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ふ化過程を可視化 “殻なし卵”授業で実験 文科大臣賞の生浜高教諭 田原豊さん(63)

3/18(土) 10:11配信

千葉日報オンライン

 勤務する千葉県立生浜高校の生物部と共に2012年、殻を割ったニワトリの卵から、ひなをかえすことに成功。30年以上続けた地道な実験が日の目を見た。透明な容器の中で、ふ化する一連の過程を簡単に観察できることから生物の授業に取り入れ、優れた理科教諭に贈られる本年度の東レ理科教育賞文部科学大臣賞を受賞した。

 実験は、市販の食用有精卵の殻を割って中身を取り出し、ラップを敷いたプラスチック容器に入れる。容器を保温庫で温めると、約3週間でひながかえる。簡易な道具だけで“殻なし卵”をかえす手法を確立させた。

 高校生の頃、偶然テレビでふ化実験を見た。卵を湯飲み茶わんに入れて行うもので、ふ化しても2~3日でひなが死んだ。その実験が深く印象に残り、生物教諭になってから「生徒にニワトリの発生を元気な状態で見せたい」と、手探りで実験を始めた。

 進展は一歩ずつだった。ふ化させる容器の開発や保湿と通気性とのバランスなど、少しずつ改良を重ね、研究開始から35年が過ぎた12年6月、保温から3週間が経過した卵を生物部員たちと徹夜で見守り、ついにふ化。元気よく「ピーピー」と鳴くひなを目にし「ヘロヘロの状態かと思ったら大暴れしながら生まれてきた。最初の1羽は本当に忘れられない」。そのひなは、いまではニワトリに成長している。

 翌年からニワトリよりも短時間で生まれ、誕生後も育てやすいウズラの実験を授業に取り入れている。実験の目的の一つは、生徒に命の尊さを実感してもらうこと。「もっと余計な作業を省き、他の学校でも実験してもらえるようにしたい」と、実験過程をまとめた映像や資料が教材になり、全国へ普及していくことを願っている。