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ラグビーと小さなASEAN

3/24(金) 13:01配信

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)

「私たちの心に残ったモットーは『One for All, All for One』です。このプログラムで学んだ『心を合わせて何かを行う』ということです」
 マレーシアから参加したルクマン・ハキムさんは来日の成果を堂々と発表した。

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 3月16日から19日まで、日本の外務省が取り組む対日理解促進交流プログラム『JENESYS2016 日ASEAN 青少年スポーツ交流』がラグビーをテーマに実施された。これは将来を担う青少年を日本に招聘し、参加国の青少年同士が友好を育み、日本の魅力について理解を深めることを目的に実施される事業で、例年スポーツをテーマにしたプログラムも行われている。2019年ラグビーワールドカップ開催を見据え、今年度はラグビーをテーマにASEAN10か国(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス)と東ティモールの計11か国から引率を含む260名が日本を訪れた。

 ラグビープログラムでは静岡県御殿場市の時之栖スポーツセンターでタグラグビーに取り組んだほか、2019年ラグビーワールドカップの試合会場となる静岡県袋井市のエコパスタジアムを訪れ、日本のラグビーを取り巻く環境やラグビー界における日本の貢献について理解を深めた。

 プログラムの企画運営に協力した(公財)日本ラグビーフットボール協会普及・競技力向上委員会国際協力部門の向山昌利氏は基調講演でラグビー憲章に触れ、なかでも「『尊敬』を心に留めて欲しい」と話した。今回のプログラムでは国ごとのチーム編成ではなく混成チームで練習・試合を実施。全員共通で理解できる言語はなく、参加者には協力し心を通わせてプレーすることを求めた。「国籍、人種、宗教、言語が異なる人とチームメイトになることはひとつひとつのチームが小さなASEANを体現すること」「タグラグビーへの参加を通じて、より良いASEANづくりの練習をしてください」とメッセージを伝えた。

 いざタグラグビーの練習が始まると、参加者はお互いをサポートしながらチームになっていった。ラグビー経験者はチームメイトにパスを教え、コツをつかんだものは周囲に共有する。言葉は通じずとも「タグラグビーを楽しむ」ために全員で力をあわせた。そこには小さなASEANがあった。

 4日間タグラグビーに親しんだ子どもたち。マスターコーチとしてタグラグビーの指導にあたった元日本代表の冨岡耕児氏がMVPに選んだのは東ティモールから参加した、誰よりも小柄な選手だった。チームメイトと協力し、フェアプレイを体現し、チャレンジする姿が素晴らしかった。

 試合後の交流会ではノーサイドの精神を表すように各国混成のテーブルで歓談しながら、各国の伝統舞踊や歌を披露した。
 多くの仲間とタグラグビーをとおして通わせた心。小さなASEANはいつの日かよりよいASEANを築くに違いない。