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保険ショップ、異業種襲来で転機 少子高齢化・マイナス金利など経営環境厳しく

SankeiBiz 3/21(火) 8:15配信

 複数の保険会社の商品を比較・検討しながら販売できる利点を強調してきた乗り合い代理店(保険ショップ)に転機が訪れている。2016年5月に改正保険業法が施行され規制が強化されたほか、大手生命保険会社と提携して新たに保険販売に乗り出した異業種の脅威にもさらされているためだ。少子高齢化に伴う若年人口の減少や日銀によるマイナス金利政策の影響など厳しい経営環境が続く中、顧客獲得競争は一層激化しそうだ。

 ◆携帯、薬局、結婚式も

 「複数の保険ショップを見て回るお客さんが増えている」。乗り合い代理店の業界第3位「保険クリニック」で約9年間、窓口で相談を担当してきたファイナンシャルプランナーの山本淳子さんは顧客の変化をこう明かす。

 乗り合い代理店は2000年代半ばから徐々に増え始め、当初は公平や中立さを強調することが顧客に受け入れられ、急速に店舗数を増やしてきた。ただ、「販売手数料が多い特定の商品ばかりを売っているのではないか」といった懸念が指摘されるようになり、金融庁が規制を強化してきた経緯がある。

 パンフレットや看板で公平や中立性をアピールすることができなくなったほか、16年5月施行の改正保険業法で、顧客への情報提供や意向確認について義務化された。店舗数の増加傾向は続いているが「新規出店の一方で、開店して1、2年で閉店する店舗も増えてきた」(乗り合い代理店関係者)という。

 そうした厳しい環境に加え、大手生保と流通業界などの提携による異業種参入が近年相次いでいる。

 第一生命ホールディングス傘下の第一生命保険とネオファースト生命保険は今年2月、調剤薬局を運営する日本調剤と業務提携した。今後、薬局の店頭で両社の保険商品を販売する方針だ。16年9月にはヤマダ電機が住友生命保険の子会社と提携して店舗に保険ショップを併設。NTTドコモは首都圏の販売店の一部で、日本生命保険など9社の保険商品の取り扱いを始めた。結婚情報誌「ゼクシィ」関連の事業を手掛けるリクルートゼクシィなびも結婚式の会場選びなどに来たカップルなどを対象に保険の相談を行う「ゼクシィ保険ショップ」を展開している。

 大手生保と異業種の提携については、「オフィスのセキュリティー強化や共働き世帯の増加で、営業職員の販路だけでは若年層になかなか接触できない大手生保などが今後増やす可能性がある」(保険アナリスト)との見方が根強い。

 ◆質向上で生き残り

 規制強化に加え、大手生保と異業種の提携という“ダブルパンチ”にさらされる乗り合い代理店側も、サービスの質を向上させ、生き残りを図る動きもみせている。

 保険クリニックを運営するアイリックコーポレーションでは、人工知能(AI)を活用した、生命保険証券を自動分析できるアプリの開発を始めた。AIが文字をスキャンし、これまで蓄積してきた顧客データなどから、保険の加入や見直しのプランを提示し、顧客の利便性を向上させられるといい、早期の実用化を目指している。勝本竜二社長(52)も「大手生保と流通業などが提携した異業種参入は自然の流れ。共存共栄を図る」として、システムや従業員の教育に注力する方針を強調する。

 乗り合い代理店最大手のほけんの窓口グループは、地方銀行と提携した共同店舗の開発に力を入れる。

 ただ、日銀のマイナス金利政策の影響で、4月には金融庁が定める標準利率が1.0%から0.25%に引き下げられることで、契約者に約束する利回りの目安となる「予定利率」も引き下げられ、大手生保各社では終身保険や学資保険といった一部保険商品の保険料を値上げする見通しだ。乗り合い代理店にとっても一部の取り扱い保険商品の販売休止も見込まれる。

 右肩上がりで増えてきた乗り合い代理店が淘汰(とうた)されるのか、それとも参入した異業種の店舗と共存共栄を図ることができるのか。競争が激化する中、顧客目線でのわかりやすい丁寧な説明や販売がますます求められることになりそうだ。(永田岳彦)

最終更新:3/21(火) 11:51

SankeiBiz

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