ここから本文です

正男氏の長男ハンソル氏 台湾経由し第3国に?

3/17(金) 12:10配信

ニュースソクラ

米人権団体関与の見方も

 金正恩・北朝鮮労働党委員長の異母兄弟、金正男氏(45) がマレーシアで殺害された事件は、主要な容疑者がマレーシアを出国しており、 膠着状態に陥っている。そんな中、 正男氏の長男であるハンソル氏が動画サイトに突然登場。 父が殺害されたと発言し、その動向に関心が集まっている。 今どこにいて、何をしようとしているのか。

 ハンソル氏を名乗る男性が、動画サイト・ ユーチューブで公開されたのは3月8日のことだった。

 「私の名前はキム・ハンソルで、北朝鮮の金氏一家の一員だ。 私の父は数日前に殺害された」と流暢な英語で述べた。

 また現在、母親、妹と一緒にいると明かした。 さらにこの動画を提供した支援団体のウェブサイトには、 ハンソル氏らの保護に「オランダ政府、中国政府、米国政府、 そして匿名の政府」が関与したと明らかにし、「 韓国駐在オランダ大使エンブレヒツ様に特に感謝します」 と記されていた。

 「匿名政府」について、一部韓国メディアが「台湾ではないか」 と指摘したが、台湾の内政部移民署の何栄村・署長は9日、 立法院(国会)での答弁で、 ハンソル氏の入国記録はないが台湾を経由し、 他の国に行ったかは不明だと答えている。

 「台湾経由」を明確に否定しなかったことから、台湾を経て、 保護に協力した米国やオランダなど第3国に行ったのではないかと の見方も出ている。

 一部からは、ハンソル氏の保護に全米民主主義基金(NED・ 本部ワシントン)が関与しているとの指摘もある。 NEDは各国の民主化を支援する非営利団体だが、 予算の大半は米政府が拠出している。

 ウェブサイトによれば、2016年、 NEDは北朝鮮関連のネットメディアなど15団体に支援金を送っ ていた。

 米国内ではキリスト教団体が中心になって、 若い脱北者を大学に送るなど、 北朝鮮の崩壊に備えた指導者育成プログラムを行っており、 こういった団体が救援に協力した可能性もありそうだ。

 唯一、 具体的な名前が挙げられたエンブレヒツ駐韓オランダ大使は、 ハンソル氏について「何も言えない」 としてコメントを避けている。駐韓オランダ大使館も、 韓国メディアに対し「報道は知っているが、何も話せない」 としており、何らかの関与は間違いなさそうだ。

 オランダは北朝鮮とも国交があり、平壌に大使館を持っている。 昨年9月にはルッテ首相が訪韓し、当時の朴槿恵大統領と会談で、 「北朝鮮の核・ミサイル挑発や人権侵害に対し、 北朝鮮をこれからも糾弾し、圧力を加えていかなければならない」 と述べたと、韓国の聯合ニュースが伝えている。

 ハンソル氏は、1995年に平壌で生まれたので、 今年23歳になる。父の正男氏と考えが合い、 仲が良かったという。今回公開された動画の中では、 直接北朝鮮を批判する言葉はなかった。ただハンソル氏は、 以前テレビインタビューで正恩氏を「独裁者」 と呼んだこともある。再び動画を公開し、 北朝鮮の現状を批判する可能性もある。

 北朝鮮側も、 正男氏殺害のニュースが国内に広がらないよう神経を尖らせている ようだ。

 米国の対北朝鮮放送、自由アジア放送(RFA)によれば、 海外に派遣されている北朝鮮労働者に対して、関連のニュースを見せないよう、労働者個人が所有するスマートフォンの使用を禁止した。さらに中国との国境地帯では、 中国側の電波を拾って国際電話ができる中国製電話の大々的な取り 締まりを展開しているという。

■五味洋治 ジャーナリスト
1958年7月26日生まれ。長野県茅野市出身。実家は、標高700メートルの場所にある。現在は埼玉県さいたま市在住。早大卒業後、新聞社から韓国と中国に派遣され、万年情報不足の北朝鮮情勢の取材にのめりこんだ。2012年には、北朝鮮の故金正日総書記の長男正男氏とのインタビューやメールをまとめて本にしたが、現在は連絡が途絶えている。最近は、中国、台湾、香港と関心を広げ、現地にたびたび足を運んでいる。

最終更新:3/17(金) 12:10
ニュースソクラ