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思い出語り認知症予防 川崎、博物館の収蔵品活用

カナロコ by 神奈川新聞 4/1(土) 10:00配信

 昔懐かしい風景写真や古い日用品など博物館の収蔵品をお年寄りに見せて思い出を語ってもらうことで脳を刺激する取り組みが、川崎市市民ミュージアム(中原区)で行われている。高齢化が進む中で認知症の介護予防につなげる目的。ほかの図書館や高齢化福祉施設などとの連携を探る動きも広がっている。

 同ミュージアムでは、市写真コンクールの作品や市政ニュースなど昭和期の懐かしい街並みや風景が写った映像、古い日用品などを所蔵。こうしたものを見て高齢者が思い出を語るなどして脳を刺激する「回想法」に着目し、2014年度から取り組みを始めた。

 職員が回想法の研修を受けたり、普及資料を収集したりして、昨年春はデイケア施設の協力で回想法の体験講座も行った。講座には、74~92歳の男女9人が参加し、古い写真や湯たんぽ、商店の法被などを見ながら「私の家にもあった」などと語り合い、普段より会話が増えたという。

 教育普及担当者は「ミュージアムの広々とした空間に気が晴れたようで、普段しないおめかしをするなど『非日常的な空間』、家以外の『なじみの場所』ができ、表情が生き生きとした」と効果を語る。福祉施設などからの求めに応じて貸し出しが可能な収蔵品のリストアップもしている。

 3月12日には生涯学習施設や高齢者福祉施設などの関係者を招いたフォーラムを開催し、施設間の連携などを探った。

 当日は、市立宮前図書館(宮前区)の取り組みも報告された。医療や福祉など各分野の書架に置かれていた認知症や介護の本や掲示物を1カ所に集めたコーナー「認知症の人にやさしい小さな本棚」を15年12月に設置した。

 「宮前区は男性平均寿命が82・1歳と全国2位。何度も同じことを尋ねてくるなど、認知症と推定される利用者が目立っていた。コーナーを設置すると瞬く間に本が借り出された」と舟田彰・同図書館担当係長。さらに職員ほぼ全員が認知症サポーターの講習を受けるなど、ソフト面でのサービスも充実させている。

 同ミュージアムの担当者は「施設単独でやることには限界があるが、複数の施設が手を組むことによって実現できる取り組みはたくさんあると実感した。こうした動きが、少しでも高齢者福祉に役立てば」と話している。

最終更新:4/1(土) 10:00

カナロコ by 神奈川新聞