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てるみくらぶ決算書から読み解く経営の問題点、企業会計のプロに一問一答で聞いてみた

4/4(火) 13:20配信

トラベルボイス

経営破綻した「てるみくらぶ」が粉飾決算を繰り返していた可能性が高まっている。決算書は観光庁や銀行など提出先によって目的別に複数、作成されていたという報道もある。これは事実なのか? このほど同社が提出した破産手続開始申立書から、てるみくらぶの経営状態をトラベルボイスのコラムニスト公認会計士・税理士の石割由紀人氏に一問一答形式で聞いてみた。

▼Q1、てるみくらぶは粉飾決算をしていたのでしょうか? その場合、法的な責任は?

粉飾決算をしていたのは、ほぼ間違いないでしょう。破産申立書においても詳細は精査中であるとしつつも粉飾の疑いのある会計処理についての指摘がなされています。

直近2年の決算書をみると、未収収益の内訳に航空会社の名前が並び、その販売におけるキックバックの過大計上(売上過大計上)、前受金の過少計上、ソフトウェア資産の過大計上等といった粉飾の手口が使われた可能性があります。

粉飾を行うと刑事責任と民事責任を負います。刑事責任では、違法配当罪、特別背任罪、銀行等に対する詐欺罪など、民事責任では違法配当額の賠償、第三者責任、銀行等債権者に対する損害賠償請求を負います。

▼Q2、外部から、経営状況は把握することは難しかったのでしょうか?

てるみくらぶは、上場会社ではありませんので、決算書の公表は義務ではありません。2年前から業績開示をしていないという報道がありましたが、従来、会社独自の判断で任意に業績開示していたものの、業績不振を隠すために非公表にしたのかもしれません。

取引金融機関等は決算書等を通じて経営状況をある程度は把握していたとは思いますが、その決算書が粉飾決算であったということです。

現金一括入金キャンペーン等もあって、何とか事業が回ってしまっていたので、銀行側から融資を止めづらかった状況があるかもしれません。憶測にはなりますが銀行も薄々粉飾決算の可能性を嗅ぎ取っていたのではないでしょうか。銀行にとっても、これ以上被害額を増やさないというのは合理的な判断だったのではないかと思います。

▼Q3、経営の問題点は、どこにあったのでしょうか?

インターネットの普及で、業績拡大してきた「てるみくらぶ」ですが、インターネットの更なる進化によって、旅行者は旅行業者を利用しないで、自分で宿泊施設や格安航空券を手配することが可能になりました。国内・外資ともにオンライン旅行会社(OTA)との競争激化で粗利率が低下したと思います。

てるみくらぶの経営は、航空会社からのボリュームインセンティブであるキックバック手数料に依存した収益構造であった可能性があります。

破産手続き開始申立書においては、「航空会社との合意が成立しているか必ずしも明らかではなく、その村費及び金額については精査が必要である。」と粉飾の可能性を示唆しています。要するに架空売上げの疑いがあるということです。

旅行業界を取り巻く経営環境は厳しいものがありますが、粉飾決算に手を染めて、金融機関らからの融資を継続させることに注力し、厳しい現実や根本的な経営の課題と向き合っていなかったのではないかと思います。

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最終更新:4/4(火) 13:20
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