ここから本文です

【ライブレポート】圧巻のグラハム・ボネット・ワールド

3/27(月) 11:54配信

BARKS

グラハム・ボネット・バンドとアルカトラスのダブル・ヘッドライナー・ライブが2017年3月、東京・大阪・名古屋で行われた。ハード・ロック史に冠たる名ボーカリスト、グラハムのオールタイム・ベスト選曲によるスペシャル・ライブだ。前半はグラハム・ボネット・バンド名義でレインボー/マイケル・シェンカー・グループから最新アルバム『ザ・ブック』に至る代表曲の数々、後半はアルカトラス時代のセレクションという二部構成だ。

◆グラハム・ボネット画像

ラインアップは前半のグラハム・ボネット・バンドがグラハム(Vo)、ベス=エイミー・へヴンストーン(B)、コンラド・ペシナート(G)、ジミー・ワルドー(Key/元アルカトラス)、新加入のマーク・ベンケチェア(Dr)という編成。後半はベスの代わりにゲイリー・シェアがベースで加わり、3人がアルカトラスの黄金期メンバーとなる。

グラハムは2016年8月にイベント<マイケル・シェンカー・フェスト>に参戦、ジミーとゲイリーは11月にニュー・イングランドのメンバーとして日本のステージに立って間もない。だが、2017年3月16日 渋谷O-EASTには幅広い年齢層のハード・ロック・ファンが集結、彼らのヒーローの帰還を待ちわびて開演前からヒートアップしていた。

そんな熱気は場内が暗転し、イントロのテープが流れた時点で沸点に達する。レインボーの1980年ジャパン・ツアーでオープニングを飾った名曲「アイズ・オブ・ザ・ワールド」からスタート。この瞬間、グラハムとバンドは観衆のハートを掌握してしまった。グラハムの声のハリとコントロールは、彼が絶好調であることを物語るものだ。1980年代でもライブでシャウトを決めると音を外すことがあった彼だが、今回は安定したボーカルを聴かせる。それによって新作からの「カリフォルニア・エア(ベター・ヒア・ザン・ゼア)」や「S.O.S.」「孤独のナイト・ゲームス」などのソロ・ナンバーはよりメロディの焦点が絞られることになった。

グラハム・ボネット・バンドとアルカトラスのダブル・ヘッドライナー・ライブが2017年3月、東京・大阪・名古屋で行われた。ハード・ロック史に冠たる名ヴォーカリス数々のギター・ヒーローと共演してきたグラハムゆえ、ギタリストのコンラドが超えねばならないハードルはきわめて高いものだ。だが彼はリッチー・ブラックモアやマイケル・シェンカー、イングヴェイ・マルムスティーン、スティーヴ・ヴァイらのプレイを見事に再現し、自らのテイストも加えながらプレイ。インペリテリの「スタンド・イン・ライン」でも彼はクリス・インペリテリの超絶速弾きを弾きこなしていた。

<マイケル・シェンカー・フェスト>では『黙示録』(1982)から「ダンサー」「デザート・ソング」「アソルト・アタック」が披露されたが、今回はそれに加えて「サムライ」が飛び出し、観衆をどよめかせた。レインボーの「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」「オール・ナイト・ロング」ではひときわ大きな歓声が上がる。グラハムの名を世界に轟かせたこの2曲ではバンド全員が一体となった演奏を聴くことができたが、マーク・ベンケチェア(Dr)がここぞとばかり存在感をアピールしていた。1979年にロサンゼルスでレインボーの生ライブを体験したことがあるという彼は、ありし日のコージー・パウエルを彷彿とさせるパワフルなドラミングを叩き出す。

「オール・ナイト・ロング」でグラハム・ボネット・バンドとしてのショーが終了すると、ベーシストがベスからゲイリー・シェアにバトンタッチ。間を置くことなく第2部、アルカトラスとしてのセットが始まる。「オハヨー・トーキョー」という意表を突くご当地ソングからスタートすると、『ノー・パロール・フロム・ロックンロール』(1983)と『ディスタービング・ザ・ピース』(1984)という2枚のアルバムから名曲のオンパレード。「トゥ・ヤング・トゥ・ダイ、トゥ・ドランク・トゥ・リヴ」「ゴッド・ブレスド・ヴィデオ」「ジェット・トゥ・ジェット」など、特にギター的に難易度の高いナンバーを連発、グラハムは「サファー・ミー」などでも熱唱を繰り広げた。

単なるグレイテスト・ヒッツ・ショーでなく、第2部をアルカトラスに割いたおかげもあり、「ウィッチウッド」「スカイファイア」などレアな曲を聴くことができたのも、ファンを喜ばせたポイントだ。ラインアップ的には第1部のグラハム・ボネット・バンドから1人が入れ替わっただけだが、ゲイリー・シェアが加わったことで一気に“アルカトラスらしさ”が漲ったのは興味深かった。必ずしも注目されることが多いわけではない彼のベース・プレイだが、こうして直接対比してみると、その存在の大きさに改めて気付かされるものだ。

「ヒロシマ・モナムール」と「アイランド・イン・ザ・サン」で第2部アルカトラス編はクライマックスに達し、アンコールは再びベスを迎えてレインボーの「ロスト・イン・ハリウッド」で大団円を迎える。グラハム・ボネット・バンドのアルバム『ザ・ブック』のボーナス・ディスク『リ・レコーデッド・クラシックス』での名曲再演集を聴いたときにも感じたことだが、ハード・ロックの歴史を彩ってきた名曲の数々が次々と演奏されるのを楽しむのと同時に、それらで歌ってきたグラハム・ボネットというシンガーに対する敬意を新たにさせられるライブであった。

文:山崎智之
Photo By Mikio Ariga

最終更新:3/27(月) 11:54
BARKS

Yahoo!ニュースからのお知らせ