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“大河”プロデューサーが語る、キャスティングの新たな試み

オリコン 4/9(日) 8:10配信

 NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』(毎週日曜 NHK総合 午後8時~)が放送から3ヶ月を経た。柴咲コウ演じる主人公・直虎をはじめ、僧侶・傑山(けつざん)役の市原隼人や今川義元役の春風亭昇太だけでなく、子役の活躍や舞台で活躍する俳優の台頭など、フレッシュなキャスト陣にも注目が集まった。同番組の制作統括・岡本幸江氏が、代々受け継がれてきた大河ドラマの本質や新たな試みとなったキャスティングについて語った。

【写真】尼姿も美しい柴咲コウ

◆大河ドラマは時代の映し鏡、いま“直虎”を取り上げる意味

 大河ドラマ『おんな城主 直虎』が放送から3ヶ月を経て、新たな展開を迎えている。まずは柴咲コウ演じる直虎がいよいよ城主に着任。しかしそれも桶狭間の戦いでの惨敗や、城主になるはずだった井伊直親の死などで万事休すとなった井伊家を存続させるための苦肉の策。度重なる戦で多くの家臣や領民を失い、財政もジリ貧に陥っている。ここからいかにして国を切り盛りしていくのか、新米城主の手腕に注目だ。

 歴史上の人物としてはマイナーな井伊直虎を主人公に据えたそもそもの理由。そこには常に時代の映し鏡としてのメッセージが込められてきた大河ドラマの本質があった。「直虎の時代の井伊家というのは、現代の日本と非常に重なるように感じます。居並ぶ強国ににらまれるなか、資源に乏しく、国土も広げられず、さらには労働人口も減少の一途。そうした課題が山積するなかで、それでもなんとか幸せな暮らしを次世代に繋げていこうと奮闘する主人公の姿は、今の時代を生きる私たちにとって大きな勇気になるのではないかと」(制作統括・岡本幸江氏/以下同)

 直虎の功績といえばやはり、徳川家康の重臣にまで出世した井伊直政を育て上げたこと。弱小大名からこれほどの傑人が輩出された史実は、まさに希望の物語といえよう。「もちろん時代も状況も違いますから、そのまま現代に応用できるとは思いません。しかしどこか、現代の日本人がいかに生きていくべきかに繋がる物語を描いていきたいですね。テレビはエンタメであると同時にメディアでもありますから“今、この人物を取り上げる意味”はいつも意識しています」(岡本氏)

◆異例の大型オーディションでフレッシュな顔ぶれがずらり

 新展開を迎えてキャストも大きく入れ替わった。特に目立つのが、大河ドラマとしてはフレッシュな顔ぶれの多さ。多くのベテラン勢が前半3ヶ月で退陣している。「直虎自身、なんの後ろ盾もなくなり、若く経験も浅い家臣や領民たちとやっていかなければならないところからの新スタートです。その状況とリンクさせて、キャストもあえてフレッシュさを意識しました。ただし、皆さん芝居の力は十分です」

 子役の活躍も目立ったが、大河ドラマとしては異例の大型オーディションも行ったという。「昨年1月より時間をかけて行い、新人から他分野で活躍されてきた30代、40代の方も多く来てくださいました。例えば直虎の右腕の1人となる田中美央さんは舞台のキャリアは豊富ですが、テレビドラマでメイの役を演じるのはほぼ初めてです。そのほか素敵な出会いがたくさんあり、台本ができあがっていくなかで「この役はぜひあの人に」とオファーした方も多くいます」

 かつて大河ドラマといえば、重厚な役者陣による歴史ドラマを堪能する側面が強かった。しかし、近年は視聴者の嗜好もさまざまで、井伊直親が夭逝した回では“直親ロス”がTwitterを賑わせるなど、突出した人物をウォッチする楽しみ方も定番となっている。そうした視聴者の多様化に応えること、また著しく成長する若手役者や、舞台などで活躍してきた役者のテレビドラマへの台頭も、今回の大河ドラマには鮮明に反映されているといえるだろう。「今後の注目人物は、ムロツヨシさん。コミカルな中に凄みのある、見応えある演技をしてくださっています。また柳楽優弥さん演じる盗賊団の頭が、直親に代わる“もう1人の男”的な存在になりそうです。もちろん政次の敵か味方か?な動向や、いよいよ直政を演じる菅田将暉さんも登場しますので、楽しみにしていてください」

(文:児玉澄子)

(コンフィデンス 17年4月10日号掲載)

最終更新:4/19(水) 17:43

オリコン