ここから本文です

復刻連載「北のサラムたち1」第4回 プロローグ―ふたつの瀋陽事件(4) 北朝鮮から来た男の告白 石丸次郎

3/27(月) 15:16配信 有料

アジアプレス・ネットワーク

1993年7月、初めて朝中国境取材に赴いた直後に瀋陽で声をかけてきた北朝鮮の青年。彼は逃亡者であった。

◆青年の告白「北朝鮮から逃げてきました」
キム・ガンホは堰を切ったように一気に話し始めた。

「言論の自由のまったくない北朝鮮で教えられていることが、本当なのかどうか日頃から疑問を持っていた。党の出張で中国との国境近くの街までやってきて、逃げるなら今をおいてチャンスはもうないだろうと思い至り、豆満江に飛び込んだ。出張で持ってきた金を朝鮮族(中国籍朝鮮人、当時約190万人)に中国元に換えてもらい、服を着替えた。数日うろつく間に、たくさんの南朝鮮の人間を見かけ、南朝鮮は中国と国交を結んだのかなと想像した。それなら南の大使館があるはずだからと思い、情報を集め始めた。瀋陽にも同胞が多いと聞いたので、列車に乗って瀋陽に来た。車中では身分証のチェックはなかった。瀋陽は今日で15日目です。ずっと駅で寝泊まりしながら南朝鮮の人間と接触しようと思っていたが、うまくいかないままあなたと出会った……」

北朝鮮取材を始めた途湍、いきなり私の前に現れた逃亡北朝鮮青年の告白に、私は大いに驚き、戸惑った。座り込んで1時間ほど話し込んだだろうか、彼は立ち上がるとこう言った。

「あなたの話を聞いて、南へ亡命する決心がつきました。今頃は私が逃げたことが発覚して顔写真つきの手配書が朝鮮国内の検問所と、中国にいる北の安全員(警察)に出回っているはずです。すぐに北京に向けて出発しなければなりません」本文:2,659文字 この記事の続きをお読みいただくには、アジアプレス・ネットワークの購入が必要です。

  • 通常価格:
    288円/月(初月無料)
  • 会員価格会員価格:
    258円/月(初月無料)

サービスの概要を必ずお読みいただき、同意の上、ご購入ください。

Yahoo!プレミアム会員登録はこちら(月額498円)