ここから本文です

子育てについての考え方が夫と私でまったく違い、困っています

3/31(金) 12:01配信

ベネッセ 教育情報サイト

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】
子育てについての考え方が夫と私でまったく違い、困っています。たとえば、私は食事と決められたおやつの時以外は食べさせたくないのに、夫はけっこう気ままに食べますし子どもにも食べさせます。先日「今日は玩具は買わないよ」と約束してスーパーに行ったのに、私が買い物している隙に夫が玩具を買おうとしていました。それで私も切れて言い合いになってしまいました。

相談者・ゆうかり さん (小学2年生 女子)

【親野先生のアドバイス】

ゆうかりさん、拝読しました。

同じような悩みを持っている人は多いと思います。というのも、子育てについて夫婦の考えに違いがあるというのは、よくあることだからです。というより、それが普通であり、違いがないということはありえないと思います。
そもそも育ってきた環境や経験が違いますし、価値観が違うまったく別の人間なのですから、子育てについての考えも違って当たり前です。
それに、親の価値観が違っていることは、子どもにとっていいことでもあります。お母さんが「ダメ」ということでも、お父さんは「いい」ということがあり、その逆もあります。
それによって子どもは一時的に混乱するかもしれませんが、自分で考えるきっかけにもなります。

おばあちゃんやおじいちゃんがいれば、また違う大人の違う価値観に触れることができます。おじさんやおばさんに接すれば、それもまた違う大人です。
幼稚園、保育園、小・中学校では、さらにいろいろな大人たちを知ることになります。
子どもは、成長するにつれて多種多様な大人たちのさまざまな価値観に触れ、それを材料に自分で考えながら自分の価値観をつくっていきます。

これが、もし、大人たちがみんな同じ価値観だったらどうでしょうか? これはかなり怖いことです。
大人がみんな同じとまでいかなくても、一族がみんな同じ価値観だとか、夫婦がまったく同じ価値観だとか、こういう状態だと子どもは非常に息苦しいことになりますし、人間としての幅の広さというものはなくなります。
もし、まったく同じ価値観の先生しかいない学校があったとしたら、どうでしょう? 私が子どもだったらそんな学校には行きたくないです。
このように、親を含めて子どもを取り巻く大人たちの価値観には違いがあるのが当たり前なのです。

でも、違いはありながらも共通点もあります。
真っ当な大人なら、みんな、「人をいじめてはいけない」と言います。
そして、次のようなこともみんな言います。
「お店の物を黙って取ってはいけない」「人の物を勝手に使ってはいけない」「公共物に落書きしてはいけない」「人に親切にしよう」「困っている人がいたら助けよう」「夢を持ってがんばろう」。
こういう絶対的に大事な部分では、みんな同じことを言います。
ですから、多少の違いはありながらも、絶対的に共通する大切な部分もあるということなのです。

そして、子どもたちも、だんだんこういった使い分けができるようになっていきます。
つまり、「これは絶対ダメなんだ」「これは、絶対こうするべきなんだ」というものについては厳守するようになり、「これはどっちでもいいことだけど、こっちにしよう」というものについてはある程度の幅を持たせて判断するようになります。
ご相談は、「子育てについての考え方が夫と私でまったく違い、困っています」とのことでしたが、実は大切な部分は同じであり、違いはほんのちょっとしたことに過ぎないのです。

では、そのほんのちょっとの違いが表面化した時は、どうしたらいいのでしょうか?
この時、子どもの前で親同士が感情にまかせて争うことは避けてください。子どもにとって、大切な親同士が相争う姿を見ることほどつらく不安なことはありません。まして、その原因が自分にあるとすればなおさらです
子どもがいるところではそのまま流しておいて(暴力や過度の暴言などの場合を除きます)、あとで話し合いをすることが大事です。
その時大切なのは、お互いが共感的に聞き合うということです。そのためには、まずあなたから相手の話を共感的に聞くようにしてください。そうすれば、相手も共感的に聞いてくれるようになり、腹を割った話し合いができるようになります。

こういう話し合いの中で、お互いの育った環境や経てきた体験などが語られ、より深く理解し合えるきっかけになることがよくあります。
話し合いの結果、着地点が見つかって共同歩調が取れるようになればいいです。でも、そうならない場合でも、腹を割って話し合ったあとなら、なぜ相手がそうするのかわかってあげられるようになります。もちろん、相手もこちらの気持ちをくんでくれるようになります。
こういった話し合いは、月並みなようではありますが、王道です。大切なのは相手に勝つことではありません。ですから、これは議論ではなく対話です。
大切なのは、お互いをより深く理解し合うことと、よりよい道を探ることです。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

ベネッセ 教育情報サイト