりでした。まだコンタクト練習に参加できてない。それをやり始めてから、です」

 昨年6月以来の代表復帰へは、「トップレベルのゲームに出続けないと得られないものは確かにある。まずは自分のために試合に出て、そこから感じるものを周りに還元できたらと思います」と意欲を語る稲垣。本格的なカムバックに向け、きょうも丁寧にウォーミングアップを施す。

(文:向 風見也)