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社説[山城議長保釈]抵抗の根の深さ示した

3/19(日) 8:55配信

沖縄タイムス

 保釈の知らせを聞き、支援者が急きょ、名護市辺野古など各地から那覇拘置支所前に集まった。

 保釈を心待ちにしていた女性たちは花束を抱え、喜びを満面にたたえ、早い人は4時間も前から、繰り返し歌を歌いながら、今か今かとその瞬間を待った。

 辺野古の新基地建設や北部訓練場へのヘリパッド建設をめぐる抗議行動で威力業務妨害、公務執行妨害、器物損壊などの罪に問われ起訴された沖縄平和運動センターの山城博治議長(64)が18日夜、初公判の翌日に保釈された。

 山城議長は昨年10月17日に逮捕されて以来、約5カ月にわたって、家族との面会も禁じられ、勾留されていた。

 山城議長が門の前に姿を現すと、支援者から一斉に歓声が上がった。「お帰り」「待ってたよー」。

 山城議長は「皆さんと再会できてこんなうれしいことはありません」「感無量でいっぱいです」と何度も感謝の言葉を口にし、目に涙を浮かべながら家族や支援者と抱き合った。

 この歓喜この一体感は普段、よそでは見られない性質のものだ。大衆運動のリーダーに対する信頼を感じさせるものではあるが、それだけではない。

 現地で抗議行動を続ける住民だけでなく、新基地建設に反対する県民が依然として幅広く存在すること。政府の基地政策の理不尽さと反対行動の正当性が多くの県民に共有されていること-それが、あの歓喜あの一体感を生んでいると見るべきだろう。

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 山城議長の長期勾留に対しては、国際人権団体や県内外の刑法研究者、市民団体などが相次いで即時釈放を求める声明を発表した。

 勾留が認められるのは主に「証拠隠滅のおそれ」があるときだ。だが、山城氏の容疑はいわゆる微罪にあたり、国際人権法に照らしても「証拠隠滅のおそれ」を理由とした長期勾留にはなじまない。

 那覇拘置支所前の広場では早期釈放を求める会の市民団体が、連日のように抗議行動を展開した。那覇拘置支所には国内外から400通を超える激励の手紙やはがきが届いたという。

 福岡高裁那覇支部は18日、保釈を認めた那覇地裁決定を支持し、那覇地検の抗告を棄却したが、国内外のこうした懸念の声が司法を動かしたのである。

 本人に逃亡のおそれがないこと、健康を害していることなどを考えれば、保釈はあまりにも遅すぎた。

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 長期勾留問題を考える場合、新基地建設やヘリパッド建設がなぜここまでこじれてしまったのか、原点に立ち返って考える必要がある。

 最後まで話し合いによる解決を求めたのは県である。政府は県民が納得できるような負担軽減ではなく、あくまでも新基地建設に固執する。

 最高裁判決を後ろ盾に、しゃにむに基地建設を進める政府に対し、現場では、選挙で示された民意を背景に今も連日、抗議行動が展開されている。本来、裁かれるべきは政府の基地政策である。

最終更新:3/19(日) 8:55
沖縄タイムス