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個人の社会貢献活動「プロボノ」でスキルを活かす働き方を

3/21(火) 16:10配信

ZUU online

「プロボノ」という働き方があるのをご存じでしょうか。プロボノはラテン語の「pro bono publico(公共善のために)」の略で、知識労働者が本業のスキルを活かして社会貢献活動を行うことを意味します。

普段なら高給が望めるプロフェッショナルな人ほど、無報酬にもかかわらずプロボノに参加しようとするのはなぜでしょうか。プロボノの意義と仕組みを紐解きます。

■ボランティアとの違い

社会貢献活動といえばボランティアですが、ボランティアとプロボノは似ているようで大きく異なります。ボランティアは善意や時間の提供が主ですが、プロボノは専門知識や技能を提供します。また、ボランティアは比較的時間に余裕のある学生・主婦・シニアが中心ですが、プロボノはビジネスパーソンが自分の仕事を続けながら一部の時間をプロボノ活動に充てるのが特徴です。仕事で培ったスキルを活かし、全体の生産性を高めるプロ意識が求められる点が、一般的なボランティアとの違いでしょう。

プロボノは、全米法曹協会(ABA)が低所得者向けに無料の法的サービスを始めたことが起源とされていることもあり、弁護士・税理士・会計士・経営コンサルタントといった「士業」と呼ばれる専門家が主な担い手でした。しかし最近では、IT・経理・広報・デザインのほか、一般の営業職・事務職にまで分野が拡大しています。

具体的な活動内容は、例えば「寄付者を集める」という事業があったとします。まず広告代理店で働くプランナーがマーケティング企画をして、その方針に従いデザイナーがパンフレット、SEやプログラマーがWebサイトの制作を行います。入金管理や経理処理については事務や会計の専門家、業務フロー考案やプロジェクト管理はコンサルタントにというように、それぞれのスキルを活かしてプロジェクトを進行します。目的を達成した時点でプロジェクトは解散、参加者は次のプロジェクトの依頼を待ちます。

■活動の場はNPO法人

支援を受けるのは特定非営利活動法人(NPO)、社会福祉法人、中小企業などです。東日本大震災での活躍が注目されたこともあり、NPO法人の数は年々増加を続けています。2016年12月末時点で認証数は5万件を超えました。

非営利団体といえども、法人として活動を続けていくためには企業と同じように組織運営や業務遂行のためのノウハウが求められます。しかし資金が乏しく善意で集まったスタッフが多い中、そのようなスキルを持つ人材は不足しがちです。プロボノにより専門知識や技能を持つ人の手を借りることができれば、生産性の向上に役立つだけでなく、スタッフが彼らのノウハウを吸収することができます。

■メリットは個人や企業にも

サービスを提供する側が得られるメリットは、スキルアップです。サービス提供者と支援先団体の仲介を行うNPO法人サービスグラントが2013年4月1日から2015年3月31日に行った調査によると、参加者のうち「今の仕事に活かせる有意義な経験を得ることができた」と答えたのは半数に上ります。「自分の専門性やスキルを磨くことができた」「仕事の進め方や時間の使い方などが変わった」と答えた参加者も3割を占め、社外での社会貢献が仕事にも役立つことがわかります。スキルアップ以外にも、少人数でスピード感のあるプロジェクトに加わることによる手応え、自身の強み弱みの再認識できるなど、多くの金銭的価値以外の報酬が得られます

企業にとってのメリットもあります。社員教育にかける時間や予算が限られるなか、効率的に社員をスキルアップさせる手段としてプロボノに注目する企業が増えています。日本マイクロソフト株式会社は、社員のスキルや経験を生かしたNPO支援プログラムを実施しています。NPO法人や社会福祉法人など4つの団体に対し、さまざまな部署から集まった社員が社内システムの改善や業務プロセスの効率化に取り組みます。

このような活動により、社員は研修やeラーニングといった社員教育よりも実践的な経験を積むことができます。また、企業の社会的責任という観点においても、ただお金を寄付する行為よりも高い効果が望めます。

■個人が今から始めるにはどうすれば良いか

では、プロボノが実施されていない企業に勤める個人がプロボノを始めたい場合、まず何から手を付ければいいのでしょうか。

支援を必要としているNPO法人を直接知らない場合は、プロボノを仲介するNPO法人に登録するのが一般的です。登録する前に詳細を知りたい場合は、公式ホームページを参照するほか説明会や関連イベントに参加してみてもいいでしょう。まずはどんなプロジェクトがありどんなスキルを求められているのか、情報収集から始めましょう。

ただし、プロボノはあくまで無報酬です。経費などは支払われる場合もありますが、基本的には無給で取り組むことになります。やりがいが大きいために傾倒しすぎて本業がおろそかになっては本末転倒なので、いかに仕事と両立させるか考えることが重要です。(提供:リッチウェイズ)

最終更新:3/21(火) 16:10
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