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「幸せなどなかったかも」クルドの町で拘束された息子の帰り待つ母・マクブレ

2017/4/8(土) 14:20配信

THE PAGE

 瓦礫の上を案内してくれたマクブレは立ち止まり、泥にまみれてなかば埋もれていたカーペットを拾い上げた。

フォト・ジャーナル<トルコ~クルド人の悲劇>- 高橋邦典 第44回

 「私の家にあったものだわ」

 地下室のあった建物のそばの彼女の家も、治安部隊によって取り壊された。市内の封鎖が終わった直後、警察が家に来て息子を逮捕した。

「私の息子は戦闘員ではないと、警官に取りすがって止めようとしたわ。それでも『これ以上ついてくると、息子をひどい目にあわせるぞ』と脅かされた」

 その夜息子から電話があった。

「僕は大丈夫だ。心配しないで。明日裁判所に行くことになっている」と、もう何カ月も彼は拘束されたままだ。

 PKKの支持者だった夫は、25年ほど前に、シリア国境近くで撃たれて死んだ。

 「夫はいつも外へ出かけ、戦った挙句に死んだ。息子は今も牢屋に入っている。振り返ってみても、私の人生には幸せの時などなかったような気がするわ」

(2016年6月撮影)

※この記事はTHE PAGEの写真家・高橋邦典氏による連載「フォト・ジャーナル<トルコ~クルド人の悲劇>」の一部を抜粋したものです。

最終更新:2017/4/10(月) 5:37
THE PAGE