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飯豊まりえ、「負けるな、自分」 可憐イメージを乗り越え挑んだ“悪女”に手応え

4/1(土) 6:50配信

クランクイン!

 飯豊まりえにとって、映画『暗黒女子』の撮影は「本当にきつかった」、「今までになかった」、「人生の中で一番暗黒期でした」と言わしめるほど、想像を絶する過酷な体験となった。近年出演した映画『MARS~ただ、君を愛してる~』、『きょうのキラ君』では、立て続けにヒロインを演じ、現在放送中のスマートフォンのCMでも山崎賢人との美しいラブストーリーを奏で、可憐な印象が強い。そのイメージをかなぐり捨て、体当たりで挑んだ二面性のある悪女の役は、飯豊に経験と少しの自信というエッセンスを加えることになる。

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 読後感が嫌な気持ちになるミステリー、通称“イヤミス”の傑作を映画化した『暗黒女子』。清く正しい名門女子高に通う皆の憧れの的・白石いつみ(飯豊)が、ある日死体で見つかる。自殺で処理されるも、いつみが所属していた文学サークルの副会長であり親友の澄川小百合(清水富美加)は、メンバーに疑いの目を向け、定例会でそれぞれの疑惑に迫っていくのだ。

 本作のメガホンをとった耶雲哉治監督とは、『MARS』以降、二度目のタッグとなった。飯豊は、「“次、女の子しか出ないミステリーのドロドロしたやつをやるよ”って耶雲監督が言って、“私、その役すごいやりたいです!どこでもいいんで入れてください”という話をしていたんです。いざきたら…、戸惑いすぎちゃって…」と、混乱の様子で振り返った。それもそのはず、演じたいつみは、表面上は容姿端麗で聖母マリアのような人物だが、裏では自分のことしか考えていない女王様であり、ほかの部員を下僕扱いするという強烈な二面性を持つ役柄。飯豊曰く、「二面性ではなく…5面性くらい(笑)」なのだが。


 「白石いつみって、本当に5人ぐらいいるんじゃないかってぐらいでした。例えば、この子の前では太陽のように、この子の前ではちょっとセクシーに、この子の前ではちょっと意地悪そうに、とか、すべて人格を変えていました」と、飯豊はキャラクターの演じ分けの苦労を語る。本来の自分とは真逆の人物だからこそ、役作りは困難を極めた。「私は猫背だし、すぐシュンってなっちゃうし、声も弱々しく聞こえるみたいで。作品に入る前から、監督と2人で自主トレをさせていただいたんですけど、“自信ないのが出てる、そこがダメだよ!”と、散々怒られていました」と、猛稽古の一端を明かした。そして、飯豊のマネージャーや母親までも「触れられないぐらいだった」とするほど、徐々にのめり込んでいき、やがて完璧ないつみ像を作り上げる。

 多くの俳優は、ダークサイドやヒール役を喜んで演じるものだが、飯豊は「思い描いていたものとのギャップがありすぎて、本当にすごく大きな壁でした。もう(演じたいと)言わない(笑)」と、冗談交じりに話した。しかし、やりおおせた今では大きな財産となった。「これを頑張れば、いろいろな人にまた違う顔を見てもらえるから“負けるな、自分”と思いながらやっていました。だからか…、すべてがこの映画で見せられた気がします。10代のうちに経験できて、本当によかったなと思います」。

 最後に、飯豊には暗黒面はないかを一応確認してみた。すると、飯豊は「でも、実はあまり自分っていうのがよくわかんないんですよ。実は、耶雲監督に“素を出せばいいんだよ”って言われたときに、“えっ、いつみちゃんみたいな感じを私も持ってるのかな”って思いました。私、持ってるかもしれないです」と、いたずらっぽく微笑んだ。本人すら気づかないような素が引き出されているかもしれない『暗黒女子』は、奥深く味わい尽くしたい1作だ。(取材・文・写真:赤山恭子)

 『暗黒女子』は4月1日より全国ロードショー。