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《ブラジル》日本で起きている「伯国の未来」=森田所長がUSPで講演=(下)=当地も2032年から高齢社会

3/31(金) 6:54配信

ニッケイ新聞

 近年、日本では問題解決のため、移民の導入が議論されているが、森田所長は反対の立場だ。
 第一に、年間30万人以上が減少していく日本で、その減少分を移民で補うには規模が大きすぎる。さらに、受け入れた移民が高齢化した際には、社会福祉費を充当せねばならず、その額は移民が生み出す経済成果よりも高くなる見込みだ。
 そもそも日本に移民が集まるかも疑問だ。今後、韓国や中国、インドネシア、インドなどのアジア諸国でも少子高齢化問題が顕在化し、移民労働力の需要が高まることが予想される。海外で働くことを希望する人のうち、所謂インテリ層は話者数の多い英語や中国語を習得し、働きに出る傾向にあり、肉体労働者もこうした国々との奪い合いとなるだろう。
 画期的な解決方法は未だに解明されていない。一先ずは、今後予想される都市の高齢化に対する備えをしなくてはならない。日本全体の人口は減少しているが、地方部から都市圏への人口流入は続いているからだ。また、都市生活世帯の多くは核家族で、高齢者の世話を世帯内で賄うことは難しいため、多くの人が介護サービスを利用することになる。
 東京、神奈川、大阪、埼玉、千葉、愛知の6都府県は、日本で最も高齢化が進む都市と見られ、2030年には6都府県の合計で、65歳以上人口が400万人増え、現役世代人口が400万人減る。こうなった際、介護士や受け入れ施設が不足することは目に見えており、喫緊の対応が求められている。
 対応策としては、国内産業の機械化を徹底的に進め、労働者を介護分野へ集約させるなどの案がある。
 現段階で根本的な解決を図るなら、出産適齢期にある女性に対して、社会進出した際に得られるものと同等以上のキャリア、金銭補償を行って出生率を高め、世間一般には寿命と延命治療に関する議論を深めてもらうほか無い。
 両策とも効果が出るまでに相当な年月を要する上、後者においては倫理上、非常に繊細な議論を必要とするため難しい。
 少子高齢化はどの国も通る道だが、問題を重篤化させないためには、高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)の上昇にかかる期間を長くするか、人口ボーナス期に得た利益を将来の備えとして活用する他ない。
 高齢化率の上昇が緩やかな国は、その間に高齢者向けに社会制度を整える時間が十分にあるが、短い国は難しい。高齢化率が7%を超えてからその倍の14%に達するまでの所要年数を比較すると、フランスが115年、スウェーデンが85年、比較的短いドイツが40年であるのに対し、日本は24年。
 ブラジルは2011年に7%で2032年に14%になるので、日本より早い21年間で変化に応じなければならない。
 ちなみに、高齢化率が7%~14%の状態を「高齢化社会」と呼び、14%~21%の状態を「高齢社会」、21%以上を「超高齢社会」と呼ぶ。日本は1970年に高齢化率7・1%で高齢化社会、1995年に14・5%で高齢社会に、2007年に21・5%で超高齢社会となった。
 ブラジルも地方部から都市圏への流入が続き、日本と同じ都市の高齢化問題が起きることが予想される。森田所長は「先行する日本の事例から多くの教訓を学び、対応に役立ててもらいたい」と結んだ。(終わり)

最終更新:3/31(金) 6:54
ニッケイ新聞