ここから本文です

社内企画が盤石なエンタメコンテンツに 「サラ川」30周年、ヒットへの道のり

オリコン 3/31(金) 11:00配信

 今回で30周年を迎えた「第一生命のサラリーマン川柳コンクール」。毎回トレンドや風刺の利いた力作がメディアを賑わせ、今や風物詩のように親しまれているが、事の始まりは社内企画だった。どうして盤石なコンテンツに成り得たのか? また、同企画がもたらしたメリットなどについて担当者に聞いた。

【一覧】クスッと笑える今年の「サラ川」優秀作

■お客様との接点築く、コミュニケーションツールとしても活躍

 第一生命保険が主催する「第一生命のサラリーマン川柳コンクール」(以下、サラ川)。30回目を迎えた今年は、例年にも増して全国から5万5067句の応募が寄せられた。

 サラリーマンたちの悲哀をユーモラスに詠んだ句が共感を呼び、恒例企画として定着しているサラ川は、86年に同社の社内広報誌の企画として社内公募でスタート。そして翌年には早くも一般公募へと発展した。

 「社員のみならず、その家族からも反響が大きかったため、より広く楽しんでいただきたいという思いから一般公募としたのが開始の経緯です」(同社 生涯設計教育部 生涯設計企画課 アソシエイト 垣見優佳氏)

 初回は約1万句の応募だったのが、第4回目には6万句を突破し瞬く間に人気企画に。95年からはネット応募がスタートしたが、それ以前は郵送、もしくは同社で「生涯設計デザイナー」と呼ぶ全国の保険外交員が、応募や投票を顧客から直接回収するのが主だったという。

 「保険は人生で2番目に高価なお買い物と言われています。しかも将来の不安が加入動機となる商品もあり、前向きな気持ちで話を聞いていただくのは難しい時もあります。生涯設計デザイナーにとってサラ川は、クスッと笑って共感していただきつつ、お客様との接点を築くコミュニケーションツールでもあります。サラ川を名刺代わりに、自分の名前を覚えていただいたり、会話が広がっていったり。同企画がさまざまなサイクルの起点となっていきました」(同課 課長補佐 山本愛氏)

■親和性の高い川柳とネット文化 コンスタントな施策も効果的

 そんな好循環を生んだ同企画には、毎回その年の流行や世相を反映した名句が寄せられ、毎年発表の時期にはテレビや新聞、ネット等さまざまなメディアで話題を呼んでいる。淡々と続けるだけでなく、25周年の際には、映画『サラリーマンNEO』とのタイアップでイベントを実施するなど、さらなる周知を図るための取り組みも定期的に行っている。

 さまざまな工夫から近年も平均応募4万句と、根強いファンの存在が窺える。一方で、これまでの主な応募層は40代以上の男性。女性や若者の参加がなかなか増えなかったのは、「サラリーマン」と冠しているがゆえに自分事と捉えづらいイメージがあったのも理由だろうか。

 「一部ではあるかもしれませんが、現代は30年前以上と比較すると働く女性が増えていますから、サラ川のコンセプトに共感していただける方も多いのではないかと思っています。またSNSに慣れ親しんだ若い世代にとっては、短い文章で思いを表現することが日常になっていますから、そこに親和性が見いだせないかと考えました」(山本氏)

 そこで、節目となる今年実施したのが、女流川柳作家・やすみりえ氏を選者に迎えた「第30回サラ川」の女性限定企画「かがやけ私部門」や、20代限定参加の「U-29サラ川グランプリ」という、ターゲットを絞ったスピンオフ企画。いずれも反響は上々で、「第30回サラ川」の応募が20年ぶりに5万句を突破したのも、長年のファンに加えて、スピンオフ企画をきっかけに新たな層が参入したことが推測される。

 また現在、「U-29」の優秀作を元に、上司と部下がラップバトルをするWeb限定動画を公式HPで公開中。時代に合わせた取り組みで、新規ファンを呼び込んでいる。名句を誇る企画とあって、今後はドラマ化など次なる展開も期待できそうだが?

 「もしも他社さまから他コンテンツ展開などの提案があれば、個別で検討させていただければと考えています」(山本氏)

 現在は、傑作100選がサイトにて公開中。ここから一般投票で選出されたベスト10が5月に発表される。30周年という節目もあって、例年以上に各方面で話題になるに違いない。

(文:児玉澄子)

(コンフィデンス 17年4月3日号掲載)

最終更新:4/19(水) 17:45

オリコン