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ゴスペラーズ「あの選択は間違いだった」がなかったから今でも歌っている

3/31(金) 16:40配信

MusicVoice

 【インタビュー】5人組ボーカルグループのゴスペラーズの楽曲「Let it shine」が、海外ドラマ専門チャンネル・AXNで4月3日(月曜日、午前11時)から放送される海外ドラマ『タイムレス』の日本語版エンディング曲に決まった。

 『タイムレス』は、アメリカ政府が秘密裏に開発したタイムマシンを巡り、それを奪い過去に戻って歴史を変えようとする謎の男と、それを阻止しようとする歴史学教授、タイムマシン技術者、軍人たちの対立を、タイムトラベルを通して描いた歴史体感サスペンス。このドラマのエンディングで流れる「Let it shine」は、とある男女が過去に抱いた恋愛感情を、哀愁感たっぷりに描いたバラードナンバーで、3月22日にリリースされたゴスペラーズのニューアルバム『Soul Renaissance』に収録される。

 楽曲の作詩・作曲はもともとアルバム制作を前提におこなわれており、ドラマの要素は事前に全く聞かされずに作った楽曲であったという。しかし、それにもかかわらず楽曲の世界観は、現在と過去が交錯するドラマのイメージに程よく溶け合い、ストーリーから感じられるイマジネーション、雰囲気をさらにスケール豊かなものにしている。

 今回はゴスペラーズのメンバーそれぞれに、この楽曲制作時やタイアップの経緯、エピソードとともに、ドラマのタイムトラベルというコンセプトに合わせ、メンバーそれぞれの思い入れのある自身のエピソードなどを語ってもらった。

曲を作っていたころの過去と、このドラマと出会う未来が、思わぬ形でつながるような思いをしました

――楽曲「Let it shine」が海外ドラマ『タイムレス』の日本語版エンディング曲に起用されての感想をお願いします。

安岡 優 この曲はもともと「もしあの時、自分が別の行動をしていたら、僕ら二人はどうなっていただろう」というイメージのラブソングでしたが、タイムトラベルをテーマにしたこのドラマに、まさにピッタリだと思いました。ドラマを見た後にもう一度自分たちの曲を聴いたら、より僕らの歌の情景も広がっていくような、そんな感じもしました。

――「Let it shine」の歌詩は、もともとアルバムの曲であることを前提として作られた曲を日本語版エンディング曲として生かされたということですが、歌詩の内容として「もう、戻れない」とか、本当にドラマにピッタリな感じですよね。何か歌詩の部分で、元の曲から変えられたところもあるのでしょうか?

安岡 優 いや、それがないんです。あのドラマを見て書いたかのような感じになっているんですけど、本当に偶然。「あの日あの時、世界は形を変えた」なんてフレーズが、本当にドンピシャでハマっていて、まさにドラマみたいに僕がタイムマシンに乗って、先にこのドラマを見ていたような“デキ”で(笑)。自分でも怖いなと…。

北山陽一 この前、僕らの歌に、映像を合わせたプロモーション映像を見させていただいたんですけど、知っている曲なのに違う曲を聴いているような気もして、鳥肌が立ちましたね。

安岡 優 僕らにとっても、曲を作っていたころの過去と、このドラマと出会う未来が思わぬ形でつながるような思いをしました。

――この曲を初めて歌われた時の感じは?

安岡 優 この曲は堀向彦輝くんという、今まで何曲かアレンジでお世話になっているクリエイターが作ってくれた曲なんです。僕らより若い世代なんですけど、本当にボーカルグループのための曲というか、いろんなフレーズを複数人のいろんな歌い方で歌い継がれる格好の構成になっているので、歌い甲斐のある曲だなと思いました。

 前の人の歌を聴いて、次の歌い方の世界を作っていく、そうやってつなげていく曲です。ゴスペラーズのレコーディングは基本的に一人ずつ録っていきますが、今回の曲はそうした“フォーム“になっているので、レコーディング当日も、前に歌うメンバーの様子を見て、聴いて「では自分としてはこうしよう」とか、そういうものを決めていった感じです。

村上てつや この曲には、もともと持っている旋律感にちょっと少し冷えた感じというか、冷えた情熱みたいなもの、クールだけど、内に秘めた感というものがあって、緊迫感が感じられる曲なんです。温かく包み込むような曲じゃないところに、すごくこの曲のかっこよさがある。だからその世界を壊さないことを意識しました。

北山陽一 最初に堀向くんが歌っているデモテープを聴いた時には、その時点でメチャメチャかっこよかったんです。もう「堀向くんが歌えばいいじゃん!」と思っちゃうくらい(笑)。本当にみんなでかっこいいと言っていたんですが、それを僕らがどうやってゴスペラーズ色に染めていけるのか、チャレンジできることにもワクワクしました。楽しかったですね。

――一人ひとり歌い継ぐ中で、次の人にはプレッシャーみたいなものも?(笑)

北山陽一 (笑)。まあプレッシャーというほどの変なものはないですけど(笑)、実際にブースに入って、前の人の歌を聴いて「あっ、なるほど、これだけ歌えているところで次は、俺はどうやって入ろうかな?」という感じの中にある緊張感は常にありました。

 どちらかというとキャッチボールみたいな感じというか。必ずしも受け取りやすい球を放っているのがいいわけではないので、たまに楽曲の特性上、剛速球を投げ込んでくる場合もあるわけで「これ、どうやって入ったらいいかな」みたいに迷いが出てくるような(笑)。でもその意味では、この曲も歌うことは楽しかったですね。リードチェンジも多いし。

安岡 優 そう、僕らの曲の中でもリードチェンジが多い曲なんですよね。

北山陽一 もちろんバトンが渡っていくことで、一人で歌うよりも簡単な部分というのもあるけど、リードが変わるだけでドラマチックになるというところもあるし、楽しさだけじゃなくて、そういう刺激の掛け合いみたいなのはあります。

村上てつや この曲は例えば、カラオケで皆さんが歌おうとすると結構難しい曲だと思うんですよね。まず音楽的にはメロディのリズムが難しいし。

酒井雄二 それで「また、おまらえの曲、歌いにくいんだよ!」と、地元の同級生に言われるんですよ(笑)。でもこの入り乱れる感じが、一人で最初から最後まで歌うのと違う曲の良さであり、こういうドラマに合う楽曲だと思うんです。

安岡 優 この曲も歌っている人が変わる時に、場面のシーンが変わるんですが、今の自分の話やちょっと思い出に浸っている時間とか、あるいは、違う未来を想像している時間だったり、リードボーカルがチェンジした時に歌詩の持つ背景、歌の持つ後ろの背景の形式みたいなものがチェンジしていくのを楽しんでもらうと、まさにこのドラマの世界観と一致してくるのではと思いますね。

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最終更新:3/31(金) 16:40
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