ここから本文です

三井物産、日鉄住金物産への出資拡大検討

3/23(木) 6:01配信

鉄鋼新聞

 三井物産と日鉄住金物産は22日、三井物産が鉄鋼事業の一部を2018年4月をめどに日鉄住金物産に譲渡する検討を開始することで合意したと発表した。加えて、資本関係強化を目的として、三井物産による日鉄住金物産の株式の追加取得について検討を開始することで合意した。

 三井物産は現在、日鉄住金物産の株式を約11%保有している。これを20%まで引き上げ、持ち分法適用会社化することを目指す。株式取得の方法としては(1)第三者割当増資による方法(2)日鉄住金物産の既存株主からの取得(株式市場外における相対取引・株式市場を通じた取引)による方法―の組み合わせを想定。両社は重複する事業を整理し、役割分担する検討を始める。
 三井から譲渡する(1)具体的な対象事業の範囲(2)譲渡の方法(3)対価を含む諸条件―については今後両社間で検討・協議する。今年9月をめどに両社間で最終契約を締結し、国内外の競争当局による承認や必要な手続を経た上で、来年4月をめどに事業譲渡を実施する予定だ。
 三井物産は旧日鉄商事時代に、25%出資して役員を派遣した。国内コイルセンター事業を共同事業化(新日鉄住金と3社合弁で、NSMコイルセンターを設立)するなど両社は協業の歴史がある。13年10月に日鉄商事が住金物産と統合したことで(三井の)出資比率が11%に低下。三井としては、日鉄住金物産が連結対象先から外れたことで、株式の買い増しなどを検討してきた。
 なお現在の日鉄住金物産の株主出資比率は、1位が新日鉄住金で約36%、2位が三井物産で約11%。
解説/鉄鋼流通の再編加速/他商社、新日鉄住金の意向に関心
 三井物産と日鉄住金物産を合わせると、新日鉄住金の取り扱いシェアが4割に迫る規模になる。三井物産の幹部は「シェア4割に迫る存在感を生かして、販売力を強化したい。日鉄商事時代に25%だった持ち株比率が11%に低下しており、国内コイルセンターの協業での信頼関係などを基盤とし、さらに連携を深めていきたい」と考えていた。
 2000年代初め、新日鉄のメーカー商社だった日鉄商事は、経営環境が厳しさを増す中で、経営基盤の強化策として新日鉄と三井物産の支援を得て土地の含み損を一括処理。その処理に当たって減増資を実施し、新日鉄と三井が引き受け先になって三井は2割出資した。役員も派遣して関係を強化した。
 三井はその後、オプションを行使して出資比率を3割に拡大。その後、資産ポートフォリオの見直しを進める中で5%分を売却して25%に引き下げた。
 今回の動きについて他商社の中には「過去の経緯はともかく、新日鉄住金は、今なぜ三井物産なのか」という反応がある。新日鉄住金は特定の商社に偏り過ぎず、機能重視で商社を起用するスタンスを保ってきた。
 そうした中で三井物産が今回の方針を決めたわけだが、新日鉄住金では「これから協議を始めるということであり、その中身をよく吟味したい」(関係筋)との姿勢を示している。「合理的な内容で納得性があれば、それを進めていくということになるだろう」との意向を持つが、他商社も含めて是々非々で商社との付き合い・取引を考えるスタンスに変化はないだろう。
 ただ商社を含む鉄鋼流通は、メーカー数に比べて数が多いのも事実。一般的にコスト高の構造にある総合商社系は、トレード(物流)から事業に収益源を移し、トレードは外出し(分社化)して機動的・効率的に運営する流れにある。
 鉄鋼建材の分野では、すでに総合商社の旧7社が2陣営に分かれ、エムエム建材と伊藤忠丸紅住商テクノスチールの2社に再編された。他の分野でも個別の組み合わせで再編は徐々に進みつつあるが、もっと大掛かりな枠組みでの動きがあると考えるのが自然だ。
 目先、日新製鋼が新日鉄住金の子会社となったことで、一部では商流の変化も想定される。またメーカー系商社が、系列を越えて独立系などと相乗りし、国内流通を再編統合する動きも表面化しそうだ。従来の発想に捉われない形で、自社の将来像をどう描くか。トレードの重要性は認識しつつも、特に国内では、そこで十分な収益を確保するのは難しい。それぞれが持ち味を生かし、役割分担して、強いところをより強くする動きが強まるのではないか。
 日鉄住金物産は、三井から鉄鋼事業の一部を譲り受けることで、鉄鋼事業の比率が現在(売上げで7割)よりも高まることになる。鉄鋼に加え、住金物産時代から手掛けている産機インフラ・繊維・食糧も合わせた4事業本部を構える「複合専業商社」を標榜しているが、今後どんな経営のかじ取りをしていくかに注目が集まる。(一柳 朋紀)

最終更新:3/23(木) 6:01
鉄鋼新聞