ここから本文です

長野新幹線開業に貢献 E2系「あさま」車両、2017年3月で引退 碓氷峠、境界を克服

3/22(水) 6:20配信

乗りものニュース

北陸新幹線、20周年を目前に

 JR東日本が今年2017年、同社の新幹線各路線が開業35周年(東北・上越)や25周年(山形)を迎えることから、「新幹線YEAR2017」キャンペーンを実施します。

【写真】かつて存在した「長野行新幹線」

 そうした記念の年、まもなくの3月31日(金)をもって、新しい道を切り開いたJR東日本の新幹線車両が引退します。長野新幹線「あさま」用のE2系です。

「長野新幹線」は、北陸新幹線が高崎~長野間のみだった時代の呼称ですが、E2系はその北陸新幹線が「長野新幹線」と呼ばれていた時代の代表的車両であること、2015年3月に長野~金沢間が延伸開業して、長野新幹線が正式名称である「北陸新幹線」と呼ばれるようになっても、引き続きE2系の営業は東京~高崎~長野間の「長野新幹線区間」であることから、分かりやすさを考え、ここでは「長野新幹線『あさま』用のE2系」とします。

 長野新幹線は、1998(平成10)年2月の「長野オリンピック」開催に合わせ、前年の1997(平成9)年10月1日に開業。そのときから走り続けてきた、オリンピックはもちろん行楽や出張、通勤、通学といった多くの利用者を運んできた長野新幹線「あさま」用のE2系が20年目の2017年、厳密には半年後に20周年を迎える前の2017年3月31日(金)、営業運転を終了するのです。

 このE2系は、JR東日本の新幹線次世代標準車両として1995(平成7)年より製造されたもので、長野新幹線で想定される“課題”を克服して登場。1997(平成9)年の長野新幹線開業に貢献しました。

E2系が克服した長野新幹線ふたつの課題

 日本は東日本が50Hz、西日本が60Hzと、電気(商用電源)の周波数が東西で異なります。長野新幹線はその“境界”をまたぐため、地域で異なる電気にどう対応するかがひとつのポイントでした。

 E2系は営業用の新幹線車両で初めて、50Hzと60Hzの両方に対応。この“課題”をクリアしました。後継車両のE7/W7系も、同様に両周波数対応です。

 なお東海道新幹線も“境界”をまたぎますが、こちらは沿線に周波数変換変電所を設け、東京駅まで60Hzの電気を供給する方式。1964(昭和39)年の東海道新幹線開業当時、車両側で両方の周波数に対応させる仕組みは、機器の重量が大きくなることなどから採用されませんでした。

 E2系が克服したもうひとつの大きなポイントは「勾配」です。長野新幹線は古くからの難所「碓氷峠」のある高崎~軽井沢間で、30パーミル(1000mで30mの高低差)という急な坂道がおよそ30kmも連続。特に、この長く急な坂を“安全に下る”能力が必要でした。

 そこでE2系は「抑速回生ブレーキ」という、摩擦力で車輪の回転を抑えるのではなく、車輪につながるモーターを発電機として使い、そのときの回転抵抗をブレーキ力にすることで、長い坂でも安全に速度を抑えて下れる機能を搭載。“難所”における安全性を確保しました。ちなみに抑速回生ブレーキを使用中、モーターで生み出された電気は架線に戻され、別の列車が活用。省エネにもつながっています。

 E2系は、長野新幹線が開業にあたり克服する必要があった「周波数」と「勾配」という課題をクリアし、文字通り長野に「新幹線」という新しい道を切り開いた車両なのです。

1/2ページ