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《ブラジル》公立学校の外国人児童に自閉症が多い?

3/31(金) 6:46配信

ニッケイ新聞

 エスタード紙3月19日付《教室の中の移住、自閉症ではない》との記事を読んでいて、なんだか胸が苦しくなった。ここ5年でサンパウロ市内の公立学校への外国人児童の編入が急激に増え、彼らが教室で「シン」(はい)と「タ・ボン」(いいです)しか言わず、試験も零点を連発しているという。

 市立小中学校では外国籍児童が2012年に2419人だったのが、16年には4136人と71%増に、州立校では4513人から5429人へと20%も増えた。特に多いのがリベルダーデの下町グリセーリォ、ボン・レチーロなどセー地区周辺だ。

 無口な児童の扱いに困った教師が、公的医療機関に「精神病ではないか診断を」と申請するケースが増えた。調べてみると、いずれも健常な子供…。2014年にセー地区UBS(市立基礎医療センター)に35件が持ち込まれ、半年がかりで診断したところ全員「問題なし」だった。つまり単に授業についていけず、「クラスに馴染めない」だけ。別の言葉で言えば「異文化適応が失敗した」ケースのよう。きっと、外国人児童を扱うための教師研修も必要なのだ。

 これは子供だけの問題ではない。大人だってポ語が分からず、ブラジル的雰囲気に慣れないうちは、会話に入れない。結果的に黙って過ごす。ブラジル人側からすると「寡黙なジャポネーズ」に見える。だが、日本語でしゃべらせれば別人のようにしゃべる。それを乗り越えるのが移住した本人の課題だが、子供の場合は少し違う。「むりやりブラジルに連れて来られた」と受け身に感じている場合、授業に前向きな気持ちになるまでに時間がかかる。確かに、いったん前向きになれば言葉を習うのは早い。だが、だからと言って簡単ではない。

 州立学校への外国人転入生の国籍リストが興味深い。2016年の5429人中、1位はボリビア国籍で3317人、2位がアンゴラで424人、なんと3位が日本で291人(!)。伯国籍の二世はいても、今どき日本国籍者がそんなにいることはありえない。

 よく見ると、リストは10位まであるが、不思議なことに激増中の中国人、韓国人の姿がない。彼らが「日本人」と申告している可能性があると思いついた。これは伯人児童からのイジメを避けるためかもしれない。ならば目くじらを立てず、放っておいた方が良い。

 これを読んで、ふと本紙16年4月8日付《特別学級の在日伯人児童激増=知的障害増加?》記事を思いだした。日本での話だ。外国人が多い県にある某小学校では全校生徒303人のうち外国人が170人。特別支援学級の生徒は14人中、外国人が11人と異常に高い割合を占める。「この傾向は日本全国でこの数年特に顕著」との記事だった。日伯どちらも胸が痛い。

 加えて05年4月に聞いた衝撃的な話も思い出した。サンパウロ州地方部のフランカ地域日伯協会の南原光洋前会長(当時)は「ここの精神病院には、50~60人ぐらいの日本人が入院していた記録がある」と言っていた。第2次大戦の頃から戦後までのことで、大半が一世だった。

 「おそらく実際に気が狂っていたのではなく、単身でコーヒー農場に働きに来て、身寄りがなかった人が身体を壊した時、彼らはポ語がしゃべれないから、ブラジル人医師は症状がよく分からず、とりあえず精神病院に入れるように指示したのではないかと推測しています」とのこと。

 多くの入院患者はイデンチダーデ(身分証明書)すら持っていなかった。かつてドナ・マルガリーダの所に、このような身寄りのない人の相談が無数に寄せられた。同調査をした2000年当時、日本人患者が一人生き残っていた。「日本語で話しかけても自分の名前も、歳も言わなかったそうです。でも、持って行った寿司や饅頭は喜んで食べていました」とも。02年にその日本人患者も息を引き取った。

 「ブラジルは移民に寛容」とは国民的な誇りだ。でも、だからといって「移民の扱い方を知っている」のとは違うと痛感する。(深)

最終更新:3/31(金) 6:46
ニッケイ新聞