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朴大統領失職 後任有力の文候補は北朝鮮寄り

3/17(金) 11:00配信

ニュースソクラ

朴氏は逮捕、起訴の可能性

 韓国の憲法裁判所は10日、国会に弾劾訴追された朴槿恵大統領に対し、重大な憲法違反を犯したとして罷免を言い渡した。日本のテレビも決定の言い渡しを生中継するなど高い関心を呼んだ問題は、韓国憲政史上初めて大統領が任期中に職を失うという衝撃的な結果となった。60日以内に次期大統領選が実施されるが、保守層からは強い反発が起きており、韓国は「政治的内乱」状態に突入し、北東アジア情勢も流動化しそうだ。

 大統領職を失った朴槿恵氏は大統領の不逮捕特権を失い、今後逮捕、起訴される可能性がある。

 大統領選は5月9日に行われるとの見方が強い。候補者の中では革新系の最大野党「共に民主党」の文在寅候補が支持率でトップを走っている。文氏は、2015年末に日本と韓国が結んだ慰安婦問題をめぐる合意に批判的で、再交渉を求めて来る可能性がある。

 日本の長嶺安政・韓国大使は、釜山の総領事館前に設置された慰安婦像をめぐり、1月上旬から一時帰国中だ。弾劾決定で韓国への帰任のメドは立たなくなった。

 また、文候補は、北朝鮮に近い姿勢を取っており、中国の協力を受けながら北朝鮮を開放させるというのが持論だ。北朝鮮のミサイルに対抗するTHAAD (サード=終末高高度防衛)導入にも慎重だ。

 トランプ米政権は、核開発やミサイルの発射を繰り返す北朝鮮に対し、先制攻撃も含むあらゆる選択肢を視野に入れている。このため、北朝鮮政策をめぐり、米国と韓国の新政権の間で意見の違いが表面化する可能性もある。

 北朝鮮は、大統領選挙の行方を見極めるため、挑発行動を一時的に控えるとみられるが、金正恩氏の出方は読めない。

 憲法裁は国会が弾劾事由として指摘した憲法・法律違反13件のうち、崔被告に機密資料を渡して国政介入を許した疑いや、サムスングループとの贈収賄疑惑などに絞って審理した。大統領の職務行為を規定した憲法に重大に違反したかどうかが焦点になっていた。

 午前11時から決定文を読み上げた李貞美裁判官は、「この決定が国論の分裂を終わらせ、和解の機会にしたい」と語った。

 朴氏の罷免を求める世論は、今月に入っても高く、3日に公表されたギャラップ社の世論調査では、77%が罷免に賛成で、反対は18%二過ぎなかった。
 保守メディアは「この程度の疑惑で大統領を弾劾すれば、次の大統領も弾劾される」「北朝鮮情勢が緊迫する中、国政の安定が最優先だ」などとして、弾劾回避を主張をしてきた。

 しかし憲法裁は、朴氏の行動が、国民からの信頼を失っていると判断し、満場一致で罷免を決めた。

■五味 洋治(東京新聞編集委員)
1958年生まれ。中日新聞社入社後、韓国延世大学留学。ソウル支局、中国総局勤務を経て、米ジョージタウン大学にフルブライトフェローとして在籍。著書に「父・金正日と私ー金正男独占告白」など。

最終更新:3/17(金) 11:00
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