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除雪作業と空き家掃除 相身互い労力交換 山形の豪雪地帯と沿岸部

日本農業新聞 3/18(土) 7:01配信

共に高齢化 補完し交流

 高齢化や人手不足で除雪作業が大きな負担となっている地域が多い中、山形県では豪雪地帯と比較的雪の少ない近隣地域の住民が連携し、除雪と地域の空き家掃除の労力をシェアリング(分担)し、地域間交流につなげている。厄介者の雪だが、地域活性化のきっかけになる可能性も秘めている。

共に高齢化 補完し交流

 山間部の酒田市日向地区。3月中旬でも住宅や田畑が雪に覆われている豪雪地帯だ。人口は約1000人で、65歳以上の高齢化率は4割を超えるが、降雪が本格化すると除雪に駆け付けるボランティアで活気付く。

 地元住民の他、地区外の人を含むボランティア約100人が「ささえあい除雪」を実施。5年前から除雪が困難な高齢者宅などを支援する。

 農家の後藤正章さん(67)は「除雪ができない高齢者にとっては、命の危険もある」と支援に駆け付けた。雪に埋もれた自宅の周囲を除雪してもらった農家の村上静香さん(83)は「自分ではできないので、今年も2回作業してもらい助かった」と笑顔を見せる。

 除雪の日は日向コミュニティセンターで昼食交流会も開き、地元の女性たちが料理を振る舞う。住民とボランティアの交流の場を設定していることも、毎年の除雪活動を後押しする。参加者からは「地元の人と交流できた。また来たい」「大勢でやる雪かきは楽しい」といった声が上がった。

 今年度は除雪支援に新たな“助っ人”が加わった。同県沿岸部の鶴岡市三瀬地区から延べ11人が参加。積雪は少ないが、時折襲う大雪時に出動する「さんぜスノースイーパー」を自治会が主体となって組織しており、一部メンバーを日向地区に派遣した。

 日向コミュニティ振興会の工藤志保事務局長は「地域住民の刺激になった」、齋藤文之会長も「三瀬地区で取り組む山菜栽培など、今後も情報交換をしていきたい」と話すなど、除雪を超えた交流に発展しつつある。

 三瀬地区にもメリットがある。約500戸のうち2割もある空き家の掃除を、日向地区の住民に手伝ってもらう「労力交換」だ。昨年秋には9人が出向き、地元住民と一緒に350袋分のごみを片付けた。三瀬地区自治会の加藤勝会長は「人口が減る中で、助け合うことが必要だ」とみる。同会の石塚慶事務局長も「他地域の活動や課題を知ることが大切。今後、他の地域とも連携したい」と話す。

 総務省消防庁によると、今冬の雪による被害は死者54人、重軽傷者768人(2月末時点)。過去の統計を見ても死亡事故の大半が屋根の雪下ろしと除雪作業中に発生し、65歳以上の高齢者が6~8割を占める。今冬の事故は少なめだが、積雪量によって上下するため「減少傾向にあるとはいえない」(応急対策室)と話す。

最終更新:3/18(土) 7:01

日本農業新聞