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LEGO BIG MORL メロディメーカー・カナタがニューアルバムを全曲解説/インタビュー

3/26(日) 23:15配信

エキサイトミュージック

 
■LEGO BIG MORL/New Album『心臓の居場所』インタビュー

珠玉の11曲を、メロディメーカー・カナタタケヒロが全曲解説

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3月28日にバンド結成11周年を迎えるLEGO BIG MORLが、その翌日、29日に、11年目からを共に歩むアルバム『心臓の居場所』をリリースする。今回、エキサイトミュージックでは、このアルバムと、LEGO BIG MORLというバンドに迫るべく、カナタタケヒロ(Vo.&G.)、タナカヒロキ(G.)、ヤマモトシンタロウ(B.)、アサカワヒロ(Dr.)のメンバー4人に、それぞれ別のテーマでのソロインタビューを実施。第二弾はLEGO BIG MORLのメロディメーカーであるカナタに、全曲解説をしてもらった。当初、曲ごとに分けて紹介して行こうと思っていたのだが、インタビューを終えて、それよりもカタナの語り口調のままの方がより多くの想いが伝わるような気がしたので、敢えて、この形での掲載にした。曲が生まれて行く流れも感じながら、どんな11曲が入っているのか知ってみて欲しい。
(取材・文/瀧本幸恵)

≪『心臓の居場所』トラックリスト≫
1. 最終回は透明
2. あなたがいればいいのに
3. 真実の泉
4. 問う今日
5. 愛故に
6. melt
7. 君の涙を誰が笑えるだろうか
8. end-end
9. 美しい遺書
10. 居場所
11. 未来

◆プロローグ

――今回はメンバーの皆さんそれぞれにソロインタビューということで、別のテーマでお話を伺っているのですが、カナタさんにはLEGO BIG MORLのメロディメーカーとしての目線から、全曲解説をお願いしたいと思っています。早速、1曲ずつお話を伺いたいのですが、収録順にやって行きますか? それとも曲が出来た順とか?

カナタタケヒロ(以下、カナタ):うーん。じゃあ、出来た順がいいかな。

――そうすると、2曲目「あなたがいればいいのに」が最初になりますか?

カナタ:そうですね。「あなたがいればいいのに」が最初で、次がたぶん「真実の泉」(3曲目)。

――2015年のライブで「問う今日」(4曲目)もやっていますよね。

カナタ:そう? じゃあこれも2年前とかか。そしたらその次に古いかもね。で、「居場所」(10曲目)が一番新しい。

――「居場所」のメロディが頭の中で鳴り止まないです。そろそろ歌えそうな気がしています(笑)。

カナタ:あははは(笑)。歌えるでしょう。これシンプルなメロディだから。それで、次に古いのが「melt」(6曲目)かな。

――「melt」は曲自体もいいなって思うんですけど、カナタさんの歌い方がこのアルバムの中では個人的に一番いいなって思っています。感情が伝わって来るというか。

カナタ:ああ、確かに(笑)。「melt」はその日のレコーディングの2曲目とかに歌ったんですけど、この曲ってこのアルバムの中では一番LEGO BIG MORLっぽいというか、歌詞も毒々しくて、スカしてる感じがもするし、雰囲気もあるし。人間臭さがあって、それでいてちょっとエロい感じもあって、肩に力を入れないで歌えたんですよ。感情をオーバーに表現しても大丈夫な曲なんですよね。

――メロディはカナタさんが作っているじゃないですか。それでもやっぱり歌いやすい曲とそうでない曲ってあるんですか?

カナタ:ありますよ。メロディは自分が歌いやすいように作ってはいるんだけど、歌詞が付くことでニュアンスが変わることもあって。例えば、自分が作ったときより真面目な感じになっちゃうとか。だから、歌詞がこうだったら、こういうふうに歌った方がいいんじゃないかな?って変えることもあるし。その点で言うと、「melt」は自分が作ったままで歌えたって感じですかね。

◆2. あなたがいればいいのに

――歌い方で言うと、これまでライブでも何回か歌っているからなのか、「あなたがいればいいのに」もいいなって感じました。

カナタ:この曲は僕自身が、小林(武史)さんにアレンジしてもらった音に感動しながら歌えたからかな。

――2ndアルバム『Mother ship』(2010年)のときに小林さんにプロデュースして頂いたときは、振り返って修行のようだったっておっしゃっていましたけど(笑)、今回はどうして小林さんにお願いすることにしたんですか?

カナタ:そう(笑)、あのときはそうだったんだけど、今回は、僕らの方から強くお願いをして。「あなたがいればいいのに」は、自分たちの中ではもう完成していて、ホンマに小林さんの力がなかったらどうにもならへんってところまで持って行ってたから。小林さんには、俺たちはこういうアルバムを作るんでって。大きな意味で愛に溢れたアルバムにしたくて、それをみんなに届けたいって気持ちを伝えた上で、アレンジしてもらいました。歌が真ん中に来るようにしたい、歌を聴かせたいんですって。そしたら、こんなに素晴らしいアレンジをしてくださって。作るときはもう一瞬でしたよ。適当に作ったっていう意味じゃなくて、小林さんなりに降りて来たものがあったんだと思います。あのイントロとかも5分くらいで出来ていました。

――曲自体が出来たときのことって覚えていますか?

カナタ:スタジオで練習か、プリプロか、デモ作りか、まあ、そういうことをしているときに出来て。場所はよく覚えているんだけど(笑)。もう6年以上前の話でしょう。あの頃は僕もちょっと煮詰まっていた時期だったんですよね。そのときにヒロキ(タナカヒロキ/G.)が「こういう歌詞があんねんけど」ってサビの部分を持って来てくれて。その歌詞からメロディを紡いだっていう。基本的には曲先(曲を先に作ること)なんだけど、このときは歌詞が先にあったんですよ。

――この曲がこれまで音源化されなかったのってどうしてですか?

カナタ:うーん、なんて言うか、今じゃないって思っていたんですよね。

――曲が出来たときに手応えはあったんですよね?

カナタ:それはもちろんありましたけど。自分としては「Ray」(1stシングル、2008年)を超えるバラードという意識で。でも、アレンジは全然納得行ってなくて。実はそれもずっと小林さんには言っていたんですよ。そしたら、今回、このタイミングでアレンジしてもらえることになって、今の形に変わることでようやく出せる状態になったんです。

◆3. 真実の泉

――次は「真実の泉」についてお願いします。

カナタ:これは3、4年前だと思うんですけど。シンタロウ(ヤマモトシンタロウ/B.)が作ったオープニングのベースとドラムがちょこっと入ったデモがあって。なんかそれを聴いて僕はレッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)のある曲が浮かんで、それに対してのギターフレーズが浮かんだんですけど、それだけだと俺っぽいで終わっちゃうなって思って。なので、間奏に入っているちょっと民族っぽいっていうか、あのフレーズを考えたんですよ。レコーディングで弾いてるのはヒロキか俺かどっちか忘れたけど(笑)。

◆4. 問う今日

――「問う今日」は?

カナタ:これは実を言うとあるアニメをイメージして、書き下ろしくらいの気持ちで書いたんです。オケに関してはもともとはすごく前からあって、それこそ『Mother ship』ぐらいちゃうかな? その頃のデモに対して、シンタロウが「あれのオケはカッコいいと思うねん」って言ってて。歌詞とかメロディとかも入っていたんですけど、それを変えれば、絶対にカッコよくなるからアレンジさせてって言ってきて、それで出来ましたね。

――最初にテーマがあって曲を書くのはどうですか?

カナタ:僕はそういうものがあった方が作りやすいですね。

――そもそも曲のテーマっていつもどうやって決めているんですか?

カナタ:何もないところからまずこれって決めて、それに向かって書くとかはないけど、何かに刺激されて、ああいうもの作りたいなっていうのはある。いいライブ観て、いい曲を聴いたら、俺もあんな感じになれる曲を作りたいなって思うし、映画とかを観ていてエンドロールとかが来ると、俺ならこんな音楽を作るなって思ったり。そんなんはありますね。

――今回のアルバムの軸って“歌”だっておっしゃっていましたけど、曲作りという点で言うと、どんなところに意識が向くようになったんですか?

カナタ:J-POPの中に、「何万曲あんねん、このメロディライン!」みたいなものってあるじゃないですか。それって無意識に浮かんで来てしまうものではあるんですけど、これまで俺は絶対にそれを避けて来たんですね。美しかろうが、なんであろうが、そんな世の中に溢れているものは。でも今回、歌を中心にしたアルバム制作っていう観点から考えると、それも受け入れるというか。やっぱり自分が生きてきた90年代だったり、2000年代前半の音楽ってどこからしら自分に染み付いてるわけで。それを素直に表現することが、僕にとっての歌へ対する表現なのかなって思ったんですよ。


◆9. 美しい遺書

――自分から出てきたものがこれまであったものであろうが、なかろうが、良ければ採用するってことですか?

カナタ:うん。その感じが如実に出ているのが「美しい遺書」かな。このサビのメロディは、まあまああるでしょう(笑)。でもそれを使っているってことなんですよ。こういうポップなメロディを入れるのは恥ずかしいというか、いいのはわかってるんだけど、LEGO BIG MORLっぽくないとかって思ってたんですよね。「美しい遺書」はこのアルバムの中では新しい方の曲で、昨年の夏、シンタロウと一緒に山梨に曲作りのための合宿をしたときに作りました。シンタロウが持っていたデモが基になってます。

◆6. melt

――続いて、「melt」を。

カナタ:これは『NEW WORLD』(4thアルバム、2014年)に入っている「fin.」から派生した曲というか、「fin.」を作ってたら一緒に出来ちゃった、みたいな曲。ただ、『NEW WORLD』にこの2曲を入れると重くなるし、似たりよったりにもなっちゃうから、とりあえずそのときは置いておいて。でも、俺はずっと「melt」のことは気になってて。サビが好きだったんですよね。それで、今回のアルバムに入るってなってアレンジを少し変えて。あのギターのアルペジオは、本当にこのアルバム制作の最後あたりに思いついて入れました。

◆1. 最終回は透明

――では、1曲目に戻って「最終回は透明」。

カナタ:これもシンタロウとの夏合宿で作った曲ですね。シンタロウが作ったオープニングのシーケンスで作ったループしているフレーズがあって。それが僕の中でのひらめきのきっかけになって曲が出来ました。

◆5. 愛故に

――5曲目。「愛故に」。

カナタ:UKっぽいですよね(笑)。「RAINBOW」(8thシングル、2014年)とかと同じ時期に作っていて、そのときはディレイを使ってサウンドを作るのにハマってたんですよ。ノリで作りました(笑)。スタジオで、爆音ギターサウンドの中で作ったんで、このアルバムの中では一番ライブ感があると思います。

――歌詞も結構勢いというか(笑)。歌詞についてカナタさんからヒロキさんに何か言うことはないんですか?

カナタ:ありますよ。これも確か、最初は全然違う歌詞だったんやないかな? それで、もうちょっと毒々しくて、エロい方がハマるんちゃうか?ってことは言ったと思う。もっとヒロキっぽくっていうか。このアルバムの大きなテーマは“愛”で、全体として美しい感じにまとまってはいるけど、この曲はそんなふうに変にアルバムに寄せる必要はないって。「今の感じはハマってないな」って言ったら、この歌詞になりました。考えてみたら、この曲が一番歌詞についていろいろ言ったかも知れない。

――カナタさんも自分で歌詞を書いた曲もあるし、この曲にはこんな歌詞の方がいいっていう思いもあったりするわけで、ときには自分で書いてみよう、とはならないんですか?

カナタ:自分でもなんで自分は歌詞を書かんのかな?って思ったりもするんですけど。結局は、自分の出した音に対して、自分の言葉がハマらない気がして。僕の言葉ってすごく日常的なんですよ。だから、何がテーマかってなったら、俺の人生がテーマみたいになっちゃう(笑)。まあでも、最近、地味に書いたりはしているんですよ。今年辺り、そのアルバム出そうかと思って。10曲ぐらい集めて、自費で(笑)。

◆7. 君の涙を誰が笑えるだろうか

――発売されたら買います(笑)。では、「君の涙を誰が笑えるだろうか」を。

カナタ:これは『J SPORTS STADIUM2017 中継テーマソング』になっているんですけど、実は作る段階でそのようなことになるかもってことで。だから、スポーツ系の番組で流れることも考えながら作りました。応援ソングとまでは行かないんですけど、力強いっていうイメージは持ってましたね。

――悪い意味じゃなくて、ベタな感じがするなって。

カナタ:そうかも知れない。イメージを共有しやすいって言うか、伝えたいことが伝わりやすいって言うか、ストレートな表現なんですよね。だから敢えて、エンディングに“お~おおお”っていうのも付け加えたんです。あれは大ちゃん(アサカワヒロ/Dr.)が歌っています。彼、オーオー担当なんで(笑)。ええ声してません? 力いっぱい声を出すのが得意だから。

◆8. end-end

――(笑)。じゃあ、10thシングルでもある「end-end」を。アルバムの中の1曲として聴くと、改めてまたいい曲だなって思いました。

カナタ:俺もこの曲はアルバムで聴く方がいいなって思った。前後関係が見えるっていうか、ストーリーが見えて来て。単体で聴いていたときより救われるというか、ホッとするというか。この曲もオープニングはシンタロウのデモがあって、そこから作って行きましたね。イントロの“タッタララ~”っていうのが、シンタロウの頭の中で鳴っていたんでしょうね。この曲に関してはシンタロウなりに想像してる世界観みたいなものが明確にあって、その話を聞きながら、俺もメロディを作りました。だから、結構すぐに出来たんですよ。

――あのループのフレーズに、このメロディをつけてくるのもカナタさんっぽいなって。

カナタ:目の前にあるものを拾わないんですよ、基本的に(笑)。なんか、脳の後ろら辺で鳴っている何かを引っ張り出してくる感じです。わかります? メロディを言葉にするってムズイわ。

◆10. 居場所

――(笑)。だから、音にしているんですものね。では、「居場所」を。

カナタ:冒頭からアコースティックギターが鳴っているように、これは完全にアコースティックで作った曲ですね。ド頭のアコースティックが鳴ったあとのバンドサウンドのところはシンタロウのデモであったんですよ。なのでそこから始まってはいるんだけど、あれだけ聴いてたら桜吹雪みたいな、すごいあったかい感じがしません? だから、そこから脱却したくて、ああいうマイナー調の、ちょっと影のあるメロディを作りました。

◆11. 未来

――では、ラストの「未来」を。

カナタ:これはなかなか勇気のある曲ですよね(笑)。とにかく青くしたい、と。青春とか、高校生とか、そういう曲にしたくて作りました。このフレッシュ感は、30代の俺らっぽくはないですよね(笑)。

――それをアルバムの最後に持って来るっていうのも。

カナタ:もうここしかなかったんですよ(笑)。というか、このアルバムのエンドロールっぽくもあり、次、11年目に向かうオープニングっぽくもあるというか。歌詞の内容もそうなんですけど、サビでは二人が会話をしているような、掛け合いの感じで。メロディもそのつもりで作ったし、そういう気持ちで歌ってるんです。これはホンマ言うと、女性ボーカルと掛け合いたかったなっていうのもあったくらいで。とはいえ、結果的にこの曲でアルバムを締めくくれてよかったなって思っています。