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アーサに抗血液凝固作用、既存薬の1.7倍 血栓症の治療など活用期待

3/16(木) 5:15配信

沖縄タイムス

 健康長寿科学研究所(西原町、田幸正邦所長・琉球大学名誉教授)はこのほど、アーサ(ヒトエグサ)に含まれる多糖類「ラムナン硫酸」に、ヒトの血液の凝固を遅らせる作用があることを初めて明らかにした。ラムナン硫酸の科学構造も初めて解明した。今後、研究が進めば、血のかたまりが血管に詰まる血栓症の治療や、人工透析の際に「抗血液凝固剤」として活用できる可能性があるという。(政経部・又吉嘉例)

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 田幸所長が昨年7月、米国ニューオーリンズ市で開かれた「国際糖質シンポジウム」で発表した。今月17~19日に京都市で開催される日本農芸化学会でも報告する。

 研究は琉球大学農学部などで行われた。北中城村漁協が提供したアーサからラムナン硫酸を分離した上で、硫酸の濃度と分子の量がそれぞれ異なる7種類のサンプルを用意。それぞれをヒトの血しょうに加え、血液の凝固を遅らせる「遅延効果」を調べた。

 実験の結果、既存の抗血液凝固剤で多糖類の一種「ヘパリン」に比べ、ラムナン硫酸の濃度が最も高い(27・8%)サンプルが約1・7倍の遅延効果を示した。無処理のラムナン硫酸(硫酸濃度22・7%)も1・5倍超の遅延効果を示した。

 ヒトの血液が固まる時は、血液中のタンパク質「フィブリノーゲン」に酵素「トロンビン」が作用することで、繊維状の「フィブリン」ができる。このフィブリンに血球や血小板がからまり、集まることで凝固し、血栓となる。

 田幸所長によると、アーサ由来のラムナン硫酸は、トロンビンと結合してその作用を阻むことで、血液の凝固を遅らせるとみられる。

 アーサの抗血液凝固効果に着目した理由について田幸所長は「ほかの海藻類で研究例があった」と説明した。同氏は世界で初めて、オキナワモズクから有用成分「フコイダン」を発見した実績もある。「今後も沖縄の天然資源に眠る機能性の解明に取り組みたい」と意欲を示した。

最終更新:3/16(木) 14:15
沖縄タイムス