ここから本文です

相続税対策に養子縁組!あり?なし?

3/31(金) 18:10配信

ZUU online

法定相続人が多ければ、それだけ相続税の非課税枠の総額は増えることになります。そこで、子どもが存命中であれば本来ならば法定相続人にはあたらない孫と養子縁組をすることで非課税枠を増やすという、大胆な節税策がとられることがあります。ある税理士法人の調べでは、実際に2015年の課税総額5億円以上の相続のうち、孫などと養子縁組を結んでいたケースが約4割にも上ったとされています。

はたして、これは法的に有効なのでしょうか。これまでの裁判ではケース・バイ・ケースで判断が分かれていましたが、ついに最高裁で司法判断が下されることになりました。その動きや裁判結果を解説します。

■通常、法定相続人となるのは子供まで

遺産相続において、遺産を受け取れる可能性がある範囲の人として民法で定められているのが、法定相続人です。死亡した人の配偶者は常に相続人となりますが、それに次ぐ法定相続人の範囲には順番があり、その第1順位とされるのが死亡した人の子どもです。子どもが既に死亡しているときは、その子どもの直系卑属、つまり孫やひ孫が相続人となりますが、子どもが存命であれば、通常、孫以下は法定相続人には含まれません。

しかし、血縁上では孫であっても、養子縁組によって「子ども」とし、法定相続人に含めることは可能です。相続税法上は、養子縁組によって相続人にできる人数は、実子がいれば1人、実子がない場合は2人に限られるため、むやみに相続人を増やすことはできないものの、実際に孫などを養子にすることで節税を図るケースは数多く存在していると考えられています。

もっとも、かつてのような「家の存続のために」という考え方は旧弊だとしても、血縁によらず親子関係を結び、人と人のつながりを強固にするのが養子縁組という考え方に立てば、節税目的のそれは制度の悪用になるのでは、という考え方も出てきます。

■最高裁での司法判断下る

そうした点から、大きな注目を浴びたのが、2013年に亡くなった福島県の82歳男性のケースです。男性は妻がおらず、死亡する前年に孫(長男の息子)と養子縁組を結びました。この養子縁組によって、法定相続人は本来の血縁上の子ども(長男、長女、次女)に孫を加えた4人ということになったのです。これに対し、長女らが「養子縁組はあくまで節税対策として税理士に勧められて行ったもので無効」であると訴え、裁判で争われることになったのです。

この裁判では、東京家裁における第一審では養子縁組は有効、東京高裁における第二審では「真の親子関係を結ぶ意思はなかった」として無効の判断を下しました。これに対して孫側が上告、最高裁は上告を受理して、このような養子縁組が果たして有効か、最高裁において初めての判断が下されることになったのです。

2017年1月31日、最高裁は判決を下しました。結論から言えば、最高裁は「節税の動機と縁組をする意思とは併存し得る」とし、「縁組をする意思がないことをうかがわせる事情はない」――つまりは、この養子縁組は有効であったとの判断を下しました。今後、節税対策の養子縁組が加速するのでは、との観測もあります。

もっとも、法的には一つの決着がついたとはいえ、「親と子のありかた」は家族それぞれ違うのも確かです。司法判断一つでは測れない、もっと深い問題だということもできそうです。(提供:IFAオンライン)

最終更新:3/31(金) 18:10
ZUU online