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LEGO BIG MORL 『心臓の居場所』に込めた想いを1曲ずつ作詞・ヒロキが明かす/インタビュー

3/28(火) 10:15配信

エキサイトミュージック

 
■LEGO BIG MORL/New Album『心臓の居場所』インタビュー

LEGO BIG MORLの言葉をつむぐタナカヒロキが、そこに込めた想いを明かす

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3月28日にバンド結成11周年を迎えるLEGO BIG MORLが、その翌日、29日に、11年目からを共に歩むアルバム『心臓の居場所』をリリースする。今回、エキサイトミュージックでは、このアルバムと、LEGO BIG MORLというバンドに迫るべく、カナタタケヒロ(Vo.&G.)、タナカヒロキ(G.)、ヤマモトシンタロウ(B.)、アサカワヒロ(Dr.)のメンバー4人に、それぞれ別のテーマでのソロインタビューを実施。第三弾は今作の全曲の作詞を手がけるヒロキに、1曲ずつその言葉に込めた想いを紐解いてもらった。
(取材・文/瀧本幸恵)

≪『心臓の居場所』トラックリスト≫
1. 最終回は透明
2. あなたがいればいいのに
3. 真実の泉
4. 問う今日
5. 愛故に
6. melt
7. 君の涙を誰が笑えるだろうか
8. end-end
9. 美しい遺書
10. 居場所
11. 未来

◆1. 最終回は透明
「いろんな人へ向けた大きな歌でもあるし、僕個人の歌でもあります」

この10周年イヤーでずっと言い続けていることでもあるんですけど、10年間続けて行く中で、僕らも出会いより別れの方が増えている年頃になって。それはバンドとしても、プライベートでもなんですけど。そういうことを身をもって痛感する中で、僕らはこの一年、10周年イヤーをハッピー感を持って過ごさせてもらっていて。それは当たり前のことではないです。もちろんそんなのわかってるし、わかっていながらやっているんだけど、ちゃんと言葉として伝えたいっていう思いでこの歌詞を書きました。SNSとかでも言ってはいるけど、曲にしておきたかった。僕個人としてもこの一年はいろいろと考えたし……簡単に言うと、この10周年を節目にして(バンドを)辞めようかな、とか。LEGO BIG MORLが嫌いとか、そういうことではなくて、自分自身の人生観として。メンバーと話し合うとかまではしてないですけど、そういうことを考えたりはしました。いつか花咲くときが来るからやり続けるんだ、とかじゃなくて、単に辞められないっていう思いのまま、ずるずると来ちゃってるところもあるのかな?とか。自分たちが惰性で動いているとは思わないけど、そこにリンクする情景描写として“観覧車”って言葉を使ったりしてます。やっぱり年行ってる分、“錆び”てるところもあるやろうし。でも、お客さんは“透明”なままで、僕らにキラキラした顔を見せてくれている。僕はステージからそれを見ながら、こう思っているってことですかね(照笑)。タイトルは最後に付けたんですけど、結局、10周年っていう節目でも僕は答えを出せなかったなっていう。そもそも別に答えを出すつもりなんてなかったのかも知れないけど。でも、最終回が何色かなんてちゃんとわかっている人なんていないと思うし。だから、この曲はいろんな人へ向けた大きな歌でもあるし、僕個人の歌でもあります。

◆2. あなたがいればいいのに
「言いたいことがストレートなら、ストレートが投げられるようになった」

この曲は随分前からあったんで、歌詞を書いてるのも『Re:Union』(3rdアルバム、2011年)の頃、(東日本大)震災があった頃に書いてますね。当時はやっぱり日本全体に喪失感があって、そんな中で僕自身も個人的にちょうど大切な人との別れとかもあって。ただ、自分でも引くんですけど、別れは悲しいし、めっちゃ泣いたりもしてるんだけど、頭のどこか2%くらいのところで「今や! 歌詞書ける」って思っているんですよね。マジで頭おかしい(苦笑)。嬉しいことがあったときより、悲しいことがあったときの方が、歌詞を書けるって思っている自分がいるんですよ。この曲は僕には珍しくはっきりとしたラブソングなんです。これまではラブソングだとしても、そうじゃなくも取れるように書くことが多かったんですけどね。これはこの曲に限ったことではなくて、このアルバム全体について言えることなんですけど、タイトルに日本語が多いこともそうですし、逃げなくなりました。カッコつけずに、丸みを帯びることに身体がやっと順応してきたのかな(笑)。一周して、言いたいことがストレートなら、ストレートが投げられるようになった。言いたいことがカーブなら、カーブも投げていますけど、ストレートがちゃんと投げられる器も出来たんだと思います。ただ、この曲は6年前とかのはずなのに、すでにその器があったんですよね。そういう意味では「Ray」(1stシングル、2009年)もそうだし、これまでも1曲単位では出来ていたことを、今回はアルバムという作品単位で出来たことで、この「あなたがいればいいのに」も、ここに居ることが出来たんだと思います。

◆3. 真実の泉
「身近と神秘的が同居している」

これはヤマモト先生(ヤマモトシンタロウ/B.)が絶賛してくれている歌詞なんですけど(笑)、「ヒロキの集大成のような歌詞な気がするよ」って。使っている言葉自体は普通の言葉なんだけど、僕っぽく表現が出来たかなって。かつ、普遍的であり、いびつ。なんか今話してたら、シンタロウの言う通りのような気がして来た(笑)。集大成な感じが確かにしますね。「ああ、ホンマやな」ってことも書けてるし、大きなところも書けてるし。身近と神秘的が同居しているような歌詞ですね。

◆4. 問う今日
「生きるとは、選んで行くこと」

最初はあるアニメの世界観を出発点に書いたんですけど、結局、それだけの要素にはなってないですね。これは自分の中ではテーマがはっきりしていて、“生きるとは、選んで行くことだ”っていう内容の本を読んで、「そうやな」って思ったところから広げています。あのときああしていればっていう話ではないですけど、そういう瞬間、瞬間の連続で、今の僕という人生が進んでいるな、と。そして、その舞台が今は東京であるという。だから、「問う今日」なんです。今の瞬間、瞬間を問うっていう意味で。まあ、“東京”をかけた、しょうもないダジャレですけど(笑)。「俺は今、生きている」って、漠然と“生きている”って言っていますけど、生きるって何してることなんだろう?って思ったら、選んで行っていることなのかな?って。今日、何を食べようかなっていうようなどうでもいいような選択から、この先どうやって生きて行こうかっていうような大きな選択まで、そのすべてが重なったとき、やっと死ねるのかなって。東京については、正直まだ、人以外は好きっていうところまではなれてなくて。友達のことは好きで、その人たちに会えるのが東京っていうだけで、別に北海道とか、会えれば東京である必要はないんですよ。そのちょっと冷めている感じも書けたらな、とも。別に東京を悪く言ってるんじゃないんです。そもそも僕も住んでいるわけだし、文句言うなら大阪帰れっていう話ですから(笑)。そうじゃなくて、どこかむなしさがある感じであったり、でもWi-Fiとかで繋がっていたり、多国籍なところだったり、そういう中から選択して、今、32歳の僕が出来上がっている。そういうことですかね。

◆5. 愛故に
「“愛故に”って言っておけば行けるでしょう」

とりあえず“愛故に”って言っておけば何でも許してもらえるかなって(笑)。よく人と話していて「いい意味で不細工ですよね」とか、「いい意味で変な曲ですよね」とか、“いい意味”って言っておけばなんとかなることあるじゃないですか。だから、“愛故に”って言っておけば行けるでしょうっていう。そういう歪んだ愛を書きたいって思ったんです。このアルバムの大きなテーマは“愛”だったんで、温かみのあるアルバムにしようって決めていたけど、1曲くらいは歪んだ愛も書きたいなって。最後に、<たまに普通に>って言っているのは、いびつな愛をずっと言い続けているから、逆にいびつの方が正常に感じて来るんですよ。なので、最後に救いを書いた。たまに普通のこともしておかないとね、変態なことばっかりしててすみません!っていう(笑)。そういう自分へのフォローでもあるし、最後はちょっとおかしくなっている頭を、正常に戻してお返しします~みたいな。


◆6. melt
「『melt』だけは光を見せていないです」

今回のアルバムの歌詞に対して、シンタロウから1曲ずつ最後には絶対に光を見せて欲しいってお願いをされていて。だからそうしているつもりですけど、「melt」だけは光を見せていないです。その代わりに、“sunlight”とか、光を感じる言葉を使っています。ストーリーで光を見せるんじゃなくて、ワードで見せてます。音は最後に向かってどんどん昇天して行くようなイメージなので、ここは言葉まで合わせなくていいかな、と。なので、<一生来ないさ>で終わらせています。今回のアルバムは僕の歌詞の特性を踏まえた上で、あんまり毒々しかったり、突き放したものより、温かみのあるものにしたいって話をメンバー間ではしていて。いつものヒロキみたいに書いてくれていいんだけど、最後は光を見せて欲しいって。それは、やっぱりこのアルバムのテーマが“愛”だからってことなんですけど。まあ、基本的には僕の美意識に任せてくれています。

◆7. 君の涙を誰が笑えるだろうか
「鎧を着せてもらった気分」

自分が部活をやっていた頃のことを思い出して書きました。聴き方によっては応援歌って捉える人もいるかも知れないですね。『J SPORTS STADIUM2017 中継テーマソング』に起用して頂いたから言うわけじゃないですけど、スポーツ選手ってすごく儚い職業やって思うんですよ。幼い頃からそこに人生を捧げて、さらにそうやって来た人のほんの一握りしかプロになれなくて。だから、その人たちに光る汗とか、涙とかって、ホントにスゴイなって。なんか、スゴイって言うとアホみたいですけど(笑)、でも、スゴイことやなって。その辺りを汗臭くならないように、LEGO BIG MORLの美意識の中で書きました。たぶん、こういう系の曲は「溢れる」(2ndシングル、2009年)以来、書いてない。実を言うと、今回のタイアップがつくかも知れないっていう状況で書いていたこともあって、大義名分があったおかげで自分では普段使わないワードも使うことができたし、鎧を着せてもらった気分で書けたところもありましたね。

◆8. end-end
「この設定はドンピシャでした」

この曲は何かが終わることで何が始まるという、この設定を思い付いた瞬間に“勝った”と思いましたね。最初に“heartbeat”ってワードが出てきて、そこから設定を思い付きました。それこそいろんな設定を思い付くんですけど、LEGO BIG MORLでは採用されないものもたくさんあるんです。それは、LEGO BIG MORLっぽくないとか、LEGO BIG MORLの美意識からは外れるとかで。でも、この設定はドンピシャでした。結果的に、この曲が入るアルバムに“心臓”という言葉が入るくらいだから、それだけハマっていたってことですよね。実は、この設定自体は前からあったもので、絵を描いている友達と一緒に絵本を出したいなっていう話になって、その脚本用に考えていたものだったんです。まあ、そういう設定を作っていたことさえ忘れていたんですけど(笑)。

◆9. 美しい遺書
「もうまんま遺書です」

これは僕の中で勝手に思っていることなんですけど、この曲は「最終回は透明」と対になってます。“最終回”と“遺書”っていう。これはもうまんま遺書ですけどね(笑)。もし今、僕がLEGO BIG MORLを辞めるとか、解散とかってなったとき、証として残せるもの。曲として残せるものはいっぱいありますけど、言葉として残すならこれかなっていう。これはLEGO BIG MORLとしての決意表明でもありますけど、もし今、自分が大切な人を残して先に逝ったときのことも想定して書いています。今回は逃げないでラブソングを書いたって言いましたけど、これもそのつもりです。

◆10. 居場所
「自分の意志でそこにあることを決めてください」

この曲がこのアルバムの中で最後に出来た曲だったんで、アルバムのタイトルを決めてから歌詞を書いたこともあって、“心臓の居場所”っていう言葉も使っていますし、寄せたところはあります。キンタ(カナタタケヒロ/Vo.&G.)には珍しく和メロだったんで、歌詞は書きやすかったですね。アルバムタイトルもそうなんですけど、心臓の“場所”ではなくて、“居場所”にしてるじゃないですか。まるで心臓に人格があるかのように。物としての心臓だったら“場所”で良かったんだけど、“居場所”とすることで、移動出来るのかな?っていう。そういう意味を込めて“居場所”なんです。自分の意志でそこにあることを決めてくださいっていう。“心臓くん”っていう人がいたら、ときめきの場所を探して体中を動いて、旅に出ている感じというか(笑)。その設定は面白いなって思って。この歌詞は意味としてわからないところもあると思うんですよ。でも、わからないでもいいっていうか。主人公もバラバラにしています。あなたと彼と僕と、それから、僕らも出てくるんで。それはわざとそうしたところがあります。

◆11. 未来
「歌詞を通してメンバーに言ってることがあるんです。まあ、あいつらはたぶん気付いてへんけど(笑)」

この曲だけちょっとバカみたいでしょう(笑)。そんなふうに言ったら、シンタロウがお気に入りの曲だから怒られるけど。でも、バカにしているわけじゃなくて、いい意味でバカバカしいなっていう。ここに来るまでさんざん生と死とか、愛とか、そういう大きなテーマを歌ってきて、そこを経てのスコーンと抜けた感覚。「美しい遺書」「居場所」とずっと深いところに潜っていたけど、急にここで水面にざばっと出てきたような爽快感というか。<ハロー グッバイ ハロー 未来>ですから(笑)。もうここは意味とかより、響きとセンスで勝負です。僕なりの輪廻感みたいなものを“螺旋階段”って言葉で表していたりもするんですけど、10周年っていうタームで、落ち着きたくないって思ったんです。俺、結構歌詞を通してメンバーに言ってることがあるんです。まあ、あいつらはたぶん気付いてへんけど(笑)。だから、タイトルも「未来」なんですよ。普通の階段だったら踊り場があって、そこで休憩出来たりするじゃないですか。でも、螺旋階段はそれがない。俺ら落ち着いてる場合じゃねーぞっていう。あと、脚本は自分たちで書いて行くけど、そこには君が必要で。この曲をライブでやれば、その君はお客さんになるし、もし家で聴いてもらうなら、その聴いている人にとっての君を思い浮かべてもらえたらなって。そういう感覚で書きました。青臭さを青臭いままお届けしました。ちなみに、説明するほどのことじゃないんですけど、<いるかいないかいるかいない>のところは、僕的には完全に海のイルカを思い出してました(笑)。ここはダジャレです。もともと大仮で入れていた歌詞で、他に思いつかんなって思ってて、とりあえずこれで提出してみようって出してみたらそのまま採用だったんです(笑)。あっでも、いい加減にしたわけじゃないですよ。なんていうか、余裕を持ちたかったんですよ。歌詞で遊べるような。前に『Re:Union』に入っている「Fo(u)r rockstars」で、僕の好きなB'zの曲タイトルを忍ばせたりしたんですけど、そういう遊び心は常に持っていたくて。ただ、LEGO BIG MORLにはそれが似合わないことが多いんですよね。僕は音楽を生業にしてはいますけど、音楽を真面目に捉えすぎるのもバカバカしいって思っていて。もっとラフに聴いてくれてよくて、意味なんかなくてもいいから、ちょっと引っかかるポイントが欲しかったっていう。でも、曲は選んでいますよ。これを「居場所」とかでやったら台無しになっちゃいますから(笑)。