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「インバウンド効果」地方に波及へ 来日したら農泊でしょ 「観光立国」推進も・・・

4/1(土) 13:21配信

日本農業新聞

 インバウンド(訪日外国人)の間で、農家民泊の人気が高まっている。都会のホテルでなく、地方の農家暮らしを体験したい人が増えているという。政府も「農泊」を支援し、地方誘客や農家の所得向上といった効果が期待できる。一方で、言葉や文化の違いなど受け入れる上での課題もある。

交流、体験・・・共に満足 長野県飯田市128人が“分宿”

 長野県飯田市で米や野菜を作る関口兼善さん(74)、かつ子さん(73)宅に3月29日夜、英国の名門校、ロンドンビジネススクール(LBS)の学生5人が宿泊し、こたつを囲んで交流した。兼善さんはネギ畑を案内し、ライ麦のわらで編む虫籠作りを教え、農村暮らしを身ぶり手ぶりで紹介。夕食には伝統野菜「千代ネギ」のたれを掛けるおでんを用意した。

 同市は29、30の両日、LBSの学生128人を32戸の農家が受け入れる「インバウンド農泊」を実施した。市は小中高生らの受け入れ実績が20年以上ある農家民泊先進地。南信州観光公社が窓口となり、「簡易宿泊所営業」などの許可を得た農家が受け入れた。訪日外国人の受け入れとしては過去最大だ。

 学生は、金融や経済を学ぶさまざまな国籍の20、30代の優秀な若者だ。4、5人のグループに分かれ宿泊した。

 兼善さんは「20年以上の受け入れのノウハウがあり、問題はなかった。日本語でもどんどん話し掛ければ何とかなる」と手応えをつかむ。学生を受け入れた柿農家、近藤丑男さん(79)はスマートフォンの翻訳アプリを活用。「過去に受け入れた韓国の学生から習った。困ったらこれを使う」と得意げだ。

 レバノン国籍のエリー・ファルハトさん(31)は「皆丁寧で優しい。自然が近く、それと調和している家の造りにも驚く」と感動する。ベルギー国籍のゾルタン・シラーギさん(31)は「大都市や観光地にはない、シンプルでゆっくりした生活がある」と満足げだ。

 一方で課題も出てきた。風呂やトイレの使い方が分からず、汚してしまった学生がいた。かつ子さんは「風呂やトイレの説明は事前に行うか、メモを作るなどした方がよい」と提案する。

 今回、宗教や菜食主義者への対応の他、体調不良などの非常時に対応できるよう簡単な会話集も作成した。市広報情報課の筒井文彦さんは「10年後にはリニア中央新幹線が開通し、世界がもっと近くなる。農泊先進地のノウハウを受け入れに生かさない手はない」と強調する。

 農泊を企画した、飯田市出身の財務省職員でLBSに留学する山内絢人さん(29)は「農家民泊は、インバウンド拡大の鍵になる」とみる。

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最終更新:4/1(土) 13:21
日本農業新聞