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伝説の投資家「バフェット」に続く「次世代のカリスマ」は誰?

4/8(土) 17:10配信

ZUU online

これまで世界的な伝説の投資家といえば、米国出身の「投資の神様」のウォーレン・バフェット氏(86)、「イングランド銀行(英国中央銀行)を破綻させた男」のジョージ・ソロス氏(86)、「歴史的大局観のグローバル・マクロ投資法」のジム・ロジャーズ氏(74)などが代表格であった。

いずれも高齢だが、まだまだ現役であることに驚かされる。だが、バフェット氏は後継者への投資権限の委譲をスピードアップしているし、ソロス氏もいったんは引退を表明している。彼らに残された時間は長くない。

そうしたなか、バフェット・ソロス・ロジャーズ並みのリターンを叩き出す次世代のカリスマ投資家は誰なのかという関心が高まっている。まずは旧世代の「すごさ」を改めて振り返り、新世代の有力投資家と比較し、誰が抜きん出ているのかを探ってみよう。

■旧世代投資家の伝説的リターンと純資産

世界最大の投資会社バークシャー・ハサウェイの最高経営責任者(CEO)であるバフェット氏の純資産は650億ドル。優良企業の株価が低迷しているときに大量に仕込み、忍耐強く値上がりを待つ「バリュー投資型」が得意で、倒産寸前の紡績会社バークシャー・ハサウェイを半世紀前に買収し、世界有数の持ち株会社に育てた。

同社のA種株式の価格は買収直後の1965年に一株当たりたった19ドルだったが、今やなんと全米一の約25万ドル、時価総額は4300億ドルを超える「お化け企業」である。

対して、「市場が不透明な時こそ黄金のチャンス」と信じるソロス氏の純資産は290億ドル。「市場は常に間違っている」という信念に基づき、投資家の行動により市場は常に変化し続けるとする「再帰性理論」を唱え、主に通貨投機で儲けてきた。1992年に英国通貨のポンドが急落した際にポンドを売り浴びせ、安くなったところで買い戻して20億ドルと言われる利益を得た。

一方ロジャーズ氏は1970年代、伝説的な米投資会社クォンタム・ファンドにおいてトレーダー役だったソロス氏のアナリスト役を務め、協力して10年の間に驚異の3365%というリターンを叩き出した。単純計算すると100万ドルの元手が10年をかけて3365万ドルに化けたという、それこそ伝説の話である。歴史的な大局観と相場師の野獣的な直観が、そうしたリターンを可能にしている。

■小粒な次世代投資家、伸び代があるのは?

これらのカリスマ投資家に比べ、次世代の有力投資家はリターンの面でも資産の面でも全般的に小粒だ。ただ、半世紀近くの投資経験のある人物との単純比較は酷である。では、誰が最も伸び代があるのか、見てみよう。

約1500億ドルの資産を運用する世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエーツを率いる「ヘッジファンドの帝王」ことレイ・ダリオ氏(67)は、純資産156億ドルと、ソロス氏に迫る勢いだ。ロジャーズ氏と同じく世界の株式・債券・為替などあらゆる資産に投資するグローバル・マクロ戦略を採用し、FRBなどからも一目置かれる存在だ。

ダリオ氏は、米金融危機や欧州の債務問題など市場の危機を予見したことで、投資家から信頼されている。2008年にヘッジファンド全体の投資収益が前年比20%減と過去最悪の悲惨な成績に落ち込むなか、ブリッジウォーター・アソシエーツが12%の収益増を叩き出した話は、伝説となっている。間違いなくこの先10年のカリスマ投資家の筆頭格だろう。

翻って、ヘッジファンド運用会社アパルーサ・マネジメントの創業者のデビッド・テッパー氏(59)は、リターン150%、純資産114億ドルを誇る。その秘訣は、「リスクを恐れず、大きな損失を生んでも、すぐにそれ以上のリターンをあげて取り返す」と広く評される勇猛果敢さにある。

倒産したり、経営が悪化した企業の株式や社債を素早く買い集めて利益を上げる手法が得意だ。競合が追い付けない瞬発力には定評がある。テッパー氏もすでに伝説の域に入っており、将来が楽しみな一人だ。

一方、過去の栄光を失った有力投資家のビル・グロース氏(72)に代わって「新債券王」と呼ばれる、投資運用会社ダブルライン・キャピタルの最高経営責任者(CEO)のジェフリー・ガンドラック氏(57)は、純資産14億ドルと「小粒」だ。しかし、「予測が不思議によく当たる」として、注目されている。

最近では、誰も予測しなかったドナルド・トランプ大統領の誕生を予言して的中させた。また、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げを当てるだけでなく、利上げ発表後に市場がどのように発表を咀嚼(そしゃく)して上げ下げするのか、数時間単位できめ細かく当てるなど、予言者として信頼されている。

一方で運用成績はさえず、ダブルライン・キャピタルからは昨年12月に過去最大となる35億ドルの資金が流出するなど、波乱含みだ。だが、その予言力で一発逆転があり得る。

また、有力ヘッジファンドであるグリーンライト・キャピタルを率いるデビッド・アインホーン氏(48)は、その若さにもかかわらず純資産が15億ドルに達している。バフェット氏を尊敬するが、投資スタイルはバフェット氏の「買い・保有」の反対である「売り」である。2013年まではその抜群のセンスで年平均リターン20%という好成績をあげていたが、近年はさえない。

ただ、ソロス氏やロジャーズ氏とも通じる相場師の野獣的な直観を持っており、まだまだ伸び代は大きい。間違いなく新世代のカリスマ投資家である。

■最も有望なのはダリオ氏とテッパー氏?

このように見ると、バフェット・ソロス・ロジャーズ並みのリターンと純資産を誇る大物になる可能性が最も大きいのは、ダリオ氏とテッパー氏かもしれない。

ただ、旧世代の伝説の投資家の時代とは違い、主要国においては長期金利の低下、国内総生産(GDP)成長率の鈍化、消費やインフレ率の伸び悩み、飽和化した市場、グローバル化の終わり、高リスク投資への規制強化、ヘッジファンドの衰退など、驚異的なリターンの成長が見込めない時期に入っている。

野心的な投資家にとってチャンスに満ち溢れた「フロンティア」は、もはや消滅したかのようだ。さらに、新世代の投資家には、持続性を重視するバフェット氏や、社会問題に斬り込むソロス氏、歴史的な大局観を大切にするロジャーズ氏のような哲学的な側面が薄いことも気がかりだ。そうした土台なしに、投資のぶれない方向性を打ち出せるのか、注目される。

だが今も昔も、投資家の最大の狩り場は「危機」であることに変わりはない。この先、地政学的な事件、EU崩壊、中国経済変調などが起これば、彼らの野生の血が騒ぐ。その時、ダリオ氏、テッパー氏、ガンドラック氏、アインホーン氏、あるいは現在まったく無名の「将来のカリスマ投資家」の成績は、バフェット・ソロス・ロジャーズ超えを果たすかもしれない。(在米ジャーナリスト 岩田太郎)

最終更新:4/8(土) 17:10
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