ここから本文です

【あの時・負け組の星ハルウララ】(3)“当たらない馬”から生まれたお守り

スポーツ報知 4/3(月) 15:00配信

 負けても負けても一生懸命走り続ける。負け組の星、リストラ時代の対抗馬…。全国で流れた連敗馬のニュース。中央競馬ではない地方の、それも廃止寸前の競馬場から現れたハルウララは、世間の共感を呼び、時の馬になっていく。

 高知競馬の元1000勝ジョッキーで、調教師の宗石大が2003年当時を振り返る。「なぜ、どんどん取材に来るのかなあと。僕自身はイヤでしたよ。勝ってなんぼの世界で走らない馬が取り上げられた。それでも一生懸命できるだけはやろかと協力してやったんですけど」

 売り上げにはさほどつながらなかったが、観客は増えてきた。吉田昌史たち職員も奮闘していた。“当たらない”馬だけに尻尾の毛の交通安全のお守りなどアイデアを次々形にした。当時は馬券に馬名が印字されない券売機だったため、ファンの声に応えて「★ハルウララ」のハンコも用意。観客が自ら単勝馬券に手押しする手作り感のある“応援馬券”だ。

 10月のレースのない日、2人連れの女性が競馬場にやってきた。応対した吉田にウララの単勝馬券が欲しいという。一人は乳がんを宣告されていた。「なんでもいいんです。この馬の走りに励まされて…」。売っていないものは売れない。困った吉田は、出馬表にハンコを押して手渡した。

 宗石がある日、自作の詩を、グッズのTシャツに載せたらどうかと持ってきた。吉田はギターを弾く。車での帰路、その詩に思いがけず曲がついた。「上から曲が下りてきてから、忘れちゃイカンと思うて歌いながら帰ったですよ」。高知出身のシンガー・ソングライター・堀内佳の編曲で、軽快なメロディーの楽曲「ハルウララの詩~ただひたすらに~」が誕生した。作詞・宗石大、作曲と歌は、以前の業務から連想した「スターター吉田」だ。橋口浩二のレース実況も入っている。

 ♪小春日和のバンカーに 今日もしんがりつとめます やっぱりダメね、ウララちゃん 春のゴールはきっと来る

 ハルウララは連敗を重ねていたが、11月の98、99戦は連続3着と好走。迎えた12月14日の100戦目は、東京からのツアー客など通常時の3倍の観客約5000人、報道陣約120人が駆けつけた。300枚用意したCDは完売。鈴なりのパドックで、カメラ付き携帯電話を手に背伸びするファンが「ウララちゃーん」と声を上げる。9着に敗れたが、レース後は異例のセレモニー。高知競馬を大きくアピールしたとして、県知事の橋本大二郎が感謝状を読み上げ、ニンジンの特製レイがウララの首にかけられた。

1/2ページ

最終更新:4/3(月) 15:00

スポーツ報知

スポーツナビ 競馬情報

重賞ピックアップ