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LEGO BIG MORL 武器である“歌”を核に据えたアルバム『心臓の居場所』/インタビュー

3/25(土) 2:00配信

エキサイトミュージック

 
■LEGO BIG MORL/New Album『心臓の居場所』インタビュー

“歌”という武器を改めて磨きあげた11年目へ進むアルバム

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3月28日にバンド結成11周年を迎えるLEGO BIG MORLが、その翌日、29日に、11年目からを共に歩むアルバム『心臓の居場所』をリリースする。小林武史プロデュースの名バラード「あなたがいればいいのに」を筆頭に、“歌”を核に据えた11曲が収録されている。今回、エキサイトミュージックでは、このアルバムと、LEGO BIG MORLというバンドに迫るべく、カナタタケヒロ(Vo.&G.)、タナカヒロキ(G.)、ヤマモトシンタロウ(B.)、アサカワヒロ(Dr.)のメンバー4人に、それぞれ別のテーマでのソロインタビューを実施。第一弾はリーダのヤマモトに『心臓の居場所』がいかにして出来上がって行ったのかについて語ってもらった。
(取材・文/瀧本幸恵)

「誰かがいいと思ったものを、必ずみんなもいいと思う」

――オリジナルアルバムとしては前作の『NEW WORLD』から2年半ぶりになりますが、アルバムを作ろう、という動きはいつごろから始まったんですか?

ヤマモトシンタロウ(以下、ヤマモト):(バンド結成)10周年イヤーの企画が始まったとき(2016年初め)は、秋ぐらいまでにはオリジナルアルバムを出すつもりだったんですよ。ただ、その前にベスト盤を出すのはどうだ?っていうアイディアが生まれて。ベストってこういう機会でもないと出せないものでもあるなって思ったので、まずは6月にベスト盤(『Lovers, Birthday, Music』)を出したんですね。なので、動きとして始まっていたのがいつかって言うと、もう一年くらい前になるんですかね。

――10周年のツアーをやりながら、今作のテーマでもある“歌を伝える”ということを意識して行ったとお聞きしたのですが、何年か前からライブでやっていた曲も収録されていますし、選曲と曲作りはどんなふうに進んで行ったんですか?

ヤマモト:まず、自分の中では「end-end」(2016年1月リリース)が出来たことが、大きかったですね。『NEW WORLD』で、エレクトロ的な要素を取り入れるということをやって、新しいLEGO BIG MORLのサウンドが一つ出来たんですよ。ただ、そうは言ってもサウンドとしてはロックに寄っているものだったので、僕としてはもうちょっとポップなものも作りたいなって思って出来た曲が「end-end」だったんです。でも、出来た当時は、「この曲を今、LEGOでやるのちゃうでしょう」って、他のメンバーも周りのスタッフも言っていて。僕は押してたんですけどね(笑)。

――他の皆さんが違うって思ったのってどうしてですか?

ヤマモト:みんなはロックから離れてしまうっていうのを気にしていたみたいで。自分としては『NEW WORLD』からの流れで、むしろ総括みたいな気持ちもあったんですけどね。これまでと違うものを作るというより、ライブを意識するんじゃなくて、曲としての世界観を活かすことを考えたいっていう思いで作っただけで。でも、結局は曲自体はいいってことで、配信とライブ会場限定ってことでリリースするんですけど。

――そこからアルバム作りがスタートして、でも、アルバム全体のテーマは、そのあとに行われる10周年ツアーの中で明確になって行くんですよね。

ヤマモト:徐々にコンセプトが明確化して来たから、それまであった曲たちをそっちに寄せながら作ったという感覚ですかね。それこそ、今回のアルバムには何年も前からライブではやっていた曲もあったりしたんで、このアルバムに入れるためには、こういうアレンジにしようっていうような形で進めました。具体的な曲名で言うと、「最終回は透明」、「君の涙を誰が笑えるだろうか」、「美しい遺書」、あと「居場所」の破片もそうですけど、それらの曲は夏の合宿で作っていたんです。けど、その時点ではまだ明確にテーマが“歌”とはなっていなくて。だから、最初から“歌”をしっかり意識して作っていたわけではないんですよ。

――そうすると、4人の中で明確に“歌を聴かせるアルバムにしたい”っていう話は、どの辺りでし始めるんですか?

ヤマモト:たぶん、夏ぐらいですかね。やっぱり10周年だし、もともと予定していたオリジナルアルバムを作ろうっていう話になって、じゃあどういうものを作ろうかっていうところで話し合いをしました。

――そのときはすでに4人とも“歌”だよねっていう意見だったんですか?

ヤマモト:そうですね。僕らは意外と今までもそういうところがズレてることってないんですよ。それは不思議と。誰かがいいと思ったものを、必ずみんなもいいと思うっていう。今回は特に、10周年の始めのツアーでキンタ(カナタタケヒロ/Vo.&G.)が弾き語りをしたこととかを含めて、自然と歌に寄って行ってましたね。

――皆さん、性格はバラバラなのにそこはいつもズレてないですよね(笑)。

ヤマモト:(笑)。みんな自分たちの曲をもう一度見つめ直したときに、歌を聴かせたいって思ったんですよね。あと、僕個人の話になるんですけど、音楽をやって行く上で、自分が何を伝えたいのかっていうところをすごく考えたというのもあって。今まではアーティスト性というか、自分たちから出て来たカッコいいものを披露したい、自分たちから生まれた音をただ届けたい、見せつけたいみたいなところが大きかったんですね。だけど10周年ということで、バンドとしてもそうですけど、自分自身の10年とかも振り返って、自分の人生に於いての音楽の位置づけとか、音楽をやる意味とかを考えたときに、しんどい中での幸福感というか。人間、どんなにしんどくても、ちょっとしたことで少しは元気になるみたいな。そのありがたみを感じたんです。10年前にお世話になった人が、10周年だったら手伝うよって言ってくれたりとか。すごくしんどかったときに、お客さんからの手紙を読んで元気になる、とか。そういうものに自分がすごく助けられたっていうことに改めて気づくんですね。自分はアーティストとして、お客さんにとって憧れの存在でならなくてならない、みたいなものもちょっとあったんですよ。一段高いところ(ステージの上)にいるぶんっていう。でも、そういうことじゃなくて、同じなんやなって。ライブに来てても何かしら抱えてる人もたくさんいるだろうし、みんなそういうことを感じるよねっていう。そういう自分の人生観みたいなものをこのアルバムには詰め込みたいなって。そこに共感して欲しいというか。曲を聴いて、少しでも前向きになって欲しいみたいな感じで作りました。

――ヒロキさん(タナカヒロキ/G)が、今回はヤマモトさんから、歌詞の中に必ず“光”を入れて欲しいって言われたとおっしゃってましたが、そういう思いからだったりするんですか?

ヤマモト:そうなんです。死生観だったり、悲しいことに誰しも共感するところはあると思うんですけど、闇の中にいて光だけ見えても、それは一筋の希望ではあるけど、そこで終わりたくないというか。もうちょっと光の方に行ったらどうなるかっていうところまで書いて欲しかったんです。曲を聴き終えたときには、光の中に入って、ちゃんと少しは幸せかもって思えるような状態にまで行きたいって。例えば、「君の涙を誰が笑えるだろうか」だと、最後のところで2回サビが繰り返されるんですけど、<未だ見えない太陽も今は誰かを照らしている>ってところからのサビに関しては、ネガティブな歌詞は書かんといてくれって言いました。厳密なことを言うと、ここからコード進行が変わって、曲が明るくなるんですよ。そこに自分としては“最後は笑っていたいよね”っていう希望を込めたので、ここであんまりマイナスなことを書かないで欲しい、と。

――この曲の歌詞は、ちょっとこれまでのLEGOには無いというか。もちろん、要素としてはあったんですけど、ここまでストレートに誰かの背中を押すようなものってなかったなって思って。

ヤマモト:僕らの等身大の人生観が出て来ているんだと思います。『NEW WORLD』は、ヒロキの事故(2013年にバイク事故に遭い、ライブ活動を約1年間休止する)を経て、新しいスタイルを見つけるっていうところで、鬱々とした気持ちと、その先の希望みたいなところを閉じ込めたものになったと思うんですよ。未だ見えない未来をそこに託すような感じ。でも、今回は10周年を感じて作ったアルバムなので、嘘をつきたくないというか、恥ずかしいことが言えるようにもなりましたね。恥ずかしいことというより、恥ずかしいと思ってて言えてなかったこととか。


「LEGO BIG MORLっていうものに向き合って、それが上手く閉じ込められた」

――リスナーとしてですが、LEGOって1作ごとに変わってくる印象があって。1枚作って、次はこれ、また作って、次はじゃあこれって。前が日本料理で、今回がフランス料理っていう変わり方ではないんですけど、ずっと日本料理を作り続けてるんだけど、家庭料理の次が、料亭の料理みたいな、毎作、違うものが出てくるような印象なんです。

ヤマモト:1枚目の『Quartette Parade』から、2枚目の『Mother ship』のときは、変わろうっていう意志が明確にあったと思うんですよ。同じものをやってもカッコよくないでしょう、周りの予想を裏切ってなんぼでしょうっていう。特にあの頃はメロディを作るキンタ自身のモードに大きく左右されていたし。バンドとしてどうとかより、キンタがそのとき感じたものをみんなでやりましょう、みたいな。キンタから出て来た曲がカッコいいって思えたらみんなでやろうよっていう。そんなふうに昔は衝動的に変えて行くことも多かったんですけど、逆にこの『NEW WORLD』から『心臓の居場所』の流れでは、変えようっていう意識はなくて。作り方もそんなに変わってないし、そういう意味ではなんだろうな? 僕としては削ぎ落とされたっていうイメージなんですけどね。

――私は、丸くなった気がして。

ヤマモト:それもそうかも知れませんね。変にカッコつけてないという意味では丸くなったかも知れないです。さっき言った、アーティスト性の話じゃないですけど、もちろんいい作品を作ろうとは思ってるんですけど、そこに自分たちのキャラを無理して付けるような作り方はしなかったですね。ホンマに、10周年っていうことと、自分たちが30代前半を迎えたってことが混じってるんですよね。LEGO BIG MORLとしての自分と、一個人としての自分っていうものの両方の人生観がパッケージされて、こうなったっていう感じです。個人的には、特に「真実の泉」が、僕が思ってることをヒロキがそのまま書いてくれてたような感覚で、もうこれですっていう感じなんですけど。

――この歌詞はすごくヒロキさんっぽいというか。言葉の選び方も、言い方も。つまり、LEGOっぽいっていう感じがするというか。

ヤマモト:今回、歌詞はこれまでの全作品の中で一番共感出来ますね。「真実の泉」に限らず、全部の曲が。

――それってヤマモトさんからヒロキさんにこうして欲しいって言ったからですか?

ヤマモト:言ったのもあるけど、何も言ってないのもあるんですよ。だから、やっぱりみんな感じていることが少なからず近いものだったんじゃないかな、と。自分にとってLEGO BIG MORLをやって行く意味とか、みんながすごく考えた一年なんですよね。10周年とはいえ、10年で本当に進んで来たんだろうか?とか。でも、音楽が生まれる瞬間とか、染み渡って行く瞬間の心地よさは忘れらなくて、とか。とは言っても、それにすがり付くのは嫌だ、とか。そういうのがすごく歌詞に出てると思うんですよね。だから僕は共感出来るんだと思うんです。自分の心情を歌詞にしてくれているなって。

――そんなアルバムを象徴する曲が、リード曲の「あなたがいればいいのに」ですよね。この曲は2012年の時点でライブで既に披露していて。今回、アレンジを小林武史さんにお願いしたのはなぜですか?

ヤマモト:「あなたがいればいいのに」は、自分たちの中では一度、完結してしまったというか、作り上げてしまったんですね。でも、今回のアルバムに入れるに当たって、他の曲との差があるというか、バラードではあるんですけど、ロック色が強いなっていう印象があって。そこに小林さんの力を借りたいなっていうのがありました。それから、小林さんには『Mother ship』のプロデュースをして頂きましたけど、あの頃は、小林さんとLEGO BIG MORLっていう、普通だったら混じり合わないものが混じり合ったときの化学反応の面白さというか、そういうところが大きかったんですね。でも、今回は自分たちにとって完成してしまったものを、小林さんというポップスを知り尽くしている人にもう一段階、上げて欲しいっていう思いがあったんです。なので、自分たちから強く小林さんにお願いしたいって言いました。それに、小林さんは事務所に入る前から僕らのライブを観に来てくれていて、ずっと僕らを見続けてくれている人の一人でもあるので、この10周年というタイミングだからこそ、一緒にやりたいっていうのもありました。

――改めて完成したアルバムを聴いて、思うことはありますか?

ヤマモト:伝えたい気持ちが高まって作ったアルバムっていうのもあるんですけど、歌詞がすごく自分に響くっていうこととか、自分の人生観とか、音楽をやる意味を閉じ込められたってことを考えてみると、なんか自分たちに向けて作ったようなアルバムだなって、最近は感じていますね。

――そこに『心臓の居場所』というタイトルが付くんですよね。

ヤマモト:これは、みんなが言ってることとは少し違って、僕個人のことなんですけど、これを作ってる間、自分自身が自分の居場所を探してたところもあるんですよね。そこは、LEGO BIG MORLの居場所でもあるんですけど。生きて行く上での、自分たちの役割とか、使命とか。そういう意味で、心臓ってそれが無いと生きて行けないものじゃないですか。それの場所がどこにあるんやろう?っていう意味で、このタイトルにして良かったなって思ってます。特に、“居場所”って言うことで、単純な配置って意味の“場所”ではなくて、そこで生きて行くっていう意味がちゃんとプラスされたと思うので。正直なところ、自分としては、思ったよりもいいアルバムになっちゃったって感じです(笑)。前回上手く行かなかったから、これを何がなんでもみたいな、変に力が入ることもなく、力を抜いて作れたっていうのもあるし。自分自身がすごくLEGO BIG MORLっていうものに向き合って、それが上手く閉じ込められたから、トータル的にいいアルバムに、自分が納得出来るアルバムになりましたね。

――では、これを経て、これからのLEGO BIG MORLはどんな感じに進んで行きますか?

ヤマモト:僕はアルバムを作り終えると、いつもは、やりきった~、出しきった~、完成した~、はぁ~、みたいな(笑)、そんな感覚になっていたんですけど、今回は作り終えた瞬間に、次が欲しいって思ったんですよね。一つ何かが出来てしまうと、それは過去のものになって行くから。現在進行形で自分が生きて行くために鳴らして行く音楽が欲しいって思ってるところです。