ここから本文です

新生活の期待と不安の中で聴いた曲、今も蘇らせる当時の記憶 ELT「Dear My Friend」

4/5(水) 6:37配信

MusicVoice

 この時期になると新卒で入社した頃を思い出す。大海原に出るように、期待感があった。しかし、その思いは一瞬にして砕かれる。

 入社前に2週間の研修期間があった。泊まり込みで企業のいろは、社会人としてのマナーを学ぶのだが、慣れない環境に加え、同期との学歴差に悩み、心がすさんで、ホームシックになった。

 そんな時、良く聴いていたのが、Every Little Thingの「Dear My Friend」だった。学校卒業間際、友人とよくドライブに出かけた。その時に、良く流れていた曲の一つだった。

<朝までファーストフードで>
<みんな たわいもない話>
<時間が経つのも忘れていたね>
<共に過ごした日々が懐かしい>

 歌詞すべてがその頃の思い出と重なっていた。消灯時間が過ぎ、寝静まったベッドで布団にもぐり込み、イヤフォンを掛けて聴いていた。曲から元気を与えてもらう、というよりも、恋しい当時を懐かしみ、そしてそこから現実逃避したいという思いだった。

 その曲もいつしか聴かなくなっていた。その頃には会社にも慣れ、社会の厳しさにもまれながらもしっかりと前を見つめ、歩いていた。

 けれど、毎年この時期になるとその曲が頭のなかで流れる。当時を恋しく思うのではなく、淡い思い出として。若かれし頃の青っぽさにほほえましくなる。そして、曲が当時の記憶を鮮明に思い出させてくれる。

 電車に乗れば、ビシッとしたスーツに身を包んだ若者が目立つ。期待と不安を抱えていることだろう。初給与で何を買おうか、と思っている人もいるかもしれない。社会にいれば楽しいこと以上に辛いことも多い。

 そんなときに聴いている曲は、いつまでも背中を押してくれる大事な曲になるだろう。春の風、そして、若者の表情をみて改めて曲が持つ力を感じるのであった。(文・木村陽仁)

最終更新:4/5(水) 6:37
MusicVoice