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勉強時間が増えても……お子さんの勉強姿勢は「主体的」?

4/1(土) 14:00配信

ベネッセ 教育情報サイト

小中高生の学校以外での学習時間が、この25年間でV字回復を遂げたことが、ベネッセ教育総合研究所が9年ぶりに行った「学習基本調査」(第5回、2015<平成27>年実施)の結果でわかりました。しかし、勉強時間が長くなったからといって、これからの社会で求められるような力がついているとは限りません。同研究所が2016年3月6日に東京都内で開催したシンポジウムで、そのことが浮き彫りになりました。

調査では、平日の学習時間に関して、小中学生は2006(平成18)年の前回調査から、高校生も今回の調査で、上昇に転じたことがわかっています。学習塾や家庭教師などの時間も含まれているものの、とりわけ増加の要因となっていたのが、学校での宿題でした。しかも、単なるドリルだけでなく、「自学ノート」などを作らせて、自主的な学習に取り組ませることも広がっています。勉強時間の増加には、幅広い学力を付けさせようとする、学校側の努力が功を奏したことは間違いありません。

ただ、調査結果を詳しく分析してみると、多くの子どもたちが、学校側の意図したとおり、主体的に勉強するようになったとまでは言い切れないようです。

中学生を例に取ると、確かにテスト勉強を開始するのは「2週間くらい前から」「10日くらい前から」という回答が計6割を占めています。「毎日こつこつ勉強する」という回答は、中学生だけでなく、高校生でも増えています。一方で、易しい問題を数多く解くより「難しい問題をじっくり考える」とか、暗記よりも「できるだけ考えようとする」といった回答は、中高生ともに、1990(平成2)年の調査開始以来、大きな変動はありません。言われたとおりに毎日、勉強するようになっても、それが必ずしも自分から考える力に結び付いていないのが現実かもしれません。

ベネッセコーポレーションの通信教育サービス「進研ゼミ」の教材制作担当者からも、「自己採点できないお子さんが多くなった」という声が寄せられているそうです。課題に、自律的に取り組めない子どもが増えていることの表れかもしれません。調査結果を報告した木村治生副所長は、指示どおり機械的に丸暗記する「ごまかし勉強」ではなく、きちんと問題の意味を理解し、自分でやり方を工夫する「正統的な学習方法」こそが、未来に生き抜く力を培(つちか)う勉強だと強調しました。

教員や研究者など250人の参加者によるグループディスカッションでも、「考える問題をやらない」「本質を捉える児童生徒が減った」といった声が、多く聞かれました。教員や保護者が手を掛け過ぎているとの指摘もありました。もちろん、考えることや主体的な学びの楽しさを感じる子どもも増えているのですが、そうではない子どもとの「格差」が開いているというのが実感のようです。

第1回から調査を監修してきた耳塚寛明・お茶の水女子大学教授は、「学習の質、とりわけ自律的・能動的な学習者を育てることへの転換が必要だ」と強調していました。重要なのは、そうした変化を、一人ひとりの子どもにもたらし、未来を生き抜く力を着実に付けさせることなのです。

※ベネッセ教育総合研究所シンポジウム 「学習基本調査」を通して考える 学ぶ意味と主体性
http://berd.benesse.jp/berd/symposium2016_0306/

(筆者:渡辺敦司)

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