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私用メールを追求した米副大統領マイク・ペンスの自縄自縛 (後編) マイク・ペンスの私用メール問題はヒラリーと何が違うのか

3/23(木) 14:32配信

THE ZERO/ONE

「法的には問題がない」

ここまでは、「公務で私用のメールアカウントを利用していたヒラリーを厳しく非難してきたはずのマイク・ペンス自身も、私物のメールアカウントを公務に利用していた」というニュースの背景について説明してきた。しかし、彼らの問題は単純に比較できない。そこには大きな2つの違いがある。

まず、私用メールアカウントを公務に利用していた頃のペンスは、「インディアナ州知事」だった。3月3日のワシントンポストが指摘しているように、インディアナ州の州法には「私用のメールアカウントを公務に利用してはならない」という規則がない。連邦記録保持法が適用される国務長官とは立場が違う。

またペンスは、彼が公務で送受信してきた私物アカウントのメールはすべてインディアナ州が公文書として保管してきた、と主張している(※)。彼の主張が本当であるのなら、ペンスが私用メールアカウントを公務に利用してきたことは、「法的には」何ら問題がない。これはペンスの広報担当者も強調している部分だ。
 
※この主張に関しては、いくつかの疑問があり、またヒラリーも当初は彼と同様の主張をしていたのだが、いったん脇に置いておこう。

ハッキングされていたAOLのアカウント

もう一つの違いは、「ヒラリーの私物のアカウントはハッキングされた可能性が非常に高いと考えられているが、確実に証明されてはいない」のに対し、「ペンスのAOLアカウントはハッキングされており、そのアカウントが詐欺に利用されたことも報道されていた」という点だ。

ペンスが所有しているAOLのメールアカウントがサイバー犯罪の被害を受けたというニュースは半年以上前、2016年の初夏に報じられていた。地元紙『インディアナポリス・スター』の2016年6月1日の報道によれば、ハッキングされたペンスのメールアカウントからは、ペンスになりすました詐欺師からのメールが送信されたという。

そのメールは、ペンスが「滞在先のフィリピンで、ホテルに戻る道の途中で暴漢に襲われ、現金やカードや携帯電話を奪われた」という緊急事態に陥っていることを伝えたあと(もちろん、そのような事故は起きていない)、「大至急、ホテルや航空券の代金を支払わなければならないので送金してもらいたい」と依頼するものだった。詐欺に気づいたペンスは、「ご迷惑をおかけした」と関係者に伝えるとともに、自身のアカウントを変更した。

このようにして詐欺に利用された彼のAOLのアカウントが、「もしもヒラリーの私用アカウントのように公務にも利用されていたら笑い話だ」と考えた人は少なくなかっただろう。しかしインディアナポリス・スターが「情報自由法(Freedom of Information Act)」の下、このAOLのアカウントの情報公開を要請したところ、彼のアカウントで送受信されたメールには実際に、政府の業務に関わる情報が含まれていたことが判明した。

このような経緯もあって、この事件は「自分のことを棚に上げてヒラリーを非難してきたペンス」という表現で単純に面白がられてしまう傾向がある。だが、その背景には上記のような違いがあり、単純な比較はできない。

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最終更新:3/23(木) 14:32
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