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「一風堂」は世界の都市でメニューを変える ー 5つのラーメンに見る市場戦略

3/27(月) 20:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

ラーメンの「一風堂」を展開する力の源ホールディングスは、当時、博多駅前で5坪のレストランバーを経営していた河原成美氏が「女性でも入店できる『クール』なラーメン店を開く」と決心し、1986年に創業したラーメン・チェーンだ。今では、ニューヨークやパリなどの海外の主要都市で65店舗を展開し、年間売上200億円を稼ぐ。一風堂は、都市ごとにラーメンのメニューを変えることで、世界で「Ippudo」ファンを増やしてきた。そのメニュー戦略を力の源グローバルホールディングス・副社長の鈴木康義氏(65)に聞いた。

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ニューヨークが生んだ「クラムチャウダー Ramen」

ニューヨークは一風堂が2008年に海外で初めて店を構えた都市である。流行の変化は最速と言われるニューヨークで、一風堂が仕掛けた戦略の主軸は、「味の進化」と「スピード」だ。マンハッタンで同一のメニューを長期間提供しないという一風堂は、今まで400以上のスペシャルメニューを期間限定で開発してきた。

「(ニューヨークでは)味の見直しと変更をウィークリーでやってきた。舌は刺激に慣れれば、その刺激を刺激として感じなくなる」と鈴木氏は語る。

ニューヨーク展開の中で生まれたヒット商品が、「クラムチャウダー Ramen」だ。アサリの旨味を生かしながら、ホワイトソースをベースにしたスープに、平打太麺を合わせた一品。このメニューはその後、シドニー、東京、香港の店舗でも販売された。

2016年12月、セブン&アイと日清食品は共同でこのメニューをカップ麺として販売を開始。商品は「セブン・プレミアム IPPUDO NY クラムチャウダーヌードル」と名付けられた。

“難関の地”パリで開発した「茸(きのこ)香るベジ麺」

いちばんの“難関の都市”はパリだった、と鈴木氏は話す。

「どのマーケットもそれぞれに難しさがあるが、パリは特に難しい。本格進出の前にイベントも行い、色々なラーメンへの評価を見てきた」と鈴木氏。

試行錯誤する中、一風堂はパリの市場(マルシェ)で仕入れが可能な上質な材料からダシを取り、パリならではのスープを開発することを決める。

開発されたメニューは、動物性の食材を使用しないベジタリアン・ラーメン、「茸(きのこ)香るベジ麺」だった。数種類の茸と昆布からダシをとったスープに、パプリカ粉を混ぜた麺を合わせた。フランス南部の郷土料理「ラタトゥイユ」と、ビーツやフェンネルをトッピングに加えた。チャーシューの代わりにエリンギを使った。

一風堂は、「茸香るベジ麺」を東京・銀座店でも限定的に販売した。鈴木氏によると、パリでこのメニューを食べた客たちが訪日した際、このラーメンを求めて銀座店に並んだという。

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最終更新:3/27(月) 20:10
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