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ソーシャルレンディングで海外投資!? 新しい金融仲介機能の役割とは

3/24(金) 20:20配信

投信1

「金融業とは極めてローカルなビジネスである」といった言説を聞くと、著者のように金融業界で生計を立ててきた者は一抹の違和感を覚え、反論の一つもしたくなるものです。マーケットと対峙していれば否応なくグローバルな情報収集は必須になりますし、マーケット間の連関性に無頓着な市場参加者は淘汰されていきます。

M&Aや相対融資といった、いわゆる「マーケット」がない金融行為にしてみても、「国際金融」を生業としてきた先人たちや海外の同朋の頼もしい後ろ姿に憧れ、追随してきた身としては「金融はローカルなもの」と断じてしまうことには直観的な拒否反応が出てしまうのです。

ところが、時間をおいてふとこの言説を咀嚼してみると、ある種の納得感を得てしまうことも正直に告白しなければなりません。確かに「グローバル」な金融取引を行おうとする時、ハードルとなってきたものは常に「ローカル」な問題であったと思い返してしまうためです。

金融における「国境」の意味

金融ビジネスにおける「国境」とは、ある制度と他の制度の間の相違点に他なりません。ここでいう制度とは、規制・法・インフォーマルな規範・慣習といった社会に埋め込まれたシステムを指し、そこに帰属する人間の社会行動の制約要因であると同時に道しるべとなるものです。

ある制度の中で許容される行為は細かく規律付けられており、その規律に反した者は明に暗に処分されることとなります。金融行為もその例外ではなく、その制度の中の規律に従わなければなりません。

たとえば、日本の銀行が、日本人の個人に対して提供している住宅ローン(例:住宅・敷地の抵当権を取り、30年、年利1%固定)をそのままスペインの個人に貸し付けることは現実的ではありません。必要ライセンスや抵当権の取り方は明示的に異なるものですし、不動産評価のあり方や借手たる個人の収入や職に関する価値観・考え方の違いは与信のあり方に大きな影響を与えます。

国際金融、あるいはグローバルな金融とは、端的に「国境」を超える金融取引であり、その本質は固有の制度と制度の間の相違点を理解・克服し、他の制度の中に自制度の顧客や資金を乗り入れさせる行為です。これは「グローバル化」という意味が時に内包する「均質化・同質化」という言葉とは異なり、差異を明確に認識した上で、その差異を乗り越える行為となります。

ここで必要となるのは、そのような金融行為をローカル社会に組み込まれているシステムに適合させること、また、他の制度に踏み入るために自制度と当該の他の制度との間の取り決めを遵守すること(外貨規制、租税条約、国際私法等)となります。

情報通信技術がかくも発展した時代にあっても、グローバルな金融機関が各国に支店網を敷くのはローカルな社会に埋め込まれたシステムに順応するためであり、国際金融取引が、ともすると複雑な仕組みを伴うのは、こうした制度間の相違を克服するための技術的な工夫の産物であるためです。

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最終更新:3/24(金) 20:20
投信1