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茨城から沖縄・渡名喜島へ 開業9年「島民に感謝」島唯一の美容室、後継者に

3/16(木) 20:05配信

沖縄タイムス

 島のおしゃれに貢献し、毎月10日間だけ開業する沖縄県渡名喜村の「島の美よう室」で15日、創業者・福田隆俊さん(57)の最後の営業が始まった。髪を切って感謝される喜びをかみしめ、茨城県から通い続けて9年。娘の子育てを手伝うため、後進に道を譲る。福田さんは「島での暮らしに癒やされた。お世話になったお礼が言いたい」と話す。最終日は21日。(南部報道部・又吉健次)

 茨城で美容室を営む福田さんは2008年、初めて来島。理髪店がない島では母親が散髪するため、子どもたちの髪形が整っていないことに気付いた。2カ月後、はさみを持って島を再訪し、散髪すると喜ばれたことから開業を決めた。

 美容室は09年に開業。旧正月や敬老会前には、お年寄りがパーマや毛染めを楽しんだ。「おしゃれは長生きの秘訣(ひけつ)。長寿に貢献したのならうれしい」。一方、顔なじみの中学3年生が「15の春」で、お年寄りが老人福祉施設入所でそれぞれ島を離れることが寂しかった。

 福田さんは、昨夏から店を手伝う人を探していた。茨城の美容室で共に働く長女(30)が昨年11月に出産。育児に集中できる環境を整えるため、茨城の店に専念しようと考えたからだ。

 昨年11月~今年1月は、久米島町の男性(34)と大阪府の女性(53)が、別々に島を訪れて営業。店を継ぐと決意した神奈川県の男性(32)には、客の好みの髪形を伝えようと、2月は島で一緒に働いた。

 最終営業の初日、9年間通う給食調理員の渡口かおりさん(48)が、美容室を訪ねた。「店は居心地がいいし、他愛もない話を福田さんが聞いてくれる。また島に来てくれると思うので、特別な声掛けはしない」と、寂しさをこらえる。

 福田さんは「店は無理だけど、島はまた訪ねたい。最後の日には、さみしくなるのかな」と話した。

最終更新:6/26(月) 9:05
沖縄タイムス