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佐野元春「シェアすべきことがある」

3/18(土) 7:00配信

Lmaga.jp

「オルタナティブなかたちをもう一度提案し直したい」(佐野元春)

シンガーソングライターの佐野元春がキュレーターとなって気鋭のミュージシャンを紹介してきた伝説のオムニバスライブ『THIS!』(1996年~98年)。当時、デビューして間もないDragon Ashやエレファントカシマシ、フィッシュマンズや山崎まさよし、UAやCoccoらをフックアップしてきたが、昨年8月に東京で18年ぶりに復活。そして、大阪でもついに初開催されることに。発起人である佐野に話を訊いた。

【写真】『THIS ! オルタナティブ 2017』の出演者

──佐野さんが声を掛けて始まったオムニバスライブ『THIS!』ですが、東京で1996年から3年間にわたって開催されました。その出演者を見ると、若い世代との邂逅を目指したように思えるのですが、どんな想いがあったんですか?

日本で初めてのロックフェスがおこなわれたのが1997年。『フジロックフェスティバル』ですよね。その1年前に先駆けて、こうした集合型のロックイベントをやった。僕は彼らより少し上の世代なんだけど、90年代になってオルタナティブな世代が素晴らしい音楽を作り出している、そういう印象があった。で、僕としてはその優れたバンドやシンガーソングライターを一堂に集めて、ロックフェスのようなものをやったら素敵じゃないかと。そういう発想で、レコード会社やマネージメントに話しかけて実現したのが、96年の『THIS!』でしたね。

──レーベルの垣根を超えて、という意味でも当時は斬新でした。

そうなんです。当時は各レーベル、マネージメントの壁が厚く、なかなかそういうイベントが開催しづらい状況だったんですね。そこはミュージシャンである僕が声を掛けたというところで、みなさん心の垣根を解いてくれて実現したという、稀なイベントでしたね。

──佐野さん自身が若いミュージシャンから刺激を受けたいというのも、目的のひとつとしてあったんですか?

それはないです。若いアーティストから刺激を受けるという感覚は、まったくないですね。むしろ、方向性を同じとするミュージシャンやバンドが一堂に集まり、1+1が10にも20にもなるような、そういう化学反応が起こる場を作ってみたい。そういう気持ちが強かった。

──昨年、東京で18年ぶりに開催された『THIS!』ですが、その空白期間や開催に至った経緯はどんな感じだったのでしょう。

まず、自分のことが忙しかったというのがひとつ。それから90年代以降、ロックフェスというのが一般的になりましたよね。各地で楽しいロックフェスがたくさん開催されるのはいいんですけども、まあ、批評するわけではないけども、質が均一化している。どこのロックフェスも、だいたい出演者が似たり寄ったりで、差別化ができなくなってきている。それで、集合型のロックイベントの、新しいかたち、オルタナティブなかたちというのをもう一度提案し直したいと。

──「オルタナティブ」というのは、今回の大阪公演のタイトル(『THIS ! オルタナティブ 2017』)にもなっていますが、佐野さんがデビューした80年代から、オルタナティブという言葉は常々あったと思うんですが、その意味合いというのは変わってきましたか?

「多くの人たちが言うところのメインストリーム、それは本当のメインストリームか?」という問いかけですね。もしかしたら、それを伝えているメディアに見間違いがあるのではないか、誤解があるのではないか、という問い直しですよね。

──「多くの人たち」というのは、一般のリスナーであったり、コンサートやライブに来られるお客さんだったり、ミュージシャン自身にとってもですか?

一般という定義が少し難しいですけどね、文化に対して積極的でない人々、音楽なんか無くなって、別に生きていけるよって人たち。ロックンロールのなかに政治なんて持ち込まなくていい、と言ってる人たち。そういう人たちだね。

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最終更新:3/18(土) 17:28
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