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「犬連れ登山」は是か非か “犬お断り看板”の実態を探る

3/22(水) 14:00配信

THE PAGE

 「犬を連れての入山はご遠慮ください」――。登山道やハイキングコースで、時々こうした“犬連れお断り”の看板を目にする。その理由は大別して「環境保護のため」「犬嫌いの登山者もいるから」というものだ。これに対し、愛犬家の側からは「犬が環境に悪影響を与える科学的根拠がない」「人が良くて犬がだめなのは不公平だ」といった反論がある。その是非をめぐる論争は、犬連れ登山をする人が目立つようになったここ10年余り続いている。

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 筆者は長野県で犬を連れてトレッキングをしているが、先日、看板をめぐってある失敗体験をし、それをきっかけに身近な山にある4つの看板について設置の背景を調べてみた。その結果、「設置理由・経緯が明確で広く受け入れられている看板」がある一方で、「設置者不明の看板」「設置理由がよく分からない看板」「設置者の現在のスタンスとは異なる主張をする看板」があることが分かった。「看板」を通じて、公平な視点で論争の本質に迫りたい。(内村コースケ/フォトジャーナリスト)

登山道手前に設置者不明の看板

 3月に入り、信州の遅い春がわずかに感じられるようになってきたある平日、真田一族の故郷・上田市の外れにある「太郎山」に向かった。登山道手前まで人家が広がり、高速道路が貫く標高1164メートルの里山である。ファミリーで手軽に登れる山でありながら眺望が良く、山頂近くに神社もあることから市民に広く親しまれている。私と妻は、共に暮らす小型犬(フレンチ・ブルドッグ)に防寒着代わりのウエットスーツを着せ、リード(引き綱)をつけて近くに停めた車から登山口に向かった。すると、「他の登山者の迷惑になりますのでペットを連れての入山はご遠慮ください 上田市」と書かれた看板が地面に直接置いてあるのが目に入った。ガイドブックとインターネット上には、犬連れで入れないという情報はなかった。

 ここで、犬連れ登山に関係する法律について説明しておこう。まず、犬の入山自体を「禁止」する法的根拠はない。つまり、里山であろうと北アルプスの尾根であろうと、犬を連れて入山すること自体を罰する法律や条例はないのだ。

 ただし、最も厳しい環境保護対策が取られている国立・国定公園の特別保護地区(特に景観・環境の保全が必要と認められたエリア。富士山の五合目より上、北アルプスの尾根を中心とした一帯など)では、環境保護の観点から自然公園法の『国立・国定公園特別保護地区における動植物の放出等の規制』により「動物を放つこと」を禁止している。これは、犬連れ登山のみを想定した規制ではないが、ペットの犬について言えば、特別保護地区内でリードを外して放し飼い状態にすると罰せられる可能性がある(6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金)。

 一方、特別保護地区の内外で、森林管理署、自治体、市民団体などが独自に犬(ペット)連れでの入山の自粛を求めている山域も少なくない。環境省は、その場合は「地域のマナーを尊重してください」というスタンスを取っている。

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最終更新:3/23(木) 5:32
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