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<鳥インフル>「偽卵」抱かせて繁殖ストップ 水戸市対策

毎日新聞 3/18(土) 12:15配信

 多くのコブハクチョウが鳥インフルエンザウイルスに感染死した水戸市中心部の千波湖周辺で、同市が石こうでできた「偽卵(ぎらん)」をコブハクチョウに抱かせ、繁殖を制限する取り組みを始める。殺さずに個体数を徐々に減らし、インフルの拡散防止対策につなげる狙い。環境省によると、野鳥の繁殖制限は全国初の試みとみられ、注目を集めそうだ。

【図でわかりやすく】ハクチョウに偽卵を抱かせる取り組みのイメージ

 千波湖のコブハクチョウは、滋賀県彦根市から「友好の証し」として1970年に贈られたひとつがいが繁殖したもの。幕末期に大老、井伊直弼が水戸浪士らに殺害されて以来の「わだかまり」を乗り越えようとの狙いで、昨年11月半ばには48羽に増えていた。

 ところが、同月末に鳥インフルのウイルス感染が発生した。市はコブハクチョウが移動してウイルスを広げないよう羽の一部を切除しようとしたが、数の多さに断念。今年1月下旬までに30羽が次々死に、「野鳥監視重点区域」に指定された。

 指定は今月11日に解除されたが、野鳥のコブハクチョウは水戸市のシンボル的存在として市が給餌し、実質的な飼育下にある。市は、今後コブハクチョウが感染源となり周辺の養鶏場などに広がれば責任も問われかねない、と懸念を抱いた。

 そこで思いついたのが偽卵を抱かせる作戦。営巣で温められている卵を見つけては、石こうでできた本物と同じサイズ(縦の長さ10センチ前後の楕円(だえん)形)の偽卵にすり替える。コブハクチョウは1度に5個前後の卵を産むとされるが、巣に卵がなくなると再び産卵する。だが、本物の卵だと勘違いすれば新たに産むことはないという。来週にも鳥獣保護法に基づく茨城県の許可が下りる見込みだ。

 市は許可され次第、職員らによる手作りの偽卵生産にとりかかる。繁殖最盛期の4月には作戦を開始し、自然減も考慮してまずは数年かけて10羽前後まで減らし、その上で鳥インフルが発生した場合は隔離するなどして拡散を防ぐ計画だ。

 動物の繁殖抑制をめぐっては、名古屋市の東山動植物園などでも飼育鳥に施してはいるが、環境省・動物愛護管理室は「野鳥での事例は聞いたことがない」と驚いている。【根本太一】

最終更新:3/18(土) 21:31

毎日新聞

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