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侍Jが乗り越えた空中分解危機、“米国行き”手にした舞台裏 投手吐き捨て「出番は権藤さんの気分次第」

夕刊フジ 3/17(金) 16:56配信

 アサヒスーパードライプレゼンツ第4回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で侍ジャパンは15日、2次リーグE組の最終戦でイスラエルに8-3の快勝。3戦全勝で4大会連続の準決勝進出を決めた。2勝1敗のオランダとともに、米ロサンゼルスで行われる決勝トーナメントへ。日本は22日(現地時間21日)にF組2位と準決勝を戦う。小久保裕紀監督(45)のもと、1次リーグから無傷の6連勝で最低限のノルマといわれてきた“米国行き”をクリアしたが、その舞台裏では何度かチームが空中分解しかねない危機にひんしていた。 (片岡将)

 「アメリカに行きます!」。小久保監督はお立ち台で感極まって声を張り上げた。

 当初は「史上最弱の日本代表」とまで揶揄された。チーム招集後、大会開幕前の対外試合5試合に2勝3敗で負け越した。4大会目にして初めての“凶兆”。不安ばかりが先行したが、ふたを開けてみれば無傷の6連勝。初めて土つかずのまま米国に乗り込むことになった。

 最初の危機は正捕手の不在だった。守備の要と当てにされていた嶋基宏捕手(32)が楽天の春季キャンプ中に左足を痛め代表を離脱。嶋の代役として白羽の矢が立った日本ハム・大野は、対外試合で外角に偏ったリードを批判された。

 3日の強化試合・阪神戦(京セラドーム)から、当初は同僚の巨人・菅野専用とみられていた小林誠司捕手(27)がスタメンに抜擢された。消去法の起用だったが、これが大当たり。指揮官が「小林の成長は非常に大きいものがある」と賛辞を贈る。

 昨年11月のメキシコ、オランダ代表との強化試合で後逸を繰り返したソフトバンク・千賀の“お化けフォーク”を体を張って止め、絶妙のタイミングでマウンドへ駆け寄り投手を励ますなど、地道に信頼を勝ち取っていった。昨季巨人でシーズン打率・204とからきしだったバットも、6試合で打率・444、1本塁打、6打点と爆発。侍ジャパンきっての“ラッキー・ボーイ”だ。

 また、この日のイスラエル戦で先発した野手を1人も交代させなかったように、小久保監督は選手交代に慎重。本大会の6試合で代打を出したのは4回だけ。スタメンで試合を戦い抜く方針だ。

 こうなると、ベンチスタートの選手には待てど暮らせど出番が回ってこない。「どうせきょうも出番ないので…」。一部には冷ややかな視線を送る選手もいて、レギュラー陣と“温度差”が生じていたのは事実だ。

 バラバラになりそうな野手陣をまとめ上げたのは、遅れて合流した青木宣親外野手(35)=米大リーグ・アストロズ。試合中にタイミングを見計らって円陣を組んでゲキを飛ばし、球場の外でも出場機会の少ない選手とレギュラー選手を一緒に食事に誘って士気を高めた。

 2013年の前回大会には内野手として出場した稲葉篤紀打撃コーチ(44)は、「青木の存在が前回大会との一番の違い。前回は慎之助(阿部=巨人)にキャプテンと4番と捕手の全てを背負わせてしまった。今回は青木がまとめ役をやってくれている」と頭を下げる。

 青木は「みんなでいい戦い方ができた。ジャパンは才能のある選手ばかりだけど、それが1つになるのは難しい。でも、それをやっていかないといけないし、そうするために動いてきた」。06、09年の優勝を経験しているベテランはチームの一体感の重要性を肌で知っている。

 “小久保ジャパン”にとって最大の危機であり、実はいまもなお脱したとはいえないのが、ブルペンの問題だ。

 指揮官が「偏った継投になったが、勝つパターンの継投ができあがった」と話すように、リリーフ陣は、重用される投手と登板機会が少ない投手に分かれている。

 試合中に登板準備指令がめまぐるしく変わり、ある投手は「出番は権藤さんの気分次第ですから」と吐き捨てた。

 投手陣の運用を全面的に任されている権藤博投手コーチ(78)も「その場しのぎのいきあたりばったりですよ。リードしたら試合を壊さないようにつないでいく、それだけ」と認める。

 野手陣に比べて投手陣は年齢層が若く、野手陣における青木のようなまとめ役不在はいぜん続いている。

 泣いても笑っても、大会は最多でも残り2試合。前評判が低く、開幕前は日本ハム・大谷の出場辞退が唯一最大の話題だった軍団は、2大会ぶりの王座にこぎ着けることができるだろうか。

最終更新:3/17(金) 16:56

夕刊フジ

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