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大統領逮捕、近くて遠い「韓国」を知る本5選

4/2(日) 16:40配信

ZUU online

大統領が収賄などの疑いで逮捕されるという驚がくの事態に陥っている韓国。過去にも大統領経験者は不遇の晩年を迎えているが、近くて遠いこの隣国について日本人は知っているようで知らない。韓国在住の筆者に、韓国を知るための書籍を紹介してもらった。

■1970年代から韓国を見続けたウオッチャーの第一人者

『決定版どうしても“日本離れ”できない韓国』
(黒田勝弘著、文春新書、777円)
『韓国はどこへ?』
(黒田勝弘著、海竜社、1500円)

韓国を知る本といえば、なんといっても黒田勝弘氏の著書だろう。黒田氏は1971年から共同通信の記者として幾度か韓国を訪れ、延世大学語学堂で韓国語を学んだ後、共同通信ソウル支局長としてソウルに赴任。産経新聞に移籍し、1989年から2011年まで産経新聞のソウル支局長を務めた。定年後も客員論説委員として日本と韓国を行き来している。1970年代から日本人の視点で韓国を見て来たコリアウオッチャーの第一人者である。

「決定版どうしても“日本離れ”できない韓国」は、盧武鉉政権時代の2006年に刊行された「“日本離れ”できない韓国」のリニューアル本で、韓国人が「日本」を過剰に意識し、「日本離れ」をしようとするほど、日本に呪縛されている様を描いている。日本の話題がでると条件反射的に反応する「反日パブロフの犬」と批判。産経新聞支局長刑告訴と出国禁止事件、アメリカ大使襲撃事件と安重根崇拝熱、朴槿恵政権の中国への急接近などを加え、韓国人の民族意識と精神構造に迫る1冊である。

『韓国はどこへ?』は歴史や市民生活に根差した分析や大陸志向を強める朴槿恵政権と市民の台頭など、昨今の韓国情勢をとらえた黒田氏の最新刊である。日本が韓国とどう接するべきか黒田氏の視点で書かれている。

黒田氏は在韓日本人を対象に講演を行っている。長い韓国生活で韓国人の友人も多く、韓国が世界で信頼される国になるにはどうしたら良いか韓国への愛情をもって、問題点を指摘する。講演では韓国への批判のみでなく、日本の韓国への対応についても歯に衣着せぬ批評を行い、風貌からは想像できない辛口の批評は聞いていてタメになる。

■黒田氏に並ぶコリアウオッチャーは百貨店業界のすご腕

『秋山英一聞書 韓国流通を変えた男―ロッテ百貨店創成記』
(藤井通彦著、西日本新聞、1409円)

秋山英一氏も1970年代末から韓国と関わってきたコリアウオッチャーの一人である。

韓国ロッテは百貨店業界世界5位、製菓業界アジア1位、ホテル業界アジア3位など、いまや韓国第5位の財閥系企業だが、日韓国交正常化後に進出した日系企業だ。ロッテは、1977年に韓国で百貨店をはじめるにあたって統括責任者を探し、三越百貨店から福岡玉屋に移って小倉玉屋の役員を務めていた秋山英一氏が選ばれた。

秋山氏は断るつもりでロッテ創業者の重光武雄氏に会ったが、重光氏はソウルの視察を勧める。ソウル視察を終えた秋山氏は韓国で本格的な百貨店経営に挑戦したいと考えロッテへの入社を決意する。

日本式の接客を取り入れ、日本人の視点で新商品開発に取り組むなど「韓国百貨店業界の父」として多くの流通担当者から慕われている。同氏が韓国人スタッフの反対を押し切って開発した韓国海苔やパック入りキムチは、定番のヒット商品となっている。

本書は主に秋山氏が渡韓した70年代末から80年代初の話である。先達の苦労を伺う機会があったが、接客態度やマナーなど韓国人の本質は40年前とかわっていない。韓国ビジネスに従事している人には目を通してほしい1冊だ。

■サムスンやLGなどに指導する経営コンサルタントによる一冊

『日本企業が韓国企業に勝つ4つの方法』
(香月義嗣著、中経出版、絶版)

著者の香月氏は、ソウルを拠点にサムスン・LGなどの韓国財閥系企業や在韓日系企業の従業員を対象に指導を行っている現役の経営コンサルタントである。東京大学工学部、東京大学大学院新領域創成科学研究科修士課程を卒業・修了後、大手経営コンサルティング会社に入社。韓国事業部の立ち上げメンバーに抜てきされて渡韓し、韓国企業の営業組織のコンサルティングや現地コンサルタントの育成を担っている。

香月氏とは、ほぼ同時期に渡韓したこともあり、何度か顔を合わせているが、好奇心旺盛で、どんなことにも積極果敢に挑戦する人物である。本書ではサムスン・LGといった韓国企業や在韓日系企業など35社・約8000人に指導した経験から日本企業勝利の法則を描いている。

■日立からサムスンへ移った研究員による分析

『サムスンで働いてわかった 韓国エリートの仕事術』
(水田尊久著、中経出版、1400円)

サムスンの強さを語る人や書かれた本は多いが、実態はサムスン内部にいた人にしか分からない。

著者の水田氏は、日立製作所 <6501> の家電研究所・映像メディア研究所の研究員として約10年半勤務した後、渡韓。2000年から2012年までサムスンSDIの中央研究所でプラズマディスプレイパネル(PDP)セクションの部長として、研究所の立ち上げからプロセス開発、量産化などに携わった。

サムスンで働く韓国エリートの強みや弱みを熟知、日本との違いを理解し、活かすことで成果をあげた経験をもつ。現在はソウルを拠点に韓国企業や在韓日系企業、また韓国に進出する日本企業や日本への進出を目論む韓国企業への技術指導を行っている。

本書はサムスンの強さ、サムソンの社風から急成長を遂げた要因、韓国の企業文化など、日本人の視点で見たサムスンを紹介する一冊で、韓国の財閥企業を知る参考になるだろう。

引退した秋山英一氏がソウルの住宅街で佇んでいたとき、信号が変わると若い女性が秋山氏の手を引いてくれ、一緒に道路を横断してくれたという。氏は道路を渡るつもりはなかったが、好意を無にできないとお礼をいって、女性が見えなくなってから横断歩道を引き返した。やさしい心遣いをもつ人は少なくない。

韓国について書かれた本は嫌韓から韓流ファンまで数多いが、韓国を知るには韓国で暮らし、仕事をした経験をもつコリアウオッチャーが日本人の視点で書いた書を読みたい。(韓国在住CFP 佐々木和義)

最終更新:4/2(日) 16:40
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