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地方の現実は厳しい?地方自治体が運営する「森の国ホテル」でリストラ

2017/3/30(木) 8:00配信

THE PAGE

 愛媛県松野町が出資・運営する「森の国ホテル」で、賃金の大幅なカットに反発し、従業員の過半数が退職を検討していることが話題になっています。政府は経済界に対して賃上げを強く要請していますが、地方自治体が運営する企業でもこうした厳しいリストラが行われているのが現実です。

 森の国ホテルは愛媛県の目黒滑床渓谷にある宿泊施設で1991年に開業しました。高原リゾートホテル風の外観や本格的な暖炉を備えたラウンジなど、公営の施設としては非常に洗練されており、当時は大きな話題になったそうです。しかし、近年は宿泊客が減少し、運営していた第三セクターは解散。その後は指定管理者制度が導入され、民間企業に運営を委託してきました。

 しかしその後も経営は上向かず、運営管理者が次々と代わるなど不安定な状態が続き、2月には運営を受託された企業が契約期間を残して撤退してしまいました。現在は、町が自ら出資して設立した株式会社が運営にあたるという、事実上の町営となっています。

 NHKの報道によると、会社側は従業員に対して賃金を最大で2割カットする一方、契約社員から正社員待遇にするという新しい提案を行いました。しかし、ほとんどの従業員から理解を得られず、多くがすでに退職もしくは退職の意思を固めているそうです。同ホテルでは臨時スタッフを雇うことで運営を続けていく方針です。

 愛媛県の2017年1月の有効求人倍率は1.4倍と全国平均とほぼ同じ水準でした。現実には雇用のミスマッチが存在するなど、必ずしも売り手市場とは言えない面もありますが、数字上は労働者の側は仕事を選べる立場にあります。労働者の実質賃金は低下傾向ですが、さすがに2割も賃金カットということになると、この条件を受け入れる労働者は少ないのかもしれません。

 安倍政権では、経済界に対して4年連続で賃上げを要請するなど、企業側に経営努力と従業員の待遇改善を強く求めています。しかし、自治体が運営する企業においてもこうしたリストラが行われているという現実を考えると、経済の実態はかなり厳しいことが分かります。

 このところ有効求人倍率は上昇傾向となっており、これは景気拡大による効果とする見方もあります。しかし、求人数は増加しているにもかかわらず、求職者の数は減っていることを考えると、人手不足によって求人倍率を押し上げている面があることは否定できません。特に地方はその傾向が顕著ですが、景気の先行きはあまり楽観視しない方がよさそうです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2017/3/31(金) 5:40
THE PAGE

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