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ヤマト労使交渉妥結。合意の内容は?今後サービスはどうなる?

3/23(木) 8:30配信

THE PAGE

 注目されていた宅配大手ヤマト運輸の労使交渉が妥結しました。ネット通販の普及で配達要員の負担が急増したことで、同社には社会的な注目が集まっていました。交渉の結果次第では、政府の働き方改革にも大きな影響を与えると言われてきましたが、果たしてどのような結論に至ったのでしょうか。

 今回の合意の柱となっているのは、荷物の総量抑制と時間帯指定の見直しの2つです。同社における宅配便の取扱い個数は2016年度には18億個になる見込みで、5年前の2011年と比較すると3割も増加しました。労使は宅配の料金を引き上げ、荷物の取扱総量を抑制することについて合意。今後、アマゾンなどのネット通販企業に対して値上げの交渉を行っていくことになります。

 もうひとつは時間帯指定サービスの見直しです。「正午から午後2時」の時間帯を廃止するとともに「午後8時から9時」の時間帯については「午後7時から9時」に変更します。正午から午後2時の時間帯指定を廃止することで配達要員が昼食を取りやすくなります。最近では共働き世帯の増加により夜の時間帯に指定が集中する傾向が顕著となっていますが、8時から9時では1時間しかなく労働が過密になることから、7時から9時の2時間枠に広げます。また当日の再配達受け付けの締切り時刻についても1時間繰り上げ午後7時とします(自動受付やインターネット受付は午後6時40分)。

 このほか、退社から次の出社までの時間について最短で10時間を確保するインターバル制度を導入するほか、賃上げについても妥結しました。

 ヤマト社内の方針が固まったことで、今後の焦点はアマゾンなど大口顧客との価格交渉となります。ネット通販事業者が値上げを承諾するのかは、現時点では何ともいえません。仮に値上げを受け入れた場合でも、値上げ分を誰が負担するのかという問題があります。通販事業者が負担すれば利用者に影響はありませんが、値上げ分を価格に転嫁された場合には、利用者が負担する必要が出てきます。通販事業者はこのところ独自の配送網を構築していますが、値上げをきっかけに独自配送システムが拡大する可能性もあります。

 今回は値上げとサービス内容の見直しという形で労使が妥結しましたが、ネット通販の拡大で荷物の取扱量が急増することは以前から分かっていたことです。本来であれば、企業はそれに合わせて人員を増やしていく必要がありますが、その点においてヤマトの経営判断は十分ではなかった可能性もあります。今後はAIなどを活用することで配送効率を格段に高めることも可能と言われています。宅配の問題は公共性の高いテーマですから、包括的な議論を続けていくことが重要でしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:3/24(金) 5:34
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