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画期的なオーディオチェックレコードが便利すぎる件・その1

4/5(水) 17:25配信

Stereo Sound ONLINE

 Stereo Sound Storeから画期的なオーディオチェック・ディスクが販売されている。その名も「MIXER'S LAB CHECKING DISC BY MUSIC」。制作と発売は、制作エンジニア集団であるミキサーズラボが担当。180gのアナログ重量盤で3枚組みの豪華仕様、価格は1万800円。

 しかもこれは、ただのチェックディスクではない。従来品と異なり、チェックにテスト信号をいっさい使わないのだ。音楽ソースのみを使い、「耳」だけで適切なオーディオ・セッティングを可能にした優れものなのである。



 オーディオ再生において、装置のセッティングはとても重要だ。中でも、レコード再生のセッティングほど奥が深いものはないだろう。針先で音溝をなぞり、そこで発生させた微弱な電気信号を増幅するという、ひじょうにシンプルなレコードの再生原理。それ故に、セッティング次第で出てくる音が激変してしまう。よって、適切な調整が必要不可欠なのは言うまでもない。

 しかしながら、そのセッティングが正しいものかどうか判断するには、客観的な視点が必要になる。そこで有用なのがオーディオチェック用のレコード盤で、サイン波やそのスウィープ音など、おもに電気的に生成したテスト信号を用いてチェックする。これらは、信号であるがゆえ、別途アナライザーなどの計測器を使って、信号の再生結果が正しいかを判断する必要があった。

 しかし本盤では、テスト信号はいっさい登場しない。収められているのは、楽器演奏や人の声など、音楽信号だけ。つまり、計測器に頼らず、自身の耳を使って、まるで音楽を楽しむように判断できるように作られているのだ。オーディオ装置とは本来、「音」や「信号」を聴くためにあるわけではなく、「音楽」を聴いて楽しむためにあるもの。その意味でも、理にかなったチェック方法を実現する画期的なソフトと言える。

 コンセプトだけでなく、その収録方法にもこだわりが満載だ。本作を手掛けたのは、「株式会社ミキサーズラボ」会長の内沼映二氏。ステレオサウンド社から刊行されている季刊誌『Digi Fi』誌や、隔月刊『PROSOUND』誌の付録音源でもお馴染みの、日本を代表するベテラン・エンジニアのひとりだ。そんな凄腕エンジニアが、同社スタジオが備える業界最高水準の機器を駆使しただけあり、驚くべき高音質を実現している。演奏も、角田健一ビッグバンド、そして一線で活躍する現役スタジオミュージシャン陣が担当している。

 盤に針を落とすと、ビッグバンドの楽しげな音楽が流れ出す。そこに、温か味溢れる肉声のナレーションが重なり、このチェックレコードの概要を説明する。ここまでだけでも、収録音源の音質のよさに驚かされる。ビッグバンドは、音の鮮度感や解像感が高くも豊かな厚みに溢れ、ナレーションの声も実に滑らかかつふくよか。チェック開始前から、早くもワクワクしてくる。

 なお、以後のチェックトラックもすべて、ナレーションがナビゲートしてくれる。常に言葉でチェック方法と手順を説明してくれるので、我々はただ再生を行なえばよい。難しく考えずに手軽がチェックを実施できる、実に親切な内容となっている。

(つづく)

Stereo Sound ONLINE / 生形三郎

最終更新:4/5(水) 17:25
Stereo Sound ONLINE