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パワー半導体市場、2025年に酸化ガリウムがGaNを抜く

EE Times Japan 3/22(水) 22:10配信

■次世代の中でも成長が著しいSiC

 富士経済は2017年3月21日、次世代パワー半導体の市場予測を発表した。それによると、2025年、SiCパワー半導体の世界市場は1410億円と、2016年比で6.9倍、GaNパワー半導体は450億円と、2016年比で32.1倍に成長するという。

 SiC-SBD(ショットキー・バリア・ダイオード)は、2016年に参入企業が増え、製品ラインアップが増加したことにより、同年の市場規模は170億円となった。富士経済は、今後も堅調に拡大していくと予想する。SiC-FETは市場が立ち上がったばかりだが、DC-DCコンバーターやインバーター、太陽光発電システムのパワーコンディショナーといった分野で採用が進み、2016年の市場は35億円となっている。

 SiCは2016年の時点では、サーバ用電源、UPS(無停電電源装置)、ストレージなどのPFC回路といった情報通信機器分野での需要が大きい。次が、太陽光発電システムのパワーコンディショナーなど新エネルギー分野での用途だ。今後、SiCの採用がとりわけ進むとみられているのが、自動車および電装分野である。急速充電スタンドやオンボードチャージャー(車載充電器)での需要が大きい。SiCを採用した駆動用インバーターは実証が進んでいて、2020年以降に、実車への搭載が活発になると富士経済は予測する。

 さらに、富士経済は、6インチSiCウエハーの製造が本格的に始まっていることから生産効率が上がり、低価格化が進むとみている。これに加え、SiCパワー半導体の量産に向けた設備投資が2017~2018年にかけて進むので、SiCパワー半導体向け製造装置の市場も拡大する見込みだ。

■より高耐圧のラインアップ拡充が進むGaN

 GaNパワー半導体市場は、SiCに比べると規模はまだ小さい。200Vなど低耐圧の領域を中心に市場が立ち上がったが、600Vクラスの中耐圧領域の製品化が本格化したことで、適用分野が拡大し、2016年の市場規模は14億円となった。富士経済によると、今後は、より高い耐圧を備えた製品ラインアップの開発や拡充が進み、市場の活性化が期待されるという。

 用途分野別では、SiCと同様、情報通信機器と新エネルギーでの需要が大きい。民生機器ではオーディオのパワーアンプなどで需要を獲得している。今後はPC、TVなどのACアダプター、エアコンなど白物家電のモーター駆動用電源回路部、LED駆動回路、ワイヤレス給電などでの採用が期待されるという。

■SiC、GaNに続くパワー半導体

 SiCとGaNの次の世代のパワー半導体として研究開発が進んでいるのが、酸化ガリウムだ。酸化ガリウムはバンドギャップが大きく、高品質かつ大型の単結晶基板を安価に製造できるので、次世代パワーデバイスの材料として有望視されている。実用化されれば、6000Vという非常に高い耐圧と、低い損失性を併せ持つダイオードやトランジスタを実現できる可能性がある。2015年10月には、NICT(情報通信研究機構)が、酸化ガリウムエピウエハーの開発に成功したと発表している。

 富士経済は、酸化ガリウムのパワー半導体は2018年ごろに量産が開始され、2020年の市場規模は10億円と予測する。同社は、2023年ごろにはSiCパワー半導体よりも優位性が際立ってくるとし、2025年には700億円と、GaNパワー半導体市場を超える規模になるとみている。600V以上の中高耐圧向けで採用メリットが大きく、鉄道や電力の銅電線などのインフラや、超高温という過酷な温度環境下で使用される地下資源の掘削機械への搭載が期待されている。

 酸化ガリウムの他には、ダイヤモンド系パワー半導体がある。こちらは、MOSFETにおいて、パワー半導体には欠かせない要素の1つであるノーマリー・オフ化が実現されたことから、実用化への期待が高まっている。富士経済は、同市場の立ち上がりは2025年以降になるとみている。

 Siパワー半導体を含む、パワー半導体の世界市場全体の予測は、次の通りである。

最終更新:3/22(水) 22:10

EE Times Japan