ここから本文です

邦画シーンの“大人映画”ニーズに応えた韓国映画

オリコン 3/24(金) 8:10配信

 この3月、気鋭の若手監督が手がけた韓国映画3本が相次いで日本公開され、映画シーンをにぎわせている。カンヌ国際映画祭での受賞のほかハリウッドでも活動するパク・チャヌク監督の『お嬢さん』(公開18日間で興収3500万円)。國村隼が出演し、韓国の権威ある青龍映画賞で外国人として初受賞したことでも話題になったナ・ホンジン監督の『哭声/コクソン』(公開10日間で興収2600万円)。新鋭キム・ソンス監督が2大スター(チョン・ウソンとファン・ジョンミン)を迎えて圧倒的な人間の“悪”を描いた『アシュラ』(非公表)。それぞれ10数館ほどの公開だが、スクリーンあたりの動員数は非常に高く、話題性も伴っていることからロングランを続けそうな気配だ。

【写真】釜山映画祭で地元の映画ファンに囲まれる國村隼の人気ぶり

◆若者向け人気漫画実写の大作ばかりが話題になる邦画シーン

 ここ数年、韓国映画は日韓の社会情勢などからテレビをはじめとしたマスメディアでの露出がすっかり減り、パブリシティは映画媒体か一部のWEBメディアに限られ、シネフィルと呼ばれる映画好きのなかには韓国映画ファンは多いものの、なかなか一般層にリーチするヒットが出にくくなっていた。そんななか、國村隼が韓国で高い評価を受けたこととともに、ジャンル分けが難しいオカルトチックなクライムサスペンスという特異な作品内容も関心を引き、一般紙やスポーツ紙のほか芸能メディア全般で取り上げられ、従来以上のアプローチを見せていた。

 一方、邦画を振り返ってみると、ここ数年の流れではあるが、とくに今年は『ジョジョの奇妙な冒険』をはじめ人気少年漫画を実写化する大作が多い。また、少女漫画原作の学園ものも春休みシーズンに入ってからだけでほぼ毎週のように公開が続いている。邦画の大作が若年層向けにシフトしており、メディアにはそういった作品の情報ばかりが溢れるなか、邦画シーンにおける“大人が楽しめる映画”へのニーズに韓国映画が応える流れが生まれていくかもしれない。

◆大人が楽しめる“韓国ノワール”が映画ファンから一般層へも波及

 そもそも韓国映画は、是枝裕和監督や宮藤官九郎など日本のクリエイターにもファンが多く、とくにその真骨頂である韓国ノワールと呼ばれる世界観が映画ファンを魅了している。そんな良さに気づく一般層も増えているようだ。

 日本における韓国映画の観客は40~60代の男性層が中心だが、『哭声』の客層は「20~60代と幅広く、女性客も目立っています」(宣伝担当者)。『アシュラ』は人気キャストの影響もあって「映画ファンの若い男性のほか、韓流ファンの主婦層が多い印象です。良い口コミで広がっている傾向があります」という。また、『お嬢さん』は「レディースデイが土日を超える動員になっているほか、全体でも30代以上の男女が多く、これまでの韓国映画っぽくない観客層になっています」(配給会社)と女性層の増加と年代の広がりが見受けられる。

 今年は夏から秋にかけても、鶴見辰吾がソン・ガンホと共演した『密偵』や、日本でもファンの多いコン・ユの『新感染 ファイナル・エクスプレス』(原題『釜山行き』)など例年以上に韓国映画の話題作が日本上陸する。この春の3作のヒットをきっかけに今年は韓国映画に追い風が吹くかもしれない。
(コンフィデンス誌3/27号掲載)

最終更新:4/22(土) 11:10

オリコン